2019年08月27日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 実例に学ぶ 人と組織の関係性 「エンゲージメント経営」

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 実例に学ぶ 人と組織の関係性 「エンゲージメント経営」

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 

実例に学ぶ 人と組織の関係性 「エンゲージメント経営」

 

(コーン・フェリー 柴田 彰著 日本能率協会マネジメントセンター)

 

■   欧米のグローバル企業の叡智の集積「社員エンゲージメント」(はじめに)

 著者は、50ヵ国以上の国において、7,500人以上のスタッフを抱え、人材戦略を主とするコンサルティングファームであるコーン・フェリーのパートナーです。著者は、近年特に、「社員エンゲージメント」等のコンサルティング実績を豊富に積み、紹介本を著作しました。著者は「社員エンゲージメント」の定義を「自分が所属す組織と、自分の仕事に熱意を持って、自発的に貢献しようとする社員の意欲」とします。

 著者は、かかる背景から、実例に基づき、且、グローバルな視点から、日本企業の「社員エンゲージメント」の実態を分析し、グローバル化の進展などによる日本の社会・経済の変化、将来の社会・経済の担い手となる若者の価値観の変化を踏まえ、欧米に比べ異常なほどに「熱意を持てない社員の比率の高さ」に危機感を抱き、「社員エンゲージメント」を欧米並みに高めていく事が重要な企業戦略・人事戦略の一つであると強調します。

 更に、欧米は多民族文化・社会です。その様な社会でグローバルな競争に打ち勝っていくために「社員エンゲージメント」は必須の戦略でした。その意味で、永年に亘り「社員エンゲージメント」を高める叡智を蓄積して今に至っています。しかし、日本は、新卒一括採用と終身雇用という日本独特の慣行を今も有し、それが、“明確な序列”と“集団の排他性”を持った「村社会」を成立させ、「閉鎖的なコミュニティー」を築いてきました。過去の高度成長期はそれがプラスに働いた時もありましたが、最早その様な時代ではなくなり、グローバル化が進み価値観が多様化する中で、「社員エンゲージメント」を欧米並みに高めていく事が、今後の日本の経済・社会の発展にとって必要不可欠である事に、経営者は気づき経営に取り込んでいかねば、生き残りはないと言います。

 加えて、「社員エンゲージメント」は、“会社は社員が期待することを提供できているか” ‟社員が仕事に幸せを感じて意欲的に取り組めているか”の二つの問いを対で判断すべきもので、社員満足度のように一方的に判断するものとは大きく異なります。人と組織の関係性の変化に気づき、対応していく事が経営に求められると言います。

 著者は、コンサルティングの実例を踏まえ、日本の企業の経営者の意識はまだ大きく遅れていると見ます。著者が示す『「社員エンゲージメント」を経営にいかに取り入れていけばよいか』の考えを次項で見てみましょう。

                       

■   欧米に大きく後塵を拝している日本企業が、まず取り組むべきこと

【先ずは、経営陣が本気になること】

 著者は、「日本は社員エンゲージメント元年を迎えたばかりである」といいます。つまり、「社員エンゲージメント」の概念(要因・及ぼす影響など)が普遍的・自然なものとして定着するにはまだ時間がかかるのです。

 しかしそこまで待っていたのでは、様々な問題が発生してしまいます。既に、「社員エンゲージメント」の低さが原因で、グローバル企業での、海外におけるマネジメントの失敗、国内企業における離職率の増加等の問題が発生していると著者は指摘します。

 この様な事実を踏まえ、経営陣が危機意識を明確に持ち、「社員エンゲージメント」を経営指標の一つとして取り入れ、真摯に実行・スタートをすることが大切です。「社員エンゲージメント」は社員一人一人が対象となるわけですから簡単ではありません。

 定点観測を定期的に行い、それに基づく改善活動を地道に続けていく必要があります。数年の活動を続けることで、「エンゲージメント」が向上してきます。現場の社員のエンゲージメントの向上に直接関与していくのは、現場の組織長です。だからと言って、組織長に責任を投げてはなりません。あくまで経営陣が責任を持って、鍵となる、熱意と継続性を持って、「エンゲージメント」向上に向かって進むことが重要です。

【「社員エンゲージメント」を高めるポイント】

 著者は、著者の所属するコンサルタントファームの調査結果を踏まえ、「社員エンゲージメント」と相関の高いドライバー(要素)のBest8を挙げています。

①   顧客に提供する体験的価値への自信

②   成果創出に向けた効果的な組織体制 

③   自社におけるキャリヤ目標達成の見込み

④   生産性を高めるための環境整備

⑤   やりがい・興味がある仕事を行う機会

⑥   仕事を高めるための十分な人員の確保

⑦   一個人としての尊重

⑧   自社の戦略と目標に対する信頼感

 定点観測から得られた、Best8のドライバーは何を示唆しているのでしょう。私の感想では、経営陣には経営の示唆を与え、現場の組織長には組織長の対応姿勢に示唆を与えています。「社員エンゲージメント」は正に、経営を改革し、現場の組織長の資質を向上し、社員の仕事と所属組織に対する熱意を上げる、Win-Winの効果をもたらすのです。それは、日本で問題とされている、労働生産性(付加価値額)の向上を待たらすのです。

【「社員エンゲージメント」に関するその他の知見】

 紹介本には、著者及び著者の所属するコンサルタントファームの「社員エンゲージメント」に係るコンサルティング実例を基にした知見が掲載されています。欧米の後塵を拝している日本企業にとっては参考となる知見を発見できます。字数の関係で十分なご紹介が出来ませんでした。ご興味のある方は、是非紹介本を手に取ってお読み下さい。

 

■   生き残りをかけて「社員エンゲージメント」を経営に取り込もう(むすび)

 著者が指摘するように、「日本は社員エンゲージメント元年を迎えたばかりである」のです。未だ、十分な方法論などの知見が蓄積されている訳ではありません。

 「社員エンゲージメント」の向上の重要性は十分理解できます。それは、経営陣が「うちの社員は本当に幸せなのだろうか」と素直に考えることと同義です。

 出来ることから始めましょう。定点観測のためのSaaSを使っても良いでしょう。自社で開発した物でも良いでしょう。自社で仕組みを創出するのも良いでしょう。

 まず、出来ることから始め、継続的・地道に続けることが大切と思います。必ず、「やって良かった」と思える日が来ることでしょう。

【酒井 闊 先生 プロフィール】

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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Posted by 経営士 at 12:01経営コンサルタントの本棚

2019年07月23日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 「日本人の勝算」大変革時代の生存戦略

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 「日本人の勝算」大変革時代の生存戦略

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 

『「日本人の勝算」大変革時代(ターニングポイント)の生存戦略』

    (デービッド・アトキンソン著 東洋経済新報社)

   人口減少を直視せよー今という「最後のチャンス」を逃すなー(はじめに)

 著者は在日30年になるイギリス人で、その間、ゴールドマン・サックスやアクセンチュアを経て、現在は文化財補修の最大手「小西美術工藝社」の社長を務めています。2017年には日本政府観光局特別顧問に就任。

 この様な著者が、日本が直面する最大の課題である「人口減少・高齢化」の問題に関し、先入観を持って誤った判断をしがちな日本人の思考(著者は『日本人の「変わらない力」は異常』と表現)を排除し、外国人(著者)の目と、海外118人のエコノミストの「人口減少と経済」に関する論文から得られた分析と、加えて、世界中の統計の分析から、客観的・冷徹に「人口減少・高齢化」を直視し、対応戦略をプラス思考で『日本人の勝算』として著書にしたのが紹介本です。

 紹介本が示す、「人口減少・高齢化」を乗り越える対応戦略『日本人の勝算』を、次項で見てみましょう。

 それは、我々の先入観を覆し、その通りと頷首出来る、日本の進むべき方向を示しています。しかも、今から始めなければ遅くなる「最後のチャンス」でもあります。

  外国人だから分かる『大変革時代の「日本人の勝算」』

【資本主義を「High road capitalism」にアップデートせよ】

 著者は現在の日本の経営を「Low road capitalism」「低付加価値・低所得資本主義」と位置付けます。言い換えると「いいものを安く」「同類の商品の価格競争」「仕事の自主性が低い」「管理する側の層が厚い肩書主義」だと主張します。このままで行くなら、日本は三流先進国に成り下がると言い切ります。『「人口減少・高齢化」時代に、日本の現システムを維持するため、GDPを維持していくには「人口減少・高齢化」で下がるGDPを生産性向上でカバーしていく必要がある』と主張します。何故ならば「経済成長=人口×生産性」が成立つからです。更には「経済成長=人口×一人当たりGDP」と考えるならば、一人当たりの所得を上げていく必要があります。その為に「High road capitalism」「高付加価値・高所得資本主義」にパラダイム転換を図っていく必要があるのです。それは「よりいいもものをより高く」「専門性の高い分野での品質競争」「労働者と経営層との階層が少ない」「一般社員の給与が相対的に高くなる」経済社会への転換であると著者は主張します。日本の不勉強な経営者に任せず、政府の政策転換(最低賃金引上げ政策等)で行わないとパラダイム転換はできないとまで言い切るのです。

【輸出小国から脱却せよ】

 日本は輸出大国と言われていますが、実は、輸出小国なのです。著者はこう指摘します。『日本は、輸出総額では世界第4位ながら、一人当たり輸出額では44位、GDP比では117位。日本の輸出潜在能力が十分に発揮されていない。今までは人口増加により国内市場が拡大し、日本企業は国内市場を相手にしていればよかった。しかし人口減少社会で国内市場が縮小し、生産設備余剰・供給過剰の状態になる。その状態を乗り越えるには、輸出を増やす必要がある。世界のGDPに対する輸出比率の平均は41.07%、総額3位のドイツは46.1%。これに対し日本は16.1%。ドイツのある大学の研究結果によれば、輸出をしたいという意思が重要で、輸出の結果として生産性が高まる等の良い結果が出てくる。』

 著者は、日本が輸出潜在能力を発揮し、生産性の向上に結び付けられていないのは、中小企業を中心として、輸出したいという意欲・識見が欠如していることを問題にしているのです。

【企業規模を拡大せよ】

 著者が注目すべき試算をしています。日本の生産年齢人口(15歳~64歳)は、現在(2017年)の7,682万人が2060年には4,418万人に減ることが予想されています。この4,418万人を大企業から順に割り振ると、352万社中299万社(10人以上30人未満企業の43.5%と10人未満企業すべて)には一人も割り振れないのです。生産性の観点から言えば、先進国では小規模企業に勤務する労働者の比率の低さと生産性の高さの相関係数は0.93と極めて高いことが統計上明らかにされています。人材評価で世界4位(世界経済フォーラム「人的資本指数」2016年)に対し、生産性は28位となるのは、小企業で働いている日本人の比率が高いからと著者は指摘します。

 著者は、生産性の課題解決、輸出潜在能力発揮、「High road capitalism」へのパラダイムシフト等の点から、『企業規模の拡大』の重要性を主張します。

【最低賃金を引き上げよ】

 前述したように、GDP(=人口×生産性)を維持しようとするならば、人口減少社会では生産性を上げていく必要があります。著者は、生産性を上げるには意図的に誰かが上げる「人為的に伸ばす経済モデル」に転換していく必要性を強調します。

 マッキンゼーのレポートを引用し、問題になるのは中小企業の経営者の質の低さであると指摘します。中小企業の経営者の質を高める時間的余裕はもう有りません。著者は、そこで、強制的に経営者の質・生産性を高めるために、最低賃金の引上げを社会政策ではなく経済政策と考え、政府の所管を厚労省から、経産省に移し実施すべきと主張します。また、最低賃金の経済政策的引き上げは、併せて、経済成長、女性活躍、格差の是正、福祉問題、財政問題などに大きく貢献すると言います。

 著者のこの様な確信は、イギリスの最低賃金引上げ政策の実例があるからです。イギリスは1999年から2018年までの20年間に、12回、年率平均4.17%、金額では2.175倍最低賃金を引き上げました。失業への影響はなく、生産性の低かったサービス業の生産性が上がり、生産性の高い企業ほど雇用が拡大し生産性の低い企業の雇用は増えず、個々の企業の生産性の向上だけではなく、国全体の生産性を向上させた実績を残しています。

【その他の「日本人の勝算」】

 字数の関係で、上述に留めますが、他にも大切な「勝算」が書かれています。是非紹介本を手に取ってお読み下さい。

■   大変革時代の生存競争に生き残る「最後のチャンス」(むすび)

 紹介本から発信される「日本の勝算」を参考にしながら、かなり先と思えるものが、あっという間に到来する変化に対応すべく、今日から、前項で記しました仮説(生存企業数確率約15%)の生存企業に入る対策・改革を始めましょう。

 「最後のチャンス」の覚悟で取組むことで、良い結果を得る事が出来るのではないでしょうか。

【酒井 闊プロフィール】

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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Posted by 経営士 at 12:01経営コンサルタントの本棚

2019年06月25日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】事例から学ぶ「働き方改革」生産性とモチベーションが上がる事例20社

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】事例から学ぶ「働き方改革」生産性とモチベーションが上がる事例20社

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 『「働き方改革」生産性とモチベーションが上がる事例20社』

(小室淑恵 著 毎日新聞出版)

■      「表面的・緊急的」改革ではなく「本質的・地道・着実な」改革を(はじめに)

 紹介本は「働き方改革」という題名で、「働き方改革コンサルタント」である著者が、自身のコンサルタント体験を記した本です。

 4月に働き方改革法の施行が始まったことから、「働き方改革」というテーマが社会的に盛り上がっており、紹介本もその一環と言えます。しかし、著者がこの紹介本を通しての主張は、『重要な経営課題は経営改革・意識改革であり、「働き方改革」のテーマが盛り上がる前も、熱が冷めた後も、常に企業経営に必須の課題』だと述べています。

 そのことを主張するために、著者は『「表面的・緊急的」改革ではなく「本質的・地道・着実な」改革を』と述べているのです。その様な意味で、紹介本は「働き方改革」についての実践論を通して、企業経営における経営改革・意識改革の必要性と、方法論を展開しているのです。つまり、「働き方改革」という狭い領域ではなく、幅広くそして新しい時代に何をすべきかと言う事を、紹介本の改革手法並びに具体的な企業の事例から読み取り、企業経営の大きなヒントにして欲しいと、著者は思っているのです。

 それでは次項で、具体的企業の事例の中から、企業経営にヒントになる事例を、ご紹介しましょう。

■      事例が示す「働き方改革」は「経営改革」

【企業文化、ブランド、業績、社員の幸せ感などに好結果の出た中小企業M・O社】

 M・O社は2015年に三重県が推進する「ワーク・ライフ・バランス推進サポート事業(コンサルタント派遣事業)」に手を挙げた従業員58名の調剤薬局です。大阪、名古屋から1時間の三重県松坂市に本社を置く、人材・採用面で大都市圏に優位を奪われる難しい処に立地しています。

 M・O社が「推進サポート事業」を契機に、コンサルタントのサポートを得ながら、従業員4名のトライアル店舗で「推進サポート事業」の趣旨に沿った改革を始めました。4名全員でゴールイメージを決める『カエル会議(カエルには、‟仕事のやり方を「変える」“‟早く「帰る」”‟人生を「変える」”の三つの意味。著者提案の会議。)』に参加し、会議室もホワイトボードもない処方室で、分包機を机代わりにA3用紙にメンバーの意見を書き込み、立ったままで自由な意見交換をし、「全員の有給休暇100%取得」をゴールにしました。

 このゴールを実現するため、マニュアルとスキルマップを作成します。ここで面白いのは、社歴の浅い新入社員にマニュアルを作らせたのです。それは、若手が、仕事を覚え、信頼して任されることから、やる気が芽生える効果を、目論んだのでした。スキルマップを作ることで、誰が休んでも問題ないために、各自どんなスキルを補充すべきかの見える化が図られ、「全員有給休暇100%」に向けて体制が着々と出来ていったのです。

 実際に「有給休暇100%取得」が実現できた結果、トライアル店舗ではどんな変化が起こったのでしょう。有休取得率は前年比352%、医薬品売上は前年比230%となりました。このトライアル店舗の改革を経営トップが認め、「社員がプライベートを大切にし、社員の幸せを第一に考えよう」とのメッセージを全社に発信したのです。

 この取組みが全社に広がり実施されました。その結果、結婚数は2倍、出産数は2.5倍、出産による退職者ゼロとなったのです。この結果は、地域社会にも知れ渡り、2017年の新卒採用では、エントリー数が前年の33名から、約5倍の168名に増加しました。

 小さく始めた地道な「働き方改革」を機に、企業体質・文化、社員の意識、地域社会の評価など全ての点で大きな変革を果たしたのです。

【『時間外削減・生産性UPが収入減に繋がる』熱意ダウン現象を解消したM・P社】

 M・P社は首都圏や全国中核都市の大型オフィスビルや商業施設の運営・管理や工事・修繕を行う従業員1072名の会社です。物件担当をユニットとした4つのトライアルチームで取り組みをスタートさせました。著者の提案する『朝メール・夜メール(「段取りで8割が決まる」の原理を達成させるためのツール)』『カエル会議(前出)』を実施し、トライアンドエラーを重ね、チーム間のばらつきも経験しながら、最終的には、チームメンバー間の「仕事の‟見える化”‟効率化” ‟共有化と助け合い”」を通じ、時間外削減の知見を得て、その知見を全社に広げ、目標年の2016年には、計画通りの業績を達成した上で、取組みスタート時比16%の時間外削減と残業時間代8,000万円の削減の結果を出すに至りました。

 私がこの事例を採り上げたのは、残業時間が削減され、生産性が向上しても、収入・所得が減ってしまうという「熱意ダウン現象」を解決した点にあります。表面的には経営者が判断・決定したことですが、その背景にある経営者の判断を促す仕組みに注目して下さい。

 それは、著者の提案に基づき、「トップと現場がざっくばらんに意見交換する場」を設けた事でした。ここで出て来た現場の意見は『時間外を削減し生産効率を上げても、収入・所得が減少する、「熱意ダウン現象」の指摘』でした。この意見を受け入れたトップは、捻出された残業代8,000万円全額を、賞与を通じ還元したのです。さらに、新たな表彰制度を設け、熱意を持って、一定の残業時間削減と有給休暇消化を果たした部署に、賞与時に、一人当たり6万円を支給することにしたのです。これにより、時間外削減・生産性向上に取組む熱意をサポートしたのです。

【ほかにも多くの好事例】

 字数の関係上、事例紹介は二つに止めますが、他にも企業経営にヒントになる事例が掲載されています。是非紹介本を手に取り、読み取って頂ければ幸いです。

■      「働き方改革」は「経営革新」のチャンス(むすび)

 「働き方改革」というテーマは、全社・全社員に共通した課題として、誰でも参加出来るコンテンツを持っています。「人口減少・高齢化・人出不足」に前向きに対応していく「チャンス」として活用できる好テーマです。

 このテーマは、「チーム」という組織に力点を置き、従来の経営改革からパラダイムシフトした改革手法として、メンバー相互間の知の結合を図り、シナジーアップし、さらには、他の経営課題にも繋げていく事で、大きな成果を出す事が出来ます。取り組んでみませんか。

【酒井 闊プロフィール】

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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Posted by 経営士 at 12:01経営コンサルタントの本棚

2019年05月28日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】  『未来年表「人口減少危機論のウソ」』 深刻な問題?

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】  『未来年表「人口減少危機論のウソ」』 深刻な問題?
 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。
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■  今日のおすすめ
 
『未来年表「人口減少危機論のウソ」』

     (高橋洋一著 扶桑社新書)

 
 

 

   著者が解き明かす「人口が減少しても何も問題はない」(はじめに)

 

 私達は、「2065年には日本の総人口が8800万人まで減少する。加えて2.5人に一人が高齢者となる。」と言う数字と、それと同時に発信される「人口減少危機論」を受け入れ、悲観的な危機意識を強く持っているのではないでしょうか。

 

 しかし、紹介本の著者は、「人口が減少しても何も問題はありません」「その理由を解き明かします」と宣言し、主に統計学的・数理的・論理的な根拠を示すことにより、本質的な真実を明らかにすると同時に、人口減少時代にこそ、私達が、正しい認識を持ち、「何を為すべきか」という前向きな姿勢で、様々な事態に対処するよう求めています。

 

 私達は、紹介本に巡り合えたことを「好機」と捉え、今まで持っていた「人口減少危機論」を白紙に戻し、著者の主張に耳を傾けると同時に、真剣に人口減少時代に向き合い、「何を為すべきか」問い直してみようではありませんか。

 

 卑近な話ですが、先日、千葉市立中央図書館に行って「人口減少」をキーワードに所蔵図書を検索してみたところ、6か月以内に出版された数冊の図書はすべて貸し出し中でした。紹介本もやはり貸し出し中でした。如何に「人口減少」課題への関心が高いかがわかります。唯一、図書館の書架に在庫としてあったのは、貸出禁止の「総務省平成30年版ICT白書『人口減少時代のICTによる持続的成長』」だけでした。

 

 この「白書」は、GDPの需要面から見た構成要素を「消費」「投資」「政府支出」「輸出入」と定義した上で、「人口減少時代」に国内市場が縮小していく中で、ICTによる需要・供給両面が増加する要因を二つ挙げています。一つ目は産業・業種を超えたICT「プラットフォーム」によって、データのやり取りが容易になり、BtoB、BtoC、CtoCの関係が変化し、新たな価値や仕組みが生み出され、「市場」が広がるとしています。二つ目はICT輸出・海外展開・インバウンド需要といったグローバル需要に対応した、態勢整備、グローバル需要の取込みへの創造的対応等により、「市場」が広がるとしています。「白書」の例は一例にすぎませんが、「人口減少危機論」に手をこまねいているのではなく、大きな構造変革・仕組み変革・新たな価値の創造への道を歩むことで、「人口減少時代」を前向きに乗り越える道があることを示しています。紹介本の主張する意義もそこに有ると思われるのです。

 

 それでは、著者が語る「人口が減少しても、問題の無い根拠」を、次項で、その一部をご紹介します。

 

「人口が減少による懸念事項」について「問題ない」と解き明かします

 

【人口がGDP成長率に影響を与える割合】

 

 著者は、「GDP=みんなの平均給与×総人口」と定義し、2065年に人口が8800万人まで減少した場合の、GDPの変化率を、微・積分的な計算式で、△0.7%程度との解答を出し、「この程度は、影響はほとんどなし」と結論付けます。つまり、この程度の減少は、前述の「白書」を例に上げ、ICTの活用等による生産性の向上等でカバーしてお釣りが出ると主張するのです。

 

【人口増減率と一人当たりGDP成長率は相関が無い】

 

 著者は、世界208か国の人口増減率と一人当たりGDP成長率(2000~2017年)をマトリックス(縦軸に一人当たりGDP成長率、横軸に人口増減率)上にプロットすると、△0.22の相関係数になるとの結果を示しています。つまり世界全体でいえば、人口増加は不味(まず)いが、人口減少は不味(まず)くないとの結論を導くのです。同様の手法を先進国に限って行うと、一人当たりGDPは、人口増減率と無相関との解答・結論を導き出すのです。要は、人口減少はマクロ的に見ると、全く問題ないと結論付けるのです。

 

【インフレ率と人口増減率、通貨増減率の相関関係】

 

 インフレ率と人口増減率の関係については、世界銀行のデータを使い、世界173か国の人口増減率とインフレ率(2000~2008年)をマトリックス(縦軸にインフレ率、横軸に人口増減率)上にプロットすると、0.1程度の相関係数で、ほぼ無相関との解答を示しています。一方、世界各国の通貨増減率とインフレ率(2000~2009年)をマトリックス(縦軸にインフレ率、横軸に通貨増減率)上にプロットすると、0.7の相関係数になるとの解答を示しています(相関が強い)。つまり、「人口減少=デフレ論」は統計手法・高等数学に弱い官僚・学者の主張であり、デフレは金融政策で対処できることに、これらの官僚・学者は、目を向けるべきだと著者は主張します。

 

【人口減少で社会保障は破綻しない】

 

 著者は、この問題について「破綻しない」という数理的に説明できる根拠を持ちながら、敢えて紹介本に示さず(ページが足りない)簡単に説明しています。現役世代が高齢者一人を支える人数は、「高齢社会白書2018年版」によると(単位:人)、2000年3,9、2017年2,0、2025年1,9、2065年1,3とされていますが、著者は『年金を支えるのは人数ではなく「人口×所得」の金額こそが年金数理上大切なのだ』と主張し、『人口が減少しても「人口×所得」の金額が減少しなければ、何ら問題は生じない。その様な政策・経営をしていく事で破綻を回避できる。』と主張するのです。

 

   「人口減少」を「チャンス」と捉えよう(むすび)

 

 今こそ「人口減少」を梃子に、今まで旧態依然と流れていた日本経済には、大企業病による「エンゲージメント」の低さと、それに伴う生産性の低さ等、改める点は山ほど有るのではないでしょうか。

 

 例えば3・6K(きつい、危険、汚い、給料が安い、休暇が少ない、カッコ悪い)職場を、新3K(給料がいい、休暇がとれる、希望が持てる)職場にAI・ICT等を用い変えていく事で、女性が働ける職場すなわち労働人口を増やして行く対応・変革をしている企業が増えています。「特定技能1級」の外国人労働者を受け入れる安易な法改正により、労働集約型職場を温存させる政策は、ポピュリズム政策ではないでしょうか。むしろ、労働集約型職場は淘汰され、資本集約・知識集約型職場が主流となっていく時代ではないでしょうか。それは「人口減少」を「チャンス」と捉え改革した企業が生き残り、従来の流れを温存した企業が淘汰・買収される時代に成っていくのではないでしょうか。

 

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Posted by 経営士 at 17:01経営コンサルタントの本棚

2019年05月28日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】  『未来年表「人口減少危機論のウソ」』 深刻な問題?

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】  『未来年表「人口減少危機論のウソ」』 深刻な問題?
 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。
 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。
■  今日のおすすめ
 
『未来年表「人口減少危機論のウソ」』

     (高橋洋一著 扶桑社新書)

 
 

   著者が解き明かす「人口が減少しても何も問題はない」(はじめに)

 私達は、「2065年には日本の総人口が8800万人まで減少する。加えて2.5人に一人が高齢者となる。」と言う数字と、それと同時に発信される「人口減少危機論」を受け入れ、悲観的な危機意識を強く持っているのではないでしょうか。

 しかし、紹介本の著者は、「人口が減少しても何も問題はありません」「その理由を解き明かします」と宣言し、主に統計学的・数理的・論理的な根拠を示すことにより、本質的な真実を明らかにすると同時に、人口減少時代にこそ、私達が、正しい認識を持ち、「何を為すべきか」という前向きな姿勢で、様々な事態に対処するよう求めています。

 私達は、紹介本に巡り合えたことを「好機」と捉え、今まで持っていた「人口減少危機論」を白紙に戻し、著者の主張に耳を傾けると同時に、真剣に人口減少時代に向き合い、「何を為すべきか」問い直してみようではありませんか。

 卑近な話ですが、先日、千葉市立中央図書館に行って「人口減少」をキーワードに所蔵図書を検索してみたところ、6か月以内に出版された数冊の図書はすべて貸し出し中でした。紹介本もやはり貸し出し中でした。如何に「人口減少」課題への関心が高いかがわかります。唯一、図書館の書架に在庫としてあったのは、貸出禁止の「総務省平成30年版ICT白書『人口減少時代のICTによる持続的成長』」だけでした。

 

 この「白書」は、GDPの需要面から見た構成要素を「消費」「投資」「政府支出」「輸出入」と定義した上で、「人口減少時代」に国内市場が縮小していく中で、ICTによる需要・供給両面が増加する要因を二つ挙げています。一つ目は産業・業種を超えたICT「プラットフォーム」によって、データのやり取りが容易になり、BtoB、BtoC、CtoCの関係が変化し、新たな価値や仕組みが生み出され、「市場」が広がるとしています。二つ目はICT輸出・海外展開・インバウンド需要といったグローバル需要に対応した、態勢整備、グローバル需要の取込みへの創造的対応等により、「市場」が広がるとしています。「白書」の例は一例にすぎませんが、「人口減少危機論」に手をこまねいているのではなく、大きな構造変革・仕組み変革・新たな価値の創造への道を歩むことで、「人口減少時代」を前向きに乗り越える道があることを示しています。紹介本の主張する意義もそこに有ると思われるのです。

 

 それでは、著者が語る「人口が減少しても、問題の無い根拠」を、次項で、その一部をご紹介します。

 

「人口が減少による懸念事項」について「問題ない」と解き明かします

【人口がGDP成長率に影響を与える割合】

 著者は、「GDP=みんなの平均給与×総人口」と定義し、2065年に人口が8800万人まで減少した場合の、GDPの変化率を、微・積分的な計算式で、△0.7%程度との解答を出し、「この程度は、影響はほとんどなし」と結論付けます。つまり、この程度の減少は、前述の「白書」を例に上げ、ICTの活用等による生産性の向上等でカバーしてお釣りが出ると主張するのです。

【人口増減率と一人当たりGDP成長率は相関が無い】

 著者は、世界208か国の人口増減率と一人当たりGDP成長率(2000~2017年)をマトリックス(縦軸に一人当たりGDP成長率、横軸に人口増減率)上にプロットすると、△0.22の相関係数になるとの結果を示しています。つまり世界全体でいえば、人口増加は不味(まず)いが、人口減少は不味(まず)くないとの結論を導くのです。同様の手法を先進国に限って行うと、一人当たりGDPは、人口増減率と無相関との解答・結論を導き出すのです。要は、人口減少はマクロ的に見ると、全く問題ないと結論付けるのです。

【インフレ率と人口増減率、通貨増減率の相関関係】

 インフレ率と人口増減率の関係については、世界銀行のデータを使い、世界173か国の人口増減率とインフレ率(2000~2008年)をマトリックス(縦軸にインフレ率、横軸に人口増減率)上にプロットすると、0.1程度の相関係数で、ほぼ無相関との解答を示しています。一方、世界各国の通貨増減率とインフレ率(2000~2009年)をマトリックス(縦軸にインフレ率、横軸に通貨増減率)上にプロットすると、0.7の相関係数になるとの解答を示しています(相関が強い)。つまり、「人口減少=デフレ論」は統計手法・高等数学に弱い官僚・学者の主張であり、デフレは金融政策で対処できることに、これらの官僚・学者は、目を向けるべきだと著者は主張します。

【人口減少で社会保障は破綻しない】

 

 著者は、この問題について「破綻しない」という数理的に説明できる根拠を持ちながら、敢えて紹介本に示さず(ページが足りない)簡単に説明しています。現役世代が高齢者一人を支える人数は、「高齢社会白書2018年版」によると(単位:人)、2000年3,9、2017年2,0、2025年1,9、2065年1,3とされていますが、著者は『年金を支えるのは人数ではなく「人口×所得」の金額こそが年金数理上大切なのだ』と主張し、『人口が減少しても「人口×所得」の金額が減少しなければ、何ら問題は生じない。その様な政策・経営をしていく事で破綻を回避できる。』と主張するのです。

   「人口減少」を「チャンス」と捉えよう(むすび)

 今こそ「人口減少」を梃子に、今まで旧態依然と流れていた日本経済には、大企業病による「エンゲージメント」の低さと、それに伴う生産性の低さ等、改める点は山ほど有るのではないでしょうか。

 例えば3・6K(きつい、危険、汚い、給料が安い、休暇が少ない、カッコ悪い)職場を、新3K(給料がいい、休暇がとれる、希望が持てる)職場にAI・ICT等を用い変えていく事で、女性が働ける職場すなわち労働人口を増やして行く対応・変革をしている企業が増えています。「特定技能1級」の外国人労働者を受け入れる安易な法改正により、労働集約型職場を温存させる政策は、ポピュリズム政策ではないでしょうか。むしろ、労働集約型職場は淘汰され、資本集約・知識集約型職場が主流となっていく時代ではないでしょうか。それは「人口減少」を「チャンス」と捉え改革した企業が生き残り、従来の流れを温存した企業が淘汰・買収される時代に成っていくのではないでしょうか。

 

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2019年04月30日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 「終わった人」 定年を迎えたメインバンク出身の男性を描いた内館牧子著の話題作

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 「終わった人」 定年を迎えたメインバンク出身の男性を描いた内館牧子著の話題作

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■  今日のおすすめ

 『「終わった人」〔内館牧子著 講談社〕』

 内館牧子(うちだて まきこ、1948年9月10日 - )女史は、脚本家として、いろいろなドラマで活躍していますが、作家としての道も歩まれています。

 日本で最初の横綱審議委員会委員として活躍された時期もあり、東京都教育委員会委員を始め、公職としても活躍しています。

■【経営コンサルタントの本棚】 「終わった人」 内館牧子著 講談社 

 

◇ <その1>「終わった人」とは

「定年小説」というジャンルが、小説にあるそうです。これまでの代表作として城山三郎氏の「毎日が日曜日」を私は挙げることができます。

 2107年に発刊された内館牧子氏の「終わった人」という小説が、映画化されるなど、大変脚光を浴びています。

 私は、このタイトルを見たときに、「社会的に存在価値のなくなった人」という捉え方から、自分も、その仲間入りしつつあるのではないかと実感するようになってきました。

 そんな気持ちを確かめるために、この本を手に取ることにしました。しかし、日常業務にかまけて、なかなか紐解くことができなかったのです。

 ところが、読み始めたら、脚本家として培ってこられた、わかりやすく、読みやすい文章ということもありますが、ストーリーに引き込まれてしまいました。仕事の合間を見ての読書から脱して、連休を利用して一気呵成に読んでしまいました。

 それだけ、評価の高い作品といえます。 <その2へ続く>


◇ <その2> 主人公の生い立ちと出世街道

 大手銀行の出世コースをまっしぐらに走る主人公は、東大法学部出身者です。その様な人が銀行に入れば、当然のことながら、エリートコースに乗ることになります。早い出世は、約束されたようなもので、将来は、役員間違いなしでしょう。

 主人公は、予想通り、成功して行き、いよいよ役員選考時になり、当然のことながら本人も「今回は間違いなし」と確信しています。

 本人は、もとより、周囲も、学歴からも、その実力と実績からも高く評価されていました。

 上司に呼ばれ、役員昇進が決まったことを告げられれば「なんと言おう」と思案しながら、また、どの様な部署を担当する役員なのか期待しながら、上司の個室に向かいました。

 まもなく、自分にもこの様な個室が与えられることになると、ネガティブな言葉が待っているとはみじんも思わず、ドアをノックします。

 上司から、告げられたのは、社員30名ほどのシステム関係の子会社の専務取締役としての出向でした。

 左遷であることは明白ですが、周囲は「栄転」と言って送り出してくれました。パーティー会場から送り出されるとき、慣例として黒塗りの車での送り届けの車内の主人公の心中を適切に描いている内舘氏、経歴を見たら、本人もサラリーマン生活を送ったことがあるのです。


 出向先の子会社では、気持ちを切り替えて取り組まざるを得ません。経営改革努力は、実を結び、結果として出てきました。本社への配転も視野に入ってきました。

 しかし、会社の性格上、本社等からの受注産業的業務で成り立つ企業です。売上は安定していますが、大きな変革は期待できません。かといって、銀行という信用を重んじる企業ですので、無関係の会社からの受注は許されません。成長に限界があるのです。

 早く本社に戻りたいが為に、それでも体質改善の努力をしますが、なんと、出向から、その子会社への転籍という通知が来たのです。本社へ戻る道は絶たれたといっても良い状況になりました。


 大企業には、派閥争いという出世に大きく影響する潮流があります。主人公は、超一流の大学、しかも銀行での出世コースのための法学部を優秀な成績で卒業したのです。

 しかし、自分の配属部署にいることで、成り行きで所属することになった派閥が、主流から外れてしまい、トップで入社したにもかかわらず、同期の、しかもどちらかというと、それほどでもない男に、自分の進むべき道を盗られてしまったのです。

 その気持ちがいかばかりであるかは、われわれ凡人には解らないかも知れませんが、想像はつきます。出世競争というのは、厳しいものですけど、運・不運が伴うということは、なんとなく公平性に欠けているように思えます。 <その3へ続く>

 

◇ <その3> 定年退職者の心理

 前回、内館牧子女史の「終わった人」という書籍のイントロの部分として、主人公の学生時代からの生い立ちと、就職から出稿までの経緯についてお話しました。今回は、その後の主人公について、お話します。


 本社へ戻る道が絶たれた主人公は、定年延長という道を選ばず、会社が定めた62才で定年退職する道を選びました。送別パーティが終わり、型どおりの花束贈呈が済むと、一人寂しく家路につきます。

 翌朝からは、自分だけの時間を謳歌できるようになります。

 数日の謳歌が済むと、なんとなく居心地の悪さを感ずるのでしょう。これは、大半の定年退職者が感じることではないでしょうか。

 肩書きのない生活は、サラリーマン生活に浸りきってきた主人公には、馴染めずにいます。

 健康的な老後を過ごすためにスポーツジムに通うのですが、明るい、健康的なところを想定していたにもかかわらず、予想とは異なり、高齢者の吹きだまりのような思いを主人公はします。

「あの人達のようには、なるまい」と思う主人公の気持ちがわかるような気がします。でも、あの人達と同じように、主人公も、誰が見ても年寄りなのです。しかし、同じようになるまいともがきます。

 ひとり、年齢の若い男性がいて、年寄り達に囲まれて、ランチを一緒にしています。それを別に羨む気持ちはありませんが、主人公も誘われるものの、乗り気にはなりません。

 居場所のなさを感ずるのが、定年退職者の性でしょうか。 <その4へ続く>


◇ <その4> 第二の人生が始まる

 定年退職すると時間が自由に持てます。ところが、しばらくすると、それに疑問を持つようになります。主人公は、スポーツジムに通うのですが、予想と異なり、スポーツジムは高齢者のたまり場なのです。

 そのような中で、主人公は、大学院に行こうと決めたのですが、入学試験として論文があります。そのテーマをなににするのか迷いながらも、関心のあるテーマが、自分の専門外であることから、論文に仕上げられる基礎知識を習得するためにカルチャースクールの門をたたきます。

 受付の担当者と話をしているうちに、自分の故郷の有名人、石川啄木をテーマにすることに考えを変更しました。受付担当の女性が親切で、親しくするうちに、すんなりとそうなったわけではありませんが、食事に誘う仲となりました。

 しかし、東大出の秀才でも、不倫とはいえないが、女性との交際と大学院受験とは両立為ません。論文をまとめるということは簡単ではなく、やがて、それに集中するようになります。


 その様な折、スポーツジムに通っていたときの40歳代の男性と、道でばったりと会います。

 ジムに通っているときには、高級車を乗り回す、その男性にはあまり関心を持ちませんでした。ところが、彼が、ICT関連の会社の社長であることが判明、それだけではなく、主人公を顧問として迎入れたいというのです。

 その理由は、主人公の学歴、銀行定年退職(実際は、子会社)という経歴に関心が高いのです。ICT企業というのは、若い社員が多く、顧客からの信頼をなかなか勝ち取れませんし、金融機関からはなかなか資金貸し付けなどを得られません。主人公の経歴は、その様な企業にとっては魅力的なのです。

 サラリーマン生活の長い主人公には、その”性(さが)”が、頭を持ち上げ、顧問を引き受けることになりました。

 幸い、主人公の経歴がモノをいい、業績も向上し、主人公も、その会社では不可欠な存在と、社長だけではなく、社員も思うようになりました。以前いた会社と同じような規模であり、そこでの経験を活かすことができたのです。

 大学院受験は棚上げ、一方、気分的にゆとりが出てくると、カルチャースクールで出遭った女性と再び食事をするようになりますが、それ以上の進展はありません。 <その5へ続く>


◇ <その5> 若い社長の突然死

 銀行で出世競争に敗れた主人公が、その子会社で定年を迎え、悠悠自適の生活を始めましたが、それに満足できません。通っていたスポーツジムの会員である、40歳代の男性の誘いで、ICT企業の顧問を務めるようになりました。

 主人公は、定年退職でくすぶっているような人ではなく、”働くこと”に生きがいを感じる人ですので、ICT企業における新しい日々を謳歌できるようになりました。

 しかし、よいことは、いつまでも続くとは限りません。若い社長が突然他界し、明るい空気が一変してしまいます。

 主人公は、後任の社長候補を心に決め、取締役会に臨みます。その場で、その案を提示しますが、意に反して、四人の取締役は、主人公を社長に迎入れたいと、固い決意を示します。

 主人公は、一旦は断りますが、結局、引き受けることになりました。

 経営者が代わると、金融機関や取引先が心配するので、挨拶回りをします。幸いなことに、主人公の経歴がモノをいい、大半が従来のマーケティング間継続できることになりました。

 新たに打つ手が当たり、好調に推移します。

 国内事業だけではなく、海外展開も視野に入り、幸いなことに東南アジアの某国の顧客との商談がまとまりました。相手企業は、国の高官が関与する企業で、その契約を進めることにしました。

 3億5000万円の商談ですので、会社は一気に活気を呈するようになりました。

 かつて通っていたカルチャースクールで知り合った女性との会食も再開できました。

 妻は、かねてから計画していた、自分の美容室を持つための準備を着々と進めています。 <その6へ続く>

 

◇ <その6> 恋人の裏切り

 よいことはいつまでも続くわけではないということを知る主人公に、新たな試練が襲ってきます。

 政府高官をしている、海外取引先の企業のオーナーが失脚してしまいます。そのため、いろいろと手を尽くしたものの、3億5000万円は、回収不能となってしまいました。

 金策に走る毎日。元勤務していた銀行も冷たいもので、ましてや他行も掌を返すがごとく、融資をしてくれません。

 当然のごとき成り行きで、倒産。社長として9000万円の負債を負担することになりました。

 そのタイミングで、自分の美容室の開店が行われました。

 妻は、態度を一変。夫婦仲は険悪となり、主人公は主夫となってなんとか結婚生活は続きます。しかし、まともなコミュニケーションもない日々です。

 カルチャースクールの女性と会食の機会を作り、抜き差しならない関係になるように画策します。ところが、ことの成り行きで、実現できませんでした。

 その背景には、主人公が腰を抜かすようなことが進んでいたのです。

 主人公の従弟の家で会食することになり、難とその席に偶然、主人公がいるのを知らずに、その女性が訪れてきたのです。その女性と従弟とことの関係を知った主人公の気持ちはいかばかりでありましょう。 <その7へ続く>

 

◇ <その7>「 終わった人」の人生の行く末


 悶々とする主人公のところに、故郷の高校で同窓会が開催されることになり、岩手に帰郷しました。級友と再会、自営業や、中にはNPO法人を立ち上げて、地方創生を行っているものもいます。

 母親にも会え、主人公は、何か新しい生き方もあるのではないかと気がつきます。

 主人公は、岩手に帰りたいという気持ちが強くなるのですが妻に対する贖罪ができなくなるということと、内心で葛藤をするのです。

 妻に話すと、意外とあっけらかんとして、岩手に帰ることに同意します。しかし、離婚はしないという条件が付きました。

 その言葉の裏には、主人公の贖罪において、ジワジワと攻める、真綿で首を絞めるような意図も感じられます。

 結局、主人公は新幹線に乗って、岩手への帰途につきます。妻から、一つ後の新幹線で追いかけるから、岩手駅で待つようにと連絡があります。

 二人で、主人公の母に会います。妻は、母親に心配かけまいと演技をしてくれます。主人公は、和らいできた妻の気持ちに安堵するところで、終わります。


 作者がいう「終わった人」と、読書前の私の「終わった人」という意味に、ニュアンスの違いを感じますが、それを上手に表現できません。

 私は、もっと狭く、たとえば主人公の銀行の中で、終わった人として周囲の冷たい目にさらされるというようなストーリー展開を想像していたのです。

 ところが、社会的に、価値のなくなった人ではありますが、まだ、社会は、主人公の価値を必要としているというのが、作者のいう「終わった人」です。

 ここに作者の大きさを感じました。

「終わった人」というのは、周囲の見方と、本人とでは、捉え方が異なることに気がつきました。自分自身が「終わった人」と気がついたときに、別のステージでの生き方を模索できる人と、それができない人が世の中に入るのではないでしょうか。

 後者の人こそ、本当に「終わった人」であって、この本の主人公のように、故郷で、新たな生き方ができるのではないかと、希望を捨てない人は、終わっているのではなく、新たな人生のスタート台に立てるひとなのです。

 私も、後者の、本当に終わった人ではなく、本書に描かれている、主人公のような道を見出したいと思います。

(ドアノブ)

  ブログで連載しました

  <その1>「終わった人」とは

  <その2> 主人公の生い立ちと出世街道

  <その3> 定年退職者の心理

  <その4> 第二の人生が始まる

  <その5> 若い社長の突然死

  <その6> 恋人の裏切り

  <その7>「終わった人」の行く末

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■■ 【経営知識】管理会計 管理会計を再び紐解いてみてはいかがですか?

 

 管理会計を学んだことのある人は多いと思います。

 ところが、理屈ばかりで、今ひとつ面白みがない「学問」であると感じた人も多いでしょう。

 ビジネスパーソンは、管理会計を学問と捉えるよりも「経営実務のための経営思想」と捉えてみてはいかがでしょうか?

 ますます、わからなくなった!?

 と、お感じの方は、ぜひ、当ブログを参考にしてみて下さい。

 

■ “真”の管理会計とは何かを初心に戻って見直してみましょう

 管理会計は、私たちに「気付きの機会」を与えてくれる魔法の力を持っています。たとえば、需要予測をして、売上計画を立案したり、営業部門の課題抽出に使ったりなど、管理会計は現場の実務にとても役立ちます。

 一方で、「管理会計は理屈っぽい」「実務とかけ離れている」などと敬遠されがちです。その背景には、管理会計関連書の多くがアカデミックな著者による執筆だからです。経営というのは、泥臭い部分が多いので、現場で苦労している経営者・管理職や担当者の求めているものとは異なるところが多いのです。

 筆者は、40余年もの長きにわたって経営コンサルタントとして現場に密着してきました。従来の管理会計がバランススコアカードとか損益分岐点分析とかという経営手法の横割り的な目次構成でしたが、本書は、そのメリットを活かし、かつ利用者が求めている縦割り的な利用法をマトリックスに組み合わせたコンセプトで書かれています。

 また、経営コンサルタント団体として最も歴史と伝統のある「日本経営士協会」による、日本を代表する会計学の権威者が培ってきたノウハウを継承して、昨今の経営現場に即する形に管理会計を焼き直しました。その結果、従来の管理会計とは「別物」といえるほど、現場に則した管理会計書になりました。

 本書は、「営業・マーケティング編」として記述されていますが、営業職だけではなく、ICTや経営企画などの現場でも役立つ管理会計のノウハウと、自分の仕事に生かす方法を解説した「きょうか書(教科書+強化書)」です。管理会計で「なにができるのか」「どのように取り組むべきなのか」を興味のある項目から調べましょう!

目次

 第1章 管理会計を正しく理解する

 第2章 需要予測で売上計画を立案

 第3章 社内データを活用した顧客戦略に管理会計を活かす

 第4章 商品戦略、地域戦略に管理会計を活かす

 第5章 市場戦略に管理会計を活かす

 第6章 温かい管理に管理会計を活かす

 第7章 温かいプロセス管理ができる営業設備

 第8章 管理会計で営業力を向上させる

 定価:1,800円(+税) A5判/ページ数 359ページ

 

■ 著者プロフィール

 アメリカで経営学、マーケティングを学び、日本の商社で事務機器、印刷機器の輸出入業務や新製品開発と市場導入などを担当。ニューヨーク駐在所長、アメリカ法人役員などを歴任後、経営コンサルタントとして独立。パソコン揺籃期から中堅・中小企業のパソコン活用の啓蒙、ICT活用による経営戦略の指導など、国内のみならずグローバルなコンサルティング活動を展開。現在、日本のコンサルタントの地位向上、若手育成に力を注ぎ、日本経営士協会会長他、各種の要職に携わってきました。

 ソフトバンク「営業管理職のためのパソコンノウハウ」、秀和システム「ロジカル・シンキングがよ~くわかる本」「クリティカル・シンキングがよ~くわかる本(秀和システム 今井信行著)」、アメリカ・マグローヒル社「アメリカにとって今が対日進出のチャンス」など、著書や論文・寄稿・講演など多数

  


Posted by 経営士 at 17:01経営コンサルタントの本棚

2019年04月23日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 『組織の未来は「エンゲージメント」で決まる』

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 『組織の未来は「エンゲージメント」で決まる』
 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。
 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。
■  今日のおすすめ
 

『組織の未来は「エンゲージメント」で決まる』

   (新居佳英 松林博文 著 英治出版)

 
 

■         日本企業の驚くべき現実!やる気のない社員が7割!(はじめに)

 私の日本企業観は、細かい処まで行き届く、品質的には世界のトップクラスを行き、日本企業(日本人)に対する、世界の信頼感は圧倒的に高いと思っていました。その考えは今も基本的には変わっていません。しかし、ここ1,2年の間に起きた、余りにも多い、しかも優良企業の、品質検査データ改ざん事件(旭化成建材、日産、スバル、神戸製鋼所、三菱マテリアル、KYB、日立化成等)を目にして、何故という疑問が答えのないまま、頭の中に残っていました。

 しかし、紹介本を読んで、最近の日本企業の現実を理解し、一つの答えが出てきたように思いました。紹介本が紹介する日本企業の現実とは、米国ギャラップ社が2017年に世界各国の企業を対象に実施した「従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査」結果に現れている事実です。日本は、「熱意溢れる社員」は6%、「やる気のない社員」は70%、「周囲に不満を撒き散らしている無気力な社員」は24%と驚く数字が出ているのです。調査対象139か国の中で132位と最下位クラスに属しているのです。

 著者は、『日本企業も高度成長期時代は、エンゲージメントは高かった。しかし、バブルが崩壊し「失われた30年」と言われる時代は、欧米の「事業」に関する指標が取り入れられ、それを基に「事業」の再構築が図られ、「事業」の指標に目が向けられる一方で、「組織」の状態を測る指標が存在しなかった。つまり経営者が「エンゲージメント」の側面を意識してこなかった結果が調査結果として現れている』と説きます。

 この結果、労働生産性(GDP/就業者数)国際比較においても、OECD32か国中22位(GDPでは18位)と、アメリカの労働生産性の6割程度に留まっている現実となっているのです。

 ここで、誤解の生じないよう、従業員満足度とモチベーションとロイヤリティーとエンゲージメントの違いに簡単に触れておきましょう。『「エンゲージメント」は、従業員相互の対等の関係に基づき、主体的・意欲的に取り組んでいる状態を言う。これに対し、従業員満足度(ES)は組織が与えるもので、ESは必ずしも業績や生産性の向上に結び付かない。モチベーションは個々人の動機付けであり、必ずしも組織としての生産性の向上とは結び付かない。ロイヤリティーは上下関係が生み出すもので、相互の対等の関係による「エンゲージメント」とは異なる。』と著者は記します。詳細は紹介本をお読みください。

 それでは、エンゲージメントが経営上どの様な成果を上げているか、次項で実例を参考に見てみたいと思います。

                       

■         ポテンシャルは高い日本企業。エンゲージメント経営で変革できる。

【JAL再生成功の本質】

 著者は、日本企業と日本人のエンゲージメントのポテンシャルとても大きいとし、その象徴的事例として、JAL再生成功を挙げています。

 JALは2010年1月に会社更生法の適用を申請。申請直後の2010/3期の営業利益は▲1,337億円。2012年9月に再上場。再上場直前の2012/3期の営業利益は2,049億円の黒字。約2年余りの再生期間で、3,349億円の採算改善を成し遂げました。

 かかる奇跡的な再生は何故できたのでしょう。再生に当たり、世界中から航空会社を再生させたと称するコンサルタント会社が売り込みに来ました。しかし、最終的には、JALの再建に携わった企業再生支援機構(現地域経済活性化支援機構)委員長の瀬戸英雄弁護士(瀬戸氏自身も倒産企業の再建のベテラン弁護士として、JAL再建成功のもう一つのカギと評価されている)が、京セラの名誉会長稲盛和夫氏を再生会社JALの会長に招聘することに成功したからです。

 稲盛和夫氏は、経営について次のような公式を持っています。『人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力』。JAL再生に当たってもこの公式を全面的に導入しました(「アメーバ経営」の導入)。その中でも特に「考え方」が大切と稲盛氏は主張します。特に、JALで実現すべき経営的「考え方」は、従来の組織構造を革命的に変革し、全社員との家族のような関係の構築、経営者意識を持った人材の育成、独立採算意識を浸透させるためのアメーバ組織と収益状態を管理するツール(「京セラ会計」)の導入、アメーバ組織間の利害対立の解消、全社員の会社経営への参画であると主張します。

 この様な思考を背景に、「考え方」を具現化したもの(手帳)が「JALフィロソフィー」です。JALフィロソフィーは、経営理念を指針化したもので40項目に亘ります。JALフィロソフィーは、社員メンバーを集め、自ら作り上げたのです。しかも、JALフィロソフィーの基本となる経営理念は、『≪全社員の物心両面の幸福を追求し、≫≪お客様に最高のサービスを提供します。≫≪企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。≫』でした。「公的支援を受けた企業」の経営理念には相応しくないと批判を浴びながら、あえて導入したのは、社員一人一人の幸福なしに、何事も進まないことを、稲盛氏はよく理解していたからでした。

 JALの再生成功を振り返ってみて、正にそれは『「エンゲージメント」経営』であると理解できるのではないでしょうか。米ギャラクシーの「従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査」で最下位クラスの日本でも、立派に出来ることの証ではないでしょうか。

【外国企業は先を走っている】

 ここ数年前から、グーグルは新しい幹部役員として「CHO(Chief Happiness Officer」という役職を置いています。又マイクロソフトでは、2014年にCEOに就任したサティア・ナダラ氏は「コンパッション(思いやり)」や「エンパシー(共感)」を重視した経営を行うと公言し、「私たちは、満たされていない、明確にされていない顧客ニーズを展開している。深い共感力、つまり他者の視点を持つ力なしには、この目的を果たし続けることはできない」と語り自らを「CHO」と称しています。両社ともニューヨーク株式市場の時価総額のトップクラスを競う企業に成長しているのです。

【日本の企業も『「エンゲージメント」経営』を導入し始めている】

 日本企業でも、大企業から中小企業に至るまで、著者の会社が売出す「WEVOX」(「エンゲージメント」の見える化のSaaS)を利用している会社が、リリース1年半で約500社に上ると著者は言います。紹介本にも幾つかの導入成功事例が紹介されていますが、これからの時代、「エンゲージメント」経営が注目されるのではと思います。

 

■         成長企業が新たな経営手法「エンゲージメント経営」を導入(むすび)

 前項で記しましたように、「エンゲージメント経営」が、世界では既述2社の他、アップルやディズニーなど多くの企業で導入されています。日本でも既述の如く多くの企業がトライをしています。

 これからの時代、「共創」「共感」「協働」「生産性の向上」「品質の向上」等、人・組織の行動を重視し持続的成長を目指す企業において、「エンゲージメント経営」が注目されて来るのではないでしょうか。

 
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2019年04月23日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 『組織の未来は「エンゲージメント」で決まる』

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 『組織の未来は「エンゲージメント」で決まる』
 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。
 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。
■  今日のおすすめ
 

『組織の未来は「エンゲージメント」で決まる』

   (新居佳英 松林博文 著 英治出版)

 

■         日本企業の驚くべき現実!やる気のない社員が7割!(はじめに)

 私の日本企業観は、細かい処まで行き届く、品質的には世界のトップクラスを行き、日本企業(日本人)に対する、世界の信頼感は圧倒的に高いと思っていました。その考えは今も基本的には変わっていません。しかし、ここ1,2年の間に起きた、余りにも多い、しかも優良企業の、品質検査データ改ざん事件(旭化成建材、日産、スバル、神戸製鋼所、三菱マテリアル、KYB、日立化成等)を目にして、何故という疑問が答えのないまま、頭の中に残っていました。

 しかし、紹介本を読んで、最近の日本企業の現実を理解し、一つの答えが出てきたように思いました。紹介本が紹介する日本企業の現実とは、米国ギャラップ社が2017年に世界各国の企業を対象に実施した「従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査」結果に現れている事実です。日本は、「熱意溢れる社員」は6%、「やる気のない社員」は70%、「周囲に不満を撒き散らしている無気力な社員」は24%と驚く数字が出ているのです。調査対象139か国の中で132位と最下位クラスに属しているのです。

 著者は、『日本企業も高度成長期時代は、エンゲージメントは高かった。しかし、バブルが崩壊し「失われた30年」と言われる時代は、欧米の「事業」に関する指標が取り入れられ、それを基に「事業」の再構築が図られ、「事業」の指標に目が向けられる一方で、「組織」の状態を測る指標が存在しなかった。つまり経営者が「エンゲージメント」の側面を意識してこなかった結果が調査結果として現れている』と説きます。

 この結果、労働生産性(GDP/就業者数)国際比較においても、OECD32か国中22位(GDPでは18位)と、アメリカの労働生産性の6割程度に留まっている現実となっているのです。

 ここで、誤解の生じないよう、従業員満足度とモチベーションとロイヤリティーとエンゲージメントの違いに簡単に触れておきましょう。『「エンゲージメント」は、従業員相互の対等の関係に基づき、主体的・意欲的に取り組んでいる状態を言う。これに対し、従業員満足度(ES)は組織が与えるもので、ESは必ずしも業績や生産性の向上に結び付かない。モチベーションは個々人の動機付けであり、必ずしも組織としての生産性の向上とは結び付かない。ロイヤリティーは上下関係が生み出すもので、相互の対等の関係による「エンゲージメント」とは異なる。』と著者は記します。詳細は紹介本をお読みください。

 それでは、エンゲージメントが経営上どの様な成果を上げているか、次項で実例を参考に見てみたいと思います。

                       

■         ポテンシャルは高い日本企業。エンゲージメント経営で変革できる。

【JAL再生成功の本質】

 著者は、日本企業と日本人のエンゲージメントのポテンシャルとても大きいとし、その象徴的事例として、JAL再生成功を挙げています。

 JALは2010年1月に会社更生法の適用を申請。申請直後の2010/3期の営業利益は▲1,337億円。2012年9月に再上場。再上場直前の2012/3期の営業利益は2,049億円の黒字。約2年余りの再生期間で、3,349億円の採算改善を成し遂げました。

 かかる奇跡的な再生は何故できたのでしょう。再生に当たり、世界中から航空会社を再生させたと称するコンサルタント会社が売り込みに来ました。しかし、最終的には、JALの再建に携わった企業再生支援機構(現地域経済活性化支援機構)委員長の瀬戸英雄弁護士(瀬戸氏自身も倒産企業の再建のベテラン弁護士として、JAL再建成功のもう一つのカギと評価されている)が、京セラの名誉会長稲盛和夫氏を再生会社JALの会長に招聘することに成功したからです。

 稲盛和夫氏は、経営について次のような公式を持っています。『人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力』。JAL再生に当たってもこの公式を全面的に導入しました(「アメーバ経営」の導入)。その中でも特に「考え方」が大切と稲盛氏は主張します。特に、JALで実現すべき経営的「考え方」は、従来の組織構造を革命的に変革し、全社員との家族のような関係の構築、経営者意識を持った人材の育成、独立採算意識を浸透させるためのアメーバ組織と収益状態を管理するツール(「京セラ会計」)の導入、アメーバ組織間の利害対立の解消、全社員の会社経営への参画であると主張します。

 この様な思考を背景に、「考え方」を具現化したもの(手帳)が「JALフィロソフィー」です。JALフィロソフィーは、経営理念を指針化したもので40項目に亘ります。JALフィロソフィーは、社員メンバーを集め、自ら作り上げたのです。しかも、JALフィロソフィーの基本となる経営理念は、『≪全社員の物心両面の幸福を追求し、≫≪お客様に最高のサービスを提供します。≫≪企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。≫』でした。「公的支援を受けた企業」の経営理念には相応しくないと批判を浴びながら、あえて導入したのは、社員一人一人の幸福なしに、何事も進まないことを、稲盛氏はよく理解していたからでした。

 JALの再生成功を振り返ってみて、正にそれは『「エンゲージメント」経営』であると理解できるのではないでしょうか。米ギャラクシーの「従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査」で最下位クラスの日本でも、立派に出来ることの証ではないでしょうか。

【外国企業は先を走っている】

 ここ数年前から、グーグルは新しい幹部役員として「CHO(Chief Happiness Officer」という役職を置いています。又マイクロソフトでは、2014年にCEOに就任したサティア・ナダラ氏は「コンパッション(思いやり)」や「エンパシー(共感)」を重視した経営を行うと公言し、「私たちは、満たされていない、明確にされていない顧客ニーズを展開している。深い共感力、つまり他者の視点を持つ力なしには、この目的を果たし続けることはできない」と語り自らを「CHO」と称しています。両社ともニューヨーク株式市場の時価総額のトップクラスを競う企業に成長しているのです。

【日本の企業も『「エンゲージメント」経営』を導入し始めている】

 日本企業でも、大企業から中小企業に至るまで、著者の会社が売出す「WEVOX」(「エンゲージメント」の見える化のSaaS)を利用している会社が、リリース1年半で約500社に上ると著者は言います。紹介本にも幾つかの導入成功事例が紹介されていますが、これからの時代、「エンゲージメント」経営が注目されるのではと思います。

 

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 前項で記しましたように、「エンゲージメント経営」が、世界では既述2社の他、アップルやディズニーなど多くの企業で導入されています。日本でも既述の如く多くの企業がトライをしています。

 これからの時代、「共創」「共感」「協働」「生産性の向上」「品質の向上」等、人・組織の行動を重視し持続的成長を目指す企業において、「エンゲージメント経営」が注目されて来るのではないでしょうか。

 
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2019年02月26日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日経大予測2019「これからの日本の論点」 見るためのポイント

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日経大予測2019「これからの日本の論点」 見るためのポイント



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 『日経大予測2019「これからの日本の論点」』


   (日本経済新聞社編 日本経済新聞出版社)



    2019年の「日本の論点」に注目してみよう(はじめに)



 新しい年のスタートの時期に当たり、新年のPESTに係る本をご紹介します。



 紹介本は毎年日本経済新聞社から出版される恒例の本であり、表題の「2019『これからの日本の論点』」が出版されると、「もうそんな時期になったか」と思うと共に、新年はどんな年になるのだろうと、胸をどきどきさせながら読みます。



 2019年版は、「経済・金融のこれから」「産業・企業はこれからどうなる」「政治・国際情勢・世界経済はこれからどうなる」の3Chapter、22項目に亘って日本経済新聞の記者が書き下ろしたものです。



 日頃からPEST(政治・経済・社会情勢・技術)に関心を持ち、新聞やテレビなどから情報を取集しておられる方にとっては復習的になるかもしれませんが、改めて22のテーマについて読みますと、意外と新たなメタな情報の発見があります。



 22のテーマの中には、日頃のニュースではあまり報じられていないもの、報じられても表層的で、深く分析的に報道されていないものがあります。そのような中から「注目したい日本の論点」を、次項でご紹介します。



 



    2019年の「日本の論点」の特徴は



【2019年は国際情勢が懸念の中心に】



 紹介本は、2018年を総括して、『トランプ大統領の「やりたい放題」の政策が現実の姿となって現れたのが、2018年という1年の特徴だった』と表現しています。更に『米前大統領のオバマ政権の時から、「もはや世界の警察官ではない」と公言し、世界のリーダー役から退く構えを示してきた経緯があったが、「世界秩序の破壊者」と称されるトランプ政権の時代になり、世界のリーダー役の不在が現実となってしまった。中国もロシアも強権国家であり、リーダーの代替にはなりえない。結局トランプ政権がもたらした国際的な混乱に世界は揺さぶられ、国際秩序は当面リーダーとなる調整役が不在のまま不安定な状況が続くとみるべきであろう』、と強調しています。



 崩れた国際秩序の中で、2019年はどんな懸念があるのでしょう。紹介本は22項目の内7項目を割いて国際情勢の懸念を予測しています。それは日本の政治・経済情勢が、国際情勢の影響を受けやすい年である事を特徴づけています。



 それでは、どんな国際情勢の懸念があるのか、重要と思われる幾つかを以下で採り上げてみましょう。



【米中貿易戦争と日本】



 米中貿易戦争は、米中が世界の政治・経済・技術での覇権争いです。米国と中国の競争状況を数字で拾ってみると、特許出願数では中国は日本を抜いて2位(1位は米国)、スーパーコンピューターの計算速度では中国は米国に次いで2位、スパコンの保有台数では中国が米国を抜いて1位、AIを手掛ける企業数では僅差で中国は米国に次いで2位となっており、米国としても中国の脅威を感じざるを得ません。



 加えて、トランプ、習近平の背景には、それぞれの国の政治情勢が深く絡んできます。習近平の権力も盤石とは言えません。北京の近くの保養地で毎年8月に開催される「北載河会議」、2018年は引退した江氏、胡氏等の長老と現指導部からは李克強など4名が出席したと報じられています。その会議で、江氏と胡氏が手を組み習近平に、外交・経済政策の見直しを求める1万字を超える意見書を提出したとの噂も出ていることから、盤石に見える習政権に何か変化が起きる可能性を否定できません。



 この様な米中の深い対立があって、日本と中国の外交的改善や協力関係の推進が持ち上がって来ていますが、米中の板挟みの中での日本の判断は悩ましいものとなりそうです。



【世界に広がる「ナショナリズム」と「ポピュリズム」】



 2018年に蒔かれた、トランプの「アメリカ・ファースト」が世界に多くの「ナショナリズム」と「ポピュリズム」の国家を生みました。「ナショナリズム」とは国家主義と訳せばいいのでしょうか。「ポピュリズム」とは大衆迎合政治と訳せばいいのでしょうか。ドイツの「ドイツのための選択肢」の躍進、オーストリアの極右・自由党政権の成立、イタリアの「五つ星運動」「同盟」の連立政権の成立、チェコ、ハンガリー、メキシコなどでの政権交代等世界は大きく変わってきています。



 今までの世界秩序を維持してきた、「普遍的・公正なルール」が通用しなくなるのではと懸念されます。G7、G20、APEC等の国際秩序を作ってきた同盟組織・機構が機能を果たせなくなる事態が起こるのではないかと懸念されます。そこから生じる地政学リスクに注意を払う必要のある年になりそうです。



【目を離せない中東情勢】



 アメリカの、核合意離脱によるイランへの制裁強化は、これからどのような影響を世界に与えていくのでしょう。まさかホルムズ海峡の封鎖には至らないでしょうが。



 あれだけ結束の固かった「湾岸協力会議」が、現在はメンバーの一員であるカタールがサウジアラビアと断交しています。ジャーナリスト、ジャマル・カジョギ氏の殺害から明らかにされつつある、サウジアラビアの非民主主義・強権国家・恐怖政治体制が中東の秩序にどのような影響を生じさせるのでしょう。中東からも目を離せません。



【まだまだ沢山ある国際情勢の懸念】



 以上述べてきた以外にも多くの、国際情勢の懸念が多くあります。字数の関係もあり、上記に留めますが、ご興味をお持ちの方は、紹介本をお読みください。



 



   2019年は課題満積の年。PESTの動きから目を離すな(むすび)



 「日本の論点2019」から読み取れる特徴は、既述いたしました様に「国際情勢からくる懸念に基づくPESTの動きに注目」と言えるのではないでしょうか。



 経営に係る私達は、見通しと対応の難しい年にどう対処したらよいのでしょう。私見ですが、『スピーディーな「メタ(表に必ずしも現れない事態の原因となっている真の事実)」情報の収集、分析、仮説、検証、実行』をしていく事でしょうか。



【酒井 闊プロフィール】


 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。


  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm


  http://sakai-gm.jp/


 


【 注 】


 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。


 


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2019年01月22日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】『「7つの習慣」会社、家庭、個人、人生のすべて・・・成功には原則があった!

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】『「7つの習慣」会社、家庭、個人、人生のすべて・・・成功には原則があった!



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■  今日のおすすめ


 『「7つの習慣」会社、家庭、個人、人生のすべて・・・成功には原則があった!』



  スティーブン・R・コヴィー著


  ジェームス・スキナー 川西茂 訳 


  キング・ベアー出版




■    名著「7つの習慣」との出会い(はじめに)



 明けましておめでとうございます。新しい年の準備はできましたか。私は、2019年を迎えるに当たり、毎年使っている片面1週間計画のリファイル(refill;バインダー式差し替え手帳)に加え、何か面白い年間手帳は無いかと思い探していると、「7つの習慣入門手帳2019」に出会いました。その手帳のPR文言に、『全世界1,500万人が選んだ「人生を変える手帳」』『全世界3,000万部のベストセラー「7つの習慣」を実践できる手帳』と記されていました。



 実は、「7つの習慣」の上記(今日のおすすめ)初版本(1996年)が新品のまま私の本棚に積読で置いてあるのです。“7つの習慣”なんて、松下幸之助の‟感謝があれば10ヶ条”を実践しているので、読まなくてもいいなと思い、積読にしてしまったのです。



 しかし、全世界で3,000万部も読まれている、日本でも200万部読まれているそんな名著を積読にしておいたのは、コンサルタントとして恥ずかしいと思い、読むことにしました。もう皆さんは読んでおられるので、ご紹介するのは如何かと思いましたが、もしかしたら私と同じように読んでない方がおられるかもしれないと思い、紹介本として採り上げることにしました。尚2013年に『完訳 「7つの習慣」 人格主義の回復』(フランクリン・コビー・ジャパン翻訳、キング・ベアー出版)が出版されています。内容的にはほとんど変わりませんが、より著者の意図に忠実に翻訳をしようとの意図で、若干の修正が加えられています。



 話は少し飛びますが、改訂版の翻訳者のフランクリン・コビー・ジャパンの社名は、アメリカの建国の父と言われているベンジャミン・フランクリン関連の出版を手掛ける「フランクリン・クエスト社」とコヴィー博士が率いる「コヴィーリーダーシップセンター」が1997年に合併し、「フランクリン・コビー社」となったことに由来します。



 それでは本論に戻り、企業経営に、組織運営に、チームマネジメント等人生のあらゆる場面に有益な原則「7つの習慣」を次項でご紹介します。



■ 知って得する「7つの習慣」



【「7つの習慣」を読み終えて深く印象に残ったこと】



 紹介本を読み終えて先ず感じたのは、マネジメントに係るノウハウやツールと言った知識・経験はそれなりに積み上げて来たという自負はありましたが、しかしそれらの土台となる「自己の確立(紹介本では“自立”)」という点に目が向いていなかったことです。「自己の確立」とは普遍的・永続的な価値を持つ原則(正義、公正、誠実、正直、人間の尊厳、忍耐、犠牲、勇気、思いやり、隣人愛等)に基づいた「ミッションステートメント(目的)」を持ち、その上で「反応的(主体的の対極にあるもの。アウトサイド・インに影響を受けて行動すること。)」ではなく「主体的(インサイド・アウトに良い影響を周囲に及ぼしていく事)」に行動できるパラダイムが身に付いていることです。



 更には、「リーダーシップとマネジメント」の意味を間違えていたことです。著者はピーター・ドラッカーの「マネジメントは物事を正しく行うことであり、リーダーシップは正しい事をすることである」を引用し、『「リーダーシップ」は何を達成したいのかという問いに答えようとするもの(目標を探求すること)であり、「マネジメント」はどうすれば目標を能率よく達成できるかという手段に集中することである』と説き、「リーダーシップ」の重要性を強調します。昨年の11月に発覚した日産のゴーン会長の不正事件も、『リーダーシップ(永続的な価値を持つ原則による「自己の確立」)』のパラダイムがどこかで崩れ、「マネジメント」もそれに伴い迷走して行ったのでしょう。「7つの習慣」の大切さを、改めて痛感する事件でした。



 この他にも紹介本を読み終え、ショックを受けた事は多くあります。しかしこの強烈なショックにより、私自身の考えを改め、或いは、新しくパラダイムを作り替えることを始める事が出来たのも、この強烈なショックのおかげと思い、紹介本「7つの習慣」との出会いを感謝しています。この様に、新たな経験を変革・実践に移していく事こそ『「第7の習慣」“刃を研ぐ(再新再生;定期的に、賢明に、バランスよく磨き、そして、向上させること)”』に該当することなのだと気付いているところです。



【自己を確立する3つの習慣「主体性を発揮する」「目的をもって始める」「重要事項を優先する】



 『第一の習慣「主体性を発揮する」』『第二の習慣「目的を持って始める」』については、上述の私の“ショック”経験談から理解していただけると思います。勿論、色々な新たな発見が他にもあると思います。詳細は紹介本を手に取ってみてください。『第三の習慣「重要事項を優先する」』にも新たな発見が多くあります。私が実践を始めた事をお話ししましょう。紹介本には、「何をするにも健康が基本である」という前提で、一日30分の運動を、「重要優先事項」に入れることを勧めています。今日は時間がないから等の理由で意外と後回しにすることが多いのではないでしょうか。『1年8,765時間の内183時間を運動に投入することで、残りの8,577時間の健康が守られるのだから「重要優先事項」入れるのが合理的だ』と説くのです。これを読んだ時から、私は、1日30分のノルディック・ウォーキング実践をしています。



【人間関係の信頼とシナジーを高める3つの習慣「WinWinを考える」「理解してから理解する」「相乗効果を発揮する」】



 ここからは「相互依存関係」の習慣に入って行きます。『第4の習慣「WinWinを考える」』『第5の習慣「理解してから理解する」』『第6の習慣「相乗効果を発揮する」』の後半3つの習慣については、第4、第5の習慣を実践することで、シナジー効果が生まれてくる事は、皆様の頭にすんなりと落ちていく事でしょう。只、ここで紹介本は、生ずるシナジーの効果性は、「自己の確立」の良否によって大きく異なってくることを指摘しています。これは紹介本の重要な部分です。



【第7の習慣は、既述の6つの習慣に磨きをかける「刃を研ぐ」】



 この部分は、上述の私の“ショック”経験談から推測していただけることですので省略します。詳細は紹介本を手に取ってみてください。



■   新たな創造的な展開を可能にする「7つの習慣」(むすび)



 紹介本を読んで痛感したのは、経営者・経営に係る私たちの多くが学んでいることの多くは、“ツール”と言われる類なのかと思ってしまうぐらい、リーダーシップとマネジメントに於いて、人の心の内面の重要性を教えられました。



 紹介本「7つの習慣」を是非読んでください。そこには新しい発見があり、それを実践に移すことで、今まで上手くいかなかったことに、新しい道が開けてきます。又、今まで実現できなかった創造的なビジネスが生まれてきます。



 紹介本「7つの習慣」との「良い出会い」を見出す事が出来るでしょう。




【酒井 闊プロフィール】


 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。


  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm


  http://sakai-gm.jp/


 


【 注 】


 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。


 


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2018年12月25日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 「ITロードマップ2018年版」情報通信技術は5年後こう変わる!

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 「ITロードマップ2018年版」情報通信技術は5年後こう変わる!
 
 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。
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■  今日のおすすめ
   
ITロードマップ2018年版」情報通信技術は5年後こう変わる!
   (野村総合研究所 NRIセキュアテクノロジーズ著 東洋経済新聞社) 
 

 ITの動向に関心を持とう(はじめに)

 私事で恐縮ですが、最近、新聞・テレビ等を見て感じているのは、IT(情報技術)の進化に伴い、数年後には、ビジネス環境・生活環境が今より大きく変わっているのではとの思いです。過去の身近な例として、嘗ての固定電話の時代から、PHS、ガラ携帯、更にはスマートフォンへと世界的に変化していった事を挙げることができます。このような過去の変化は数え上げれば、きりが有りません。それと同じような変化がこれから起こってくるとの思いを強く持っています。

 そんな思いで、その変化を先読みし、対応していく必要が有るのではと思いの中で、紹介本に出合いました。紹介本は、2006年の初版から、毎年1冊、世界的なITの進化の状況と5年後の方向性を纏め、「ITロードマップ」として発刊しています。2019年版もあと数か月以内に発行されます(2018年版は3月22日に発行されています)。

 私はIT分野については余り得意ではありません。紹介本には専門用語が多く出てきて、読み進むには、理解できない専門用語を都度調べながらでしたので、苦労しました。しかし、そんな苦労をしながらでも、ITの進化に伴う世界的な社会の変化についての知見を持たなければ、これからの事業経営に係わっていく事は出来ない、との思いで完読しました。

紹介本を読み終えた効果もあってか、最近のITに係る新聞記事が掲載されていても

その背景を読み取ることが出来るようになりました。

 先日、「米国セールスフォースがアップルと提携」という記事が出ていました。(2018.10.4 日経朝刊。)セールスフォースは、世界で最初のエンタープライズ・チャットプラットホーム(次項で詳細を説明)「Chatter」を世に出した会社です。そこがアップルと提携する意味は、アップルの携帯端末(iOS端末)・チャット(Siri:Speech Interpretation and Recognition Interface。発話解析・認識インターフェース。)等との連携をすることで、セールスフォースのエンタープライズ・チャットプラットホーム・CRM(顧客情報管理)サービスの向上を図り、更にはセールスフォースの開発したAIアシスタンス「Salesforce Einstein」を活用した新たなサービスを提供できると考え、提携したことが理解できます。

 この様に、紹介本を読むことで、世界のIT状況が見えてきます。紹介本の内容は広く、全てをご紹介できませんが、次項で「5年後のIT関連の重要技術」をご紹介したいと思います。特に、経営に係る重要技術に重点を置いて、ご紹介します。

  5年後のIT関連の重要技術

 紹介本で解説している「5年後の重要技術」は、『「人工知能(AI)」ディープラーニングによる自然言語処理の進化』『「AIアシスタントデバイス」普及が始まる音声対話型デバイスが実現する世界』『「エンタープライズ・チャットプラットホーム」ビジネスプラットフォームとしての可能性』『「VR(Virtual Reality:仮想現実)、AR(Augmented Reality:拡張現実) 』『「量子コンピューター」未知なる発見を実現する新型計算機の登場』の5つです。

 5つの分野は何らかの形で、企業経営に関係してきますが、それぞれをご説明するには字数の関係などもあり、詳細をご紹介するのは難しいので、ご興味をお持ちの方は、本書を手に取ってお読み頂ければと思います。本項では、前項でも挙げました「エンタープライズ・チャットプラットホーム」について記述してみたいと思います。

【今後の企業経営に関係の深い「エンタープライズ・チャットプラットフォーム」】

 「エンタープライズ・チャットプラットフォーム」の一番の特徴は、Eメールからチャットサービスへの変換により、社内コミュニュケーションの刷新と業務システムの向上による生産性の向上を狙っています。これが普及期に入るのは、2021年以降とされていますので、なかなかピンと来ないかもしれませんが、内容を簡単に追ってみましょう。

 Eメールによるコミュニュケーションは、個人の端末に頼る結果、情報共有が個人任せになり、加えて、共有(Cc)メールが情報の氾濫を起こし、連絡の見落としをカバーするため、貴重な時間を会議に使うことになります。これに対し、エンタープライズ・チャットプラットフォーム(社内でのEメールは廃止)の場合は、メッセージがサーバー上に集約されるため、過去のやり取りが履歴として残るほか、検索もできます。又プロジェクトメンバー間で会話するための「場」をチャットに設ければ、途中から参加したメンバーであっても必要な情報を自ら探し出すことが可能なのです。社内のコミュニュケーションにおいては、Eメールと比較して多くのメリットを有しています。

 次に、業務システムの向上による生産性の向上について見てみたいと思います。ベンダーによって、差はありますが、数年先に実現する姿を見てみたいと思います。複数の業務システムが、チャットプラットホームをユーザーインターフェースとして統合され、画面を切り替えることなくシームレスに作業できる、多くの他社のアプリケーションと連携しアプリストアから利用できる、カスタマイズは必要であるが業務プロセスの自動化が出来る、WEB会議機能は 自動録画機能・音声のテキスト化機能・議事録作成機能・ホワイトボード機能などが付いている、等々を上げる事が出来ます。まだ本格的に実用化していない(開発・改良)段階であり、今後の本格的な実用化をフォローしていく必要が有ろうかと思います。

 本格的に実用化された場合は、まずは、大企業が対象となると思いますが、費用対効果を考えた場合、中小企業でも導入できるシステムもあると思います。この点もフォローしていかねばならない大切なポイントと思います。

 十分な説明にはなりませんでしたが、大きな変化が、この先起こってくることは、ご理解いただけたのではないかと思います。

  ITの進化の動向を知ろう(むすび)

 チャット(テキストチャット、ボイスチャット、ビデオチャット:SiriやCortanaやSkype等)を使っていますか。私はあまり使っていません。しかし、チャットプラットホームがユーザーインターフェースになって、エンタープライズ・チャットプラットフォームを作り上げていく世界、そんな時代が来るのです。

 ITによりビジネスの世界が大きく変わろうとしている今、時代に遅れないように、懸命にフォローして行かないといけませんね。

【酒井 闊プロフィール】 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。
 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

 
【 注 】
 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。
 
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■■ 【経営知識】管理会計 管理会計を再び紐解いてみてはいかがですか?


 
 管理会計を学んだことのある人は多いと思います。
 ところが、理屈ばかりで、今ひとつ面白みがない「学問」であると感じた人も多いでしょう。
 ビジネスパーソンは、管理会計を学問と捉えるよりも「経営実務のための経営思想」と捉えてみてはいかがでしょうか?
 ますます、わからなくなった!?
 と、お感じの方は、ぜひ、当ブログを参考にしてみて下さい。
 
■ “真”の管理会計とは何かを初心に戻って見直してみましょう

 管理会計は、私たちに「気付きの機会」を与えてくれる魔法の力を持っています。たとえば、需要予測をして、売上計画を立案したり、営業部門の課題抽出に使ったりなど、管理会計は現場の実務にとても役立ちます。
 一方で、「管理会計は理屈っぽい」「実務とかけ離れている」などと敬遠されがちです。その背景には、管理会計関連書の多くがアカデミックな著者による執筆だからです。経営というのは、泥臭い部分が多いので、現場で苦労している経営者・管理職や担当者の求めているものとは異なるところが多いのです。
 
 筆者は、40余年もの長きにわたって経営コンサルタントとして現場に密着してきました。従来の管理会計がバランススコアカードとか損益分岐点分析とかという経営手法の横割り的な目次構成でしたが、本書は、そのメリットを活かし、かつ利用者が求めている縦割り的な利用法をマトリックスに組み合わせたコンセプトで書かれています。
 
 また、経営コンサルタント団体として最も歴史と伝統のある「日本経営士協会」による、日本を代表する会計学の権威者が培ってきたノウハウを継承して、昨今の経営現場に即する形に管理会計を焼き直しました。その結果、従来の管理会計とは「別物」といえるほど、現場に則した管理会計書になりました。
 
 本書は、「営業・マーケティング編」として記述されていますが、営業職だけではなく、ICTや経営企画などの現場でも役立つ管理会計のノウハウと、自分の仕事に生かす方法を解説した「きょうか書(教科書+強化書)」です。管理会計で「なにができるのか」「どのように取り組むべきなのか」を興味のある項目から調べましょう!
 
目次
 第1章 管理会計を正しく理解する
 第2章 需要予測で売上計画を立案
 第3章 社内データを活用した顧客戦略に管理会計を活かす
 第4章 商品戦略、地域戦略に管理会計を活かす
 第5章 市場戦略に管理会計を活かす
 第6章 温かい管理に管理会計を活かす
 第7章 温かいプロセス管理ができる営業設備
 第8章 管理会計で営業力を向上させる
 

 定価:1,800円(+税) A5判/ページ数 359ページ

 
■ 著者プロフィール

 アメリカで経営学、マーケティングを学び、日本の商社で事務機器、印刷機器の輸出入業務や新製品開発と市場導入などを担当。ニューヨーク駐在所長、アメリカ法人役員などを歴任後、経営コンサルタントとして独立。パソコン揺籃期から中堅・中小企業のパソコン活用の啓蒙、ICT活用による経営戦略の指導など、国内のみならずグローバルなコンサルティング活動を展開。現在、日本のコンサルタントの地位向上、若手育成に力を注ぎ、日本経営士協会会長他、各種の要職に携わってきました。
 ソフトバンク「営業管理職のためのパソコンノウハウ」、秀和システム「ロジカル・シンキングがよ~くわかる本」「クリティカル・シンキングがよ~くわかる本(秀和システム 今井信行著)」、アメリカ・マグローヒル社「アメリカにとって今が対日進出のチャンス」など、著書や論文・寄稿・講演など多数
 
 
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since 1951 特定非営利活動法人・日本経営士協会
 
 日本経営士協会は、戦後復興期に当時の通産省や産業界の勧奨を受け、日本公認会計士協会と母体を同じくする、日本で最初にできた経営コンサルタント団体です。
 
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2018年11月27日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 「はじめての人工知能」Excelで体験しながら学ぶAI

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 「はじめての人工知能」Excelで体験しながら学ぶAI
 
 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。
 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。
 
■  今日のおすすめ
   
「はじめての人工知能」Excelで体験しながら学ぶAI
   (浅井 登著 翔泳社)
 
 

■         「AI」を体験してみたいと思った背景(はじめに)

 本題に入る前に、「AI(Artificial Intelligence)」について、簡単にその概念と歴史を考えてみたいと思います。人工知能学会や総務省の情報通信白書では、「AI」を「『知的な機械、特に、知的なコンピュータープログラムを作る科学と技術』と一般的な説明にとどめる」と説明しており、明確な定義はないとしており、ある意味では、「AI」は幅広い分野で活用されるものと言って良いと思います。

 また歴史的に見ると、「AI」の最初のブームは1950年代後半から1970年代前半にかけてでした。しかし当時のコンピューターの性能が低く、下火になってしまいました。2回目のブームは1980年代と言われています。エキスパートシステム(特定の分野に限った問題解決を図ろうとするもの)が世界中の企業で流行しました。しかし必要な情報は人間が入力する必要があり、1995年頃には下火になってしまいました。3回目のブームは、2012年6月にグーグルが発表した、深層学習(機械学習の一つ)による猫認識(深層学習によって抽出された特徴要因に猫という概念を与え、次に新しい猫の画像を、You Tubeのビデオにより、1週間与えたところ、猫の特殊要因を自動で抽出して、猫と判別した)をきっかけとして、ブームが訪れたと言われています。日本でも2016年頃から、企業でのAIの導入が進み始めたとされています。

 さて、本題に入ります。私が、「AI」の技術的な仕組みを体験してみたいと思ったのは、或る刺激的なニュースがきっかけでした。それは、JALが「レベニューマネジメントシステム(予約状況などに応じてチケットの価格を変えるシステム)」を、50年使い続けた、社員の経験に頼る、旧システムから、スペインに本社を置きヨーロッパを主に世界中に拠点を持つ旅行・観光業向けIT企業アマデウス社製のAIシステム「アルデア」の導入に踏み切り(2017年11月)、大幅な収益改善を図ったことです。約7年の期間と800億円の投資でしたが、2019年3月期には減価償却費(5年)を差し引いても利益が増加する状況、つまり、年間160億円以上の利益の増強が図れたことになります。国際線の輸送能力+7%に対し、座席利用数は+9%、単価上昇は+2%という成果を2018年4-6月期決算〈前年比〉で出したのです。(2018年10月14日 日本経済新聞朝刊、2018年9月1日 日本経済新聞朝刊より)

 このニュースは象徴的な事柄として理解すべきではないかというのが私の考えです。日本経済新聞(2018年7月16日 朝刊)「経営の視点」欄で、「AI時代の事業変革」と題して編集委員の関口氏がこう語っています。「経営におけるAIの活用とは情報システム部門の問題ではなく、経営者自らが過去の作法を改めタブーに挑戦することから始まる」と。

 これから、「AIは未だ勃興期」の時代から「AIによる事業変革期」に向かっていくのではないかとの時代背景が、私をして、「AIの技術・仕組みを知りたい」「AIを体験してみたい」との思いに至らせたのでした。

 こうして見つけ出したのが紹介本です。次項で紹介本の内容を簡単にご説明します。

■         紹介本により「AI」を体験する

 AIについて、私達(除く専門家)は、AI機器に入力(AI機器に向かって一定の動作をする)し、AI機器から出力(入力に対応する結果)をAI機器から得ている事象については、展示場(東京ビッグサイト等)やテレビや新聞を通じて多くの情報を得ています。

 しかし、入力と出力の間の技術的プロセス・仕組み(専門用語では「想起」という)については全く理解できていないのではないでしょうか。

 この「想起」について「体験」させてくれるのが紹介本です。紹介本で体験できるのは、AI全体の中で考えれば、入り口の入り口です。「体験」できるレベルも、紹介本を読む人の高等数学(微分・積分、関数、行列、ベクトルなど)やExcelおよびVBA(Visual Basic for Application)言語によるプログラミング等の習熟度によって、様々と思います。しかし確実に言えることは、「暗闇に光がさす」ことは間違いないでしょう。

 紹介本によれば、AIの研究テーマは、人工知能学会の学会誌に発表されたテーマでは42テーマ有り(2001年~2015年の15年間)、紹介本に記載されています。

 紹介本で「体験」できるのは、次の、42テーマの中の7テーマと42テーマには含まれていない2テーマです。42テーマに含まれる、「ニューラルネットワーク」「ファジィ」「遺伝的アルゴリズム」「探索法」「ゲーム理論」「機械学習」「エージェント」の7つと、それ以外の、「問題解決」「エキスパートシステム」の2つです。各々のテーマの内容については、字数の関係などもあり、省略させて頂きます。

 話は前後しますが、紹介本で「想起」を「体験」できるという事はどういう事かと言いますと、それぞれのテーマについて、「入力」「想起」「出力」を、読者のPC上で実習できる「Excelサンプル・プログラム」を、紹介本指定のURLからダウンロードし、読者のPC上で「Excelサンプル・プログラム」動かしながら、併行的に紹介本を読み、入門的なAIの知識を「体験」することができるのです。

 ご興味のある方は、是非、紹介本とダウンロードした「Excelサンプル・プログラム」と向かい合って下さい。

■         「AI」を「体験」する意義(むすび)

 前項で申し上げましたが、AIを「体験」することは、「暗闇に光がさす」という表現を使わせて頂きましたが、AIがこれからの事業変革の一つのテーマとなっていく時代において、経営者、あるいは経営に係る人々にとって必要なことと思います。「体験」「暗闇に光がさす」ことで、自社或いは外部のAIのSE等の専門家とコミュニケーションをとれるようになります。この事は、自社のAIによる事業変革を成功に導く大きな要因になるのではないでしょうか。



【酒井 闊プロフィール】 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。
 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

 
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 管理会計を学んだことのある人は多いと思います。
 ところが、理屈ばかりで、今ひとつ面白みがない「学問」であると感じた人も多いでしょう。
 ビジネスパーソンは、管理会計を学問と捉えるよりも「経営実務のための経営思想」と捉えてみてはいかがでしょうか?
 ますます、わからなくなった!?
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■ “真”の管理会計とは何かを初心に戻って見直してみましょう

 管理会計は、私たちに「気付きの機会」を与えてくれる魔法の力を持っています。たとえば、需要予測をして、売上計画を立案したり、営業部門の課題抽出に使ったりなど、管理会計は現場の実務にとても役立ちます。
 一方で、「管理会計は理屈っぽい」「実務とかけ離れている」などと敬遠されがちです。その背景には、管理会計関連書の多くがアカデミックな著者による執筆だからです。経営というのは、泥臭い部分が多いので、現場で苦労している経営者・管理職や担当者の求めているものとは異なるところが多いのです。
 
 筆者は、40余年もの長きにわたって経営コンサルタントとして現場に密着してきました。従来の管理会計がバランススコアカードとか損益分岐点分析とかという経営手法の横割り的な目次構成でしたが、本書は、そのメリットを活かし、かつ利用者が求めている縦割り的な利用法をマトリックスに組み合わせたコンセプトで書かれています。
 
 また、経営コンサルタント団体として最も歴史と伝統のある「日本経営士協会」による、日本を代表する会計学の権威者が培ってきたノウハウを継承して、昨今の経営現場に即する形に管理会計を焼き直しました。その結果、従来の管理会計とは「別物」といえるほど、現場に則した管理会計書になりました。
 
 本書は、「営業・マーケティング編」として記述されていますが、営業職だけではなく、ICTや経営企画などの現場でも役立つ管理会計のノウハウと、自分の仕事に生かす方法を解説した「きょうか書(教科書+強化書)」です。管理会計で「なにができるのか」「どのように取り組むべきなのか」を興味のある項目から調べましょう!
 
目次
 第1章 管理会計を正しく理解する
 第2章 需要予測で売上計画を立案
 第3章 社内データを活用した顧客戦略に管理会計を活かす
 第4章 商品戦略、地域戦略に管理会計を活かす
 第5章 市場戦略に管理会計を活かす
 第6章 温かい管理に管理会計を活かす
 第7章 温かいプロセス管理ができる営業設備
 第8章 管理会計で営業力を向上させる
 

 定価:1,800円(+税) A5判/ページ数 359ページ

 
■ 著者プロフィール

 アメリカで経営学、マーケティングを学び、日本の商社で事務機器、印刷機器の輸出入業務や新製品開発と市場導入などを担当。ニューヨーク駐在所長、アメリカ法人役員などを歴任後、経営コンサルタントとして独立。パソコン揺籃期から中堅・中小企業のパソコン活用の啓蒙、ICT活用による経営戦略の指導など、国内のみならずグローバルなコンサルティング活動を展開。現在、日本のコンサルタントの地位向上、若手育成に力を注ぎ、日本経営士協会会長他、各種の要職に携わってきました。
 ソフトバンク「営業管理職のためのパソコンノウハウ」、秀和システム「ロジカル・シンキングがよ~くわかる本」「クリティカル・シンキングがよ~くわかる本(秀和システム 今井信行著)」、アメリカ・マグローヒル社「アメリカにとって今が対日進出のチャンス」など、著書や論文・寄稿・講演など多数
 
 
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2018年10月23日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 7つの基本で身に付く「エクセル時短術」 Excelの基本を学ぶ意義

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 7つの基本で身に付く「エクセル時短術」 Excelの基本を学ぶ意義


 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。


■  今日のおすすめ

   『7つの基本で身に付く「エクセル時短術」』

   (一木 伸夫著 日本経済新聞出版社 日経文庫ビジュアル)

 

■         「Excelの基本」を学ぶ意義はここにある(はじめに)

 著者は紹介本の「まえがき」で次のように語っています。『OECDの調査によると、ビジネスパーソンに求められる能力は、「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」の3つです。日本は「読解力」「数的思考力」はトップという調査結果が出ています。しかし「ITを活用した問題解決能力」は調査対象国の中で中位です。

 つまりIT教育だけを見ると日本は確実に世界の三流国です。IT教育というと「プログラミング」を連想する人が多いと思いますが、教室で特定のプログラミング言語だけを習っても、「ITを活用した問題解決能力」が身に付くとは限りません。むしろ日常的に使っているエクセルをきちっと学び、ビジネスの現場で、自分の頭で考えて活用することが近道です。加えて独学で学んだ曖昧な理解ではなく、基本の「型」を身に付け、その上で自分なりの展開をしていく事が大切です。「形なし」ではなく「型破り」が大切です。「子供たちがこの国に生まれ教育を受けたことを誇れる国にする」そんな思いでこの本を執筆しました』と。

 20年近く公認会計士として、監査、会計プログラミング、業務改善コンサルタントに関わってきた著者の思いを重く受け止め、改めてExcelを学ぶことの大切さを痛感した次第です。

 そんな思いで、本著を紹介することにしました。9月に続き、又Excelかと思われる方もおられると思いますが、今月の紹介本は、著者が“これを知らない人は『「型」なし』と思ってください”という厳しい指摘をしている著書です。『「型」なし』ではなく『「型」破り(「型」を身に付け更にその上を行く)』になるスタート台として、紹介本を是非読んで頂きたいと思います。

 『「型」破り』のスタート台となれる幾つかのExcelの基本を、次項でご紹介したいと思います。

■         これだけは知っておきたいExcelの基本

【仕事でPCを使うときはマウスを使わない】

(覚えるえるべきショートカットキー)

 紹介本には33個の「覚えるべきショートカットキー」が掲載されています。「Alt+Enter」はご存知ですよね。「セル内改行」ですね。「Ctrl+A」は「全て選択」です。この操作をして「Delete」キーを押すとすべて削除されます。マウスを使う場合は、右クリックでスライドし「範囲を選ぶ」⇒「Delete」キーを押すで、同様の機能を果たせますが、範囲が広かったりすると、ショートカットキーが便利ですね。Excelから離れますが、ノートPCを数日間使わないで、1,000個ぐらい貯まったOutlookの不要メール(デスクトップPCとダブる)もこの「Ctrl+A」を使うと、一発ですべてを削除できます。話はExcelに戻りますが、この後に出てくるExcelで重要な機能をもつ「絶対参照・複合参照・相対参照」の切り替えは、「F4」キーを操作して行います。絶対参照記号の「$」を都度入力していると時間が掛ります。「習って慣れる」しかありませんが、時短術の一環として是非覚えて下さい。

【絶対参照と相対参照】

 Excelでたった一つの数式で九九の表を作ってみましょう。A列のA2セル~A10セルに数字の1~9を入力してください。1行のB1セル~J1セルに数字の1~9を入力してください。B2からJ10までの範囲が九九表になります。B2セルに数式を入れ、コピペすれば出来上がります。どんな数式を入れたら良いでしょう。「=A2*B1」「=$A2*B$1」どちらが正解ですか。「=$A2*B$1」が正解です。$A2の意味は、「1~9の数字が入っているA列は固定したいが、行は固定したくない」を表します。B$1の意味は、「1~9の数字が入っている1行目は固定したいが、列は固定したくない」を表します。$が付いたものを絶対参照と言います。列だけの絶対参照と行だけの絶対参照を組み合わせると、一つの数式で九九表が出来上がります。

 先に記した「F4」キーを押しますと、都度「$A$2」「A$2」「$A2」「A2」と変わっていきます。それぞれを「絶対参照」「複合参照」「複合参照」「相対参照」と呼びます。九九表の場合と多少違った言葉使いをしています。適宜・臨機応変に解釈する必要があります。

 いずれにしても、「絶対参照」「相対参照」の概念は、正確な作表をする上で重要な概念です。紹介本などを使い、自ら演習して使い慣れましょう。

【非常に強力な集計ツール「ピポットテーブルの基本」】

 「ピポットテーブル」は知らない人が結構いますが、とても便利な集計機能ですので、初めての人は是非覚えて下さい。

 紹介本の例は、「3か月間の年月日別・支店別・担当者別の売上集計データー」があり、これで、「縦軸に支店・横軸に月」の合計表を作成します。

 簡単な手順で出来上がります。①集計データーの範囲選択をする⇒②挿入タブを開き「ピポットテーブル」クリックする⇒③「ピポットテーブルの作成」作業シートが出てくる⇒④範囲選択を確認し、ピポットテーブルを作成するシートの場所(同一シート上か、新たなシート上か)を選択し「OK」をクリック⇒⑤「ピポットテーブルのフィールド」画面が出てくる。画面にタイトル(年月日、担当者、支店、売上)が出てくるので、作成する合計表に合せ、担当者を除く3つにチェックを入れ、その上で、タイトルを、行、列、Σ値欄にドラッグ&ドロップを行います。これで基本表が出来上がりました。後は、年月日を月別にグループ化するなどの作業をして完成です。詳細は紹介本をお読みください。

 以上「7つの基本」のうち、3つをご紹介しました。残りの4つの基本も大切な基本ですので、紹介本を手に取って、「時短術」を身に付けてください。

■         Excel時短術が生み出すもの(むすび)

 スプレッドシート(表計算ソフト)の代表格であるExcelは、表計算ソフトとしては、一番多く使われているのではないでしょうか。Excelを自分で使う場合、或いは、クライアントの使っている現場を見て、「時間のムダ」を、紹介本により身につけた「型」を活用して、解消する事が出来るのではないでしょうか。

最近では、WEBを使った「資料を共有して同時作業を可能にする」メリットを生かそうと、Googleスプレッドシートも良く使われるようになりました。そんな時も、紹介本の「型」を身に付けておけば、Googleスプレッドシートの関数の応用・活用に繋がり、「時間のムダ」を解消することが出来るのではないでしょうか。

 



【酒井 闊プロフィール】 

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【 注 】

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 管理会計は、私たちに「気付きの機会」を与えてくれる魔法の力を持っています。たとえば、需要予測をして、売上計画を立案したり、営業部門の課題抽出に使ったりなど、管理会計は現場の実務にとても役立ちます。
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 第1章 管理会計を正しく理解する
 第2章 需要予測で売上計画を立案
 第3章 社内データを活用した顧客戦略に管理会計を活かす
 第4章 商品戦略、地域戦略に管理会計を活かす
 第5章 市場戦略に管理会計を活かす
 第6章 温かい管理に管理会計を活かす
 第7章 温かいプロセス管理ができる営業設備
 第8章 管理会計で営業力を向上させる
 

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 アメリカで経営学、マーケティングを学び、日本の商社で事務機器、印刷機器の輸出入業務や新製品開発と市場導入などを担当。ニューヨーク駐在所長、アメリカ法人役員などを歴任後、経営コンサルタントとして独立。パソコン揺籃期から中堅・中小企業のパソコン活用の啓蒙、ICT活用による経営戦略の指導など、国内のみならずグローバルなコンサルティング活動を展開。現在、日本のコンサルタントの地位向上、若手育成に力を注ぎ、日本経営士協会会長他、各種の要職に携わってきました。
 ソフトバンク「営業管理職のためのパソコンノウハウ」、秀和システム「ロジカル・シンキングがよ~くわかる本」「クリティカル・シンキングがよ~くわかる本(秀和システム 今井信行著)」、アメリカ・マグローヒル社「アメリカにとって今が対日進出のチャンス」など、著書や論文・寄稿・講演など多数



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2018年09月25日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 『ビジネスExcel完全版』

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 『ビジネスExcel完全版』



 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。


 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。


■  今日のおすすめ

 『ビジネスExcel完全版』(日経PC21総力編集 日経BP社)

■         ビジネスに必要なExcel(はじめに)

 皆様は、Excelは得意ですか。私はどちらかというと当面の必要な知識は持っているものの、深い知識は不十分です。いつもExcel知識の必要性を感じていました。「これは身に着けよう」と思い十数冊の雑誌や単行本を買いましたが、目の前の仕事に追われ積読の状態です。

 しかしそうも言っておれなくなって来ました。AIを理解するにはExcelのイメージが必要と言われていますし、働き方改革ではありませんが、仕事の生産性を上げるには、Excelによる作業効率の向上が必要と言われています。

 そんな中で、紹介本と出合いました。紹介本は皆様もご存知の日経BP社が発行している雑誌「日経PC21」の過去に発行したものを総まとめにして、単行本にしたものです。「日経PC21」は創刊してから35年余りになります。その間に積み上げた情報・知見を纏めて一つにした紹介本は、それなりに価値があると思い皆様にご紹介することにしました。勿論これで十分とは言えません。足りない部分を他の本でカバーして行こうと思っています。

 紹介本は、「入門Excel」「操作」「関数」「文書・作図」「プログラミング(マクロ、VBA)」の5つの分野に分けて編纂されています。また、演習用のサンプルファイルがダウンロードできますので体で覚えることができます。更には180度開きの本で、ブックホルダーで押さえておく必要もなく読みやすく、演習し易い特徴を持っています。

 それでは「入門Excel」「操作」「関数」「文書・作図」「プログラミング(マクロ、VBA)」の分野別に分けて、“知って得する”情報を記してみたいと思います。 

■         Excelのこんな機能知っていますか

【知って得する「入門Excel」】

 知恵はあちこちに転がっています。「入門」と言って馬鹿にすると、せっかく取得できた知恵が通り過ぎていきます。Excelを開くと、画面の右上に「クイックアクセスツールバー」が有ります。▾の上に▬のあるマークが出てきます。これをクリックすると「ツールバー設定画面」(作業シート)が出てきます。この中から必要な機能をチェックすると「クイックアクセスツールバー」に表示されます。更に「ツールバー画面」の〈その他のコマンド〉を選び「セルの書式設定」も表示できます。この部分はマウスを使って、「ファイル」タブ⇒「オプション」⇒「リボンのユーザー設定」⇒「セルの書式設定」でも出来ます。こうして「クイックアクセスツールバー」に表示された機能を使うと、マウスでやる場合に比し作業量は二分の一になります。積み重ねると大きいですよ。


【正確に「操作」を知って正確性・生産性を上げよう(習って慣れる)】

≪「今日の日付」の入力≫

 今日の日付は、『「Ctrl」+「;」キー』でセルに今日の日付が入ります。「数式バー」に、関数の「=TODAY()」を入れても今日の日付は入りますが、この場合は画面を開く都度開いた日の日付に更新されますから、用途によって使い分けが必要なことを頭に入れて、使い分ける必要があります。手入力する場合と比べてどうでしょう。2018/9/25と比べると三分の一で済みますね。 

≪登録した「リスト」から選んで「セル」に入力≫

ワークシート上の「入力する列をドラッグ」⇒「データ」タブ⇒リボンから「デー

タ入力規制」をクリック⇒「データ入力規制画面」を開く⇒「入力値の種類(A):」から「リスト」を選択⇒同画面の「元の値(S):」欄に入力したい文字群を半角カンマで区切って入力する(例;初級,中級,上級)⇒ワークシートのドラッグした列の中の入力セルをクリック⇒入力セルの右にマーク(の中に)が表示されます。そのマークをクリックすると、先に登録した、「入力したい文字群」が表示され、入力したい値を選んでクリックすると、クリックした値がセルに入力されます。

 このようにすると、セルに手入力する場合と比べ、上記のステップを最初に設定・登録しておくと作業量は大きく減少します。生産性が大きく上がります。

 上述したような、生産性向上ツールが紹介本には多く記載されています。経営者・管理者の皆さん、貴社のExcelの作業は効率的ですか。「現場」「現実」を検証しましょう。

【作業の効率化に使える「Excel関数」】

 紹介本では、約480ある関数から、「上位2割の関数で8割の仕事がこなせる」というパレートの法則の考えで、60個を厳選し、機能・使い方等実際に演習できる形で説明しています。専門的な関数(標準偏差、相関関数等)は『「Excel関数」プロ技セレクション(井上 香緒里著 技術評論社)』等をExcel関数の辞書代わりに使い乍ら必要の都度、目的から関数を探し、「習い慣れていく」と良いと思います。

 著者は、紹介本に出ている、業務と関連性の高い60個の厳選関数を使っただけで、作業量は十分の一に減ると記しています。紹介本に目を通して頂き、社内の業務の生産性向上のきっかけを探しませんか。

【知っておくと綺麗にできる「文書・作図」】

 同じグラフなら、綺麗で見栄えのする円グラフ、棒グラフ、折れ線グラフが良いですよね。そんなグラフの作り方、調整の仕方が書かれています。こんなに多くのリボンや書式設定が有るのを知りませんでした。「宝の持ち腐れ」でした。

【初めて知るExcelの「プログラミング」機能】                     

 ExcelにはVBA(Visual Basic for Application)というプログラミング言語を使い、Excelでプログラミングができる機能を持っています。VBE(Visual Basic Editor)という画面にプログラムを記述していきます。主にはExcelをコントロールするのに使います。これも覚えておくと作業の効率化を図れます。一例として『Excelの「請求先一覧」を1枚ごとの「請求書」に作り一括印刷する、差し込み印刷プログラム』が記述されています。とても便利な機能です。この様なプログラミング関数は、現在発行されている『Excel VBA ハンドブック(「似た題名」で各社から発行されている)』には、600~700個のプログラミング関数が紹介されています。目的に応じて『ハンドブック』から逆引きして使用することで、簡単に使えます。日常的作業を効率化できるツールです。


■         ビジネスにおけるExcelの価値を見直そう(むすび)

 紹介本を読んで痛感しているのは、Excelの機能の深さです。一気にマスターするのは難しいですが、「習い慣れて」行きたいと思っています。

 Excelに関する知見は、最初に述べましたように、その必要性は無視できない環境になって来ていることは間違いありません。

 経営に係る皆様に同じ認識を持って頂けたらと思っています。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/


【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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■■ 管理会計入門ブログ

■■ 【経営知識】管理会計 管理会計を再び紐解いてみてはいかがですか?

 

 管理会計を学んだことのある人は多いと思います。

 ところが、理屈ばかりで、今ひとつ面白みがない「学問」であると感じた人も多いでしょう。

 ビジネスパーソンは、管理会計を学問と捉えるよりも「経営実務のための経営思想」と捉えてみてはいかがでしょうか?

 ますます、わからなくなった!?

 と、お感じの方は、ぜひ、当ブログを参考にしてみて下さい。

 

■ “真”の管理会計とは何かを初心に戻って見直してみましょう

 管理会計は、私たちに「気付きの機会」を与えてくれる魔法の力を持っています。たとえば、需要予測をして、売上計画を立案したり、営業部門の課題抽出に使ったりなど、管理会計は現場の実務にとても役立ちます。

 一方で、「管理会計は理屈っぽい」「実務とかけ離れている」などと敬遠されがちです。その背景には、管理会計関連書の多くがアカデミックな著者による執筆だからです。経営というのは、泥臭い部分が多いので、現場で苦労している経営者・管理職や担当者の求めているものとは異なるところが多いのです。

 筆者は、40余年もの長きにわたって経営コンサルタントとして現場に密着してきました。従来の管理会計がバランススコアカードとか損益分岐点分析とかという経営手法の横割り的な目次構成でしたが、本書は、そのメリットを活かし、かつ利用者が求めている縦割り的な利用法をマトリックスに組み合わせたコンセプトで書かれています。

 また、経営コンサルタント団体として最も歴史と伝統のある「日本経営士協会」による、日本を代表する会計学の権威者が培ってきたノウハウを継承して、昨今の経営現場に即する形に管理会計を焼き直しました。その結果、従来の管理会計とは「別物」といえるほど、現場に則した管理会計書になりました。

 本書は、「営業・マーケティング編」として記述されていますが、営業職だけではなく、ICTや経営企画などの現場でも役立つ管理会計のノウハウと、自分の仕事に生かす方法を解説した「きょうか書(教科書+強化書)」です。管理会計で「なにができるのか」「どのように取り組むべきなのか」を興味のある項目から調べましょう!

目次

 第1章 管理会計を正しく理解する

 第2章 需要予測で売上計画を立案

 第3章 社内データを活用した顧客戦略に管理会計を活かす

 第4章 商品戦略、地域戦略に管理会計を活かす

 第5章 市場戦略に管理会計を活かす

 第6章 温かい管理に管理会計を活かす

 第7章 温かいプロセス管理ができる営業設備

 第8章 管理会計で営業力を向上させる

 定価:1,800円(+税) A5判/ページ数 359ページ

 

■ 著者プロフィール

 アメリカで経営学、マーケティングを学び、日本の商社で事務機器、印刷機器の輸出入業務や新製品開発と市場導入などを担当。ニューヨーク駐在所長、アメリカ法人役員などを歴任後、経営コンサルタントとして独立。パソコン揺籃期から中堅・中小企業のパソコン活用の啓蒙、ICT活用による経営戦略の指導など、国内のみならずグローバルなコンサルティング活動を展開。現在、日本のコンサルタントの地位向上、若手育成に力を注ぎ、日本経営士協会会長他、各種の要職に携わってきました。

 ソフトバンク「営業管理職のためのパソコンノウハウ」、秀和システム「ロジカル・シンキングがよ~くわかる本」「クリティカル・シンキングがよ~くわかる本(秀和システム 今井信行著)」、アメリカ・マグローヒル社「アメリカにとって今が対日進出のチャンス」など、著書や論文・寄稿・講演など多数



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2018年08月28日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 あたたかい管理のための「管理会計の教科書」〔営業・マーケッティング編〕

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 あたたかい管理のための「管理会計の教科書」〔営業・マーケッティング編〕


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■  今日のおすすめ

 『あたたかい管理のための「管理会計の教科書」〔営業・マーケッティング編〕』

            (今井 信行著 秀和システム)


■  「管理会計」のイメージを変えられました(はじめに)

 私の「管理会計」の概念は、「制度会計」では判断ができない事項を「管理会計」で実態を明らかにし、“経営の意思決定と業績向上”に役立てることを目的とするものと理解していました。具体的には、「CVP分析(損益分岐点分析)」等のCosting、「公式変動予算」等のBudgeting、派生的なものとしてERP、BSC(KPIにより数値化できる)、京セラ会計などです。まさに著者の指摘する、横割りで捉える管理会計、に止まっていました。

 しかし、著者の「管理会計」に対する考え方の重要なポイントは、『多くの研究者は、管理会計の考え方を横割りで捉えている。それが実務家・利用者の有用性を妨げている実務に管理会計を利用するには、部門別の利用法など縦割りで考える方が有用性を高める。』にあります。

 一方、著者は、部門別であるが故に、全体最適性から外れては「経営を診る」という重要な目的を果たせないとして、「管理会計の目指すべき八項」として、全体最適性、上位概念整合性、仕組みの持続、目的意識の持続、臨機応変思考、共有財産の蓄積、共有財産の拡大、人間性重視の8項目を挙げています。特に重要な項目として、部門別の縦割り管理会計になった場合、ともすれば、個人実績などに拘りがちな点に留意し、「人間性重視/温かい管理」を強調します。

 更に、本著の特徴は、縦割りの部門として、「仮説・検証・データのKKD」から遠く離れ「勘・経験・度胸のKKD (著者は「経験・勘・根性の3K営業」と表現)」で運営されやすい「営業・マーケッティング」分野に光を当て、見える化・管理会計化した点です。更に言えば、「営業・マーケッティング」分野は、ブラックボックス化している分野です。そこに管理会計を導入した意義は大きいと思います。縦割り横割りの盲点を埋め、更には基幹システム(財務会計システム、販売管理システム)との連携により、バリューチェーン全体の統合的な管理ツールが出来、全体最適なシナジー効果が出て来るのではないでしょうか。

 紹介本は、「営業・マーケッティング」分野の管理会計化や、「マーケティング」理論の管理会計化への発展的展開も含め、実用的で且つ新たな発見に出会える著書と思います。

 著書の中に見出した多くの新しい発見から、幾つかを次項でご紹介します。


【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

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 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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2018年07月24日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】思考の原点「5W1H思考」

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】思考の原点「5W1H思考」


 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。


■  今日のおすすめ

 『シンプルに結果を出す人の「5W1H思考」』(渡邉光太郎著 すばる社)


■  課題の発見・提起・解決に欠いてはいけない「5W1H思考」(はじめに)

 ビジネスは、「課題の発見・提起」と「課題解決」の連続ではないでしょうか。


それが経営改革・改善に繋がるのではないでしょうか。


 これについて、私が今までに学んだことは、『「課題の発見・提起」と「課題解決」は、意思決定ツールである「フレームワーク思考」「オプション思考」「プロセス思考」の3つを主とするロジカル・シンキングを手段・ツールとし、思考の手順を統合的に体系化したクリティカル・シンキング(思考技術体系)の枠組みと組合せた上で、取り組むことによって、MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)に、且つ正しい方向に進めることができる』でした。(「クリティカル・シンキングがよーくわかる本」〈今井 信行著 秀和システム〉より)


 そんな中で、紹介本を見つけました。ビジネス・フレームワークとして誰でも知っている当たり前の『「5W1H」思考』が『「課題の発見・提起」と「課題解決」』にどのような威力を発揮できるのか、半分疑問を持ちながら手に取った次第です。


 読んでみて感じましたのは、どちらかというと「フレームワーク・シンドローム」に近い私にとっては戒めになりました。先程引用しました「クリティカル・シンキング」的な枠組みとして『「5W1H」思考』を使えば、『「課題の発見・提起」と「課題解決」』に面白い・良い結果を与えると確信し、ご紹介することにしました。


 紹介本は著者が、『どんなカッコいいフレームワークを使って難しい分析をしたって、シンプルに「5W1H」に落とし込まなきゃダメだよな。こんな単純なことが大切で、良い結果を生むのだ』との思いで積み重ねてきたコンサルティング経験の結果を紹介本に著したのです。


 その意味で、紹介本に著されているような事例を基にした普遍的な論理は、同じような課題にピタリとはまるでしょう。また、『シンプルな「5W1H」思考』は、言うまでもなく、見逃しがちではありますが決して欠くことのできない、課題発見・提起・解決の重要な原点として思いを新たにする必要があります。


 著者が紹介する『「5W1H」思考』の興味ある事例を次項でご紹介します。


■ 「5W1H思考」の効果を発揮するビジネスシーン

【課題提起は「Big Why」で「真の目的」にさかのぼる】


 著者は『「5W1H」思考』の長所を活かすために「5W1H」の特徴を見いだし、認識することがスタートと言います。それは、「5W1H」が現す内容の幅の広さと、発散思考から収束思考へ導く思考プロセスであるとします。扇をイメージしてください。扇の“親骨”と“子骨・中骨”に挟まれた部分を“扇面”とします。それらの中心となる“要(とじり)”が有ります。この三つに囲まれたそれぞれの扇面に、When(いつ:時間・過程軸)、Where(どこで:空間・場所軸)、Who(誰が:人物・関係軸)、Why(なぜ:目的・理由軸)、What(何を:事象・内容軸)、How(どのように:手段・程度軸)を置きます。これを一つのマトリックスと考えると、扇を広げた外側を“視野軸”とすると、扇を開くことで多くの内容が入ってきます。“骨”を“思考体系軸”とすると、課題が発散から収束へ、具体的な見えやすいものから見えにくい核心へと迫ることになります。さらには、“思考体系軸”を上り降りすることで、仮説・検証が繰り返され、課題発見・提起・解決の精度が高まるというのです。


 さて本題に戻り、この様な『「5W1H」思考』の特徴を生かしながら『「Big Why」を使って「真の目的」にさかのぼる』ためにはどうすればよいのでしょう。著者は、発想のスタートが具体的に見えやすい“What”・“How”と言う“モノレベル”に止まることなく、「ありかた(コトレベル)」「ありがたみ(ライバルにない高次の価値レベル)」「あたらしみ(従来にない革新的な価値のレベル)」の3つのチェックポイントに絞り「真の目的」を突き詰めていく事ができるとします。その上で初めて「真の目的」を達成する“What”と“How”を見つけることが大切と言います。その実例として、最初にロボット掃除機を開発した「ルンバ(アイロボット社)」の例を挙げています(ダイソンも後に同様の製品を販売)。


【問題解決は「3W1H」で「筋の良い打ち手」に絞り込む】


 著者は、問題解決には、最初から細部に入り込む非効率な「決め打ち(たまたま目についた事象に捉われて、根拠なく安易で慣れたな結論に飛びつくこと)」と「むだ打ち(手当たり次第に情報を収集・分析するなど、総花的に対策を打とうとすること)」の思考をやめ、クリティカル・シンキング的な「クエスチョニング・プロセス」を推奨します。このプロセスは、「What(何を解決するのか?=問題の設定=)」「Where(どこが悪いのか?=問題個所の特定=)」「Why(なぜ起こるのか?=問題原因の究明=)」「How(どうすればよいのか?=解決策の立案=)」の順番で真の問題の特定から解決に繋げていきます。このプロセスは、様々な問題解決に活用できる汎用性の高い“型”と言えると強調しています。


■      「5W1H思考」を新たな「思考技術体系」に加えよう(むすび)

 紹介本は、「5W1H」を単なる「意思決定ツール」としてのフレームワークではなく、『「5W1H」思考』として、クリティカル・シンキング(「思考技術体系」)にまでレベルアップして、課題発見・提案・解決に活用しようとの提言と受け止められます。

 この提言は、様々な実例や、著者のコンサルティング経験に基づくものです。「思考技術体系」の知見・ツールの一つとして新たに加えたいですね。


【酒井 闊プロフィール】


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【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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since 1951 特定非営利活動法人・日本経営士協会


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2018年06月26日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 実践「アメーバ経営」 管理会計を超えた稲盛流経営術

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 実践「アメーバ経営」 管理会計を超えた稲盛流経営術


 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

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 ■■【経営コンサルタントのお勧め図書】

 『実践「アメーバ経営」』

(稲盛和夫 京セラコミュニケーションシステム著 日本経済新聞出版社)


   管理会計を超えた経営管理の優れもの「アメーバ経営」(はじめに)

 「アメーバ経営」は、「京セラ会計」として管理会計の世界でよく知られた手法に「京セラ会計」を支える経営管理・組織・哲学・戦略を加えたものです。

 京セラの創始者であり、紹介本の著者でもある稲盛和夫氏が、本来、京セラの企業機密である管理会計手法と、その管理会計手法が円滑に運用される基盤としての経営管理手法を、多くの中小企業のために、2000年前後に社外に公開したことが、「京セラ会計」が世に広まる契機となりました。700社以上の企業が京セラ傘下のコンサルティング会社の指導により導入し、業績を飛躍的に伸ばしています。

 「京セラ会計」は管理会計の教科書に必ず載るポピュラーな管理会計手法になりましたが、「京セラ会計」のテクニックを学んでも、それが確実に企業の業績を伸ばすツールになるとの確信を持てませんでした。皆さんはどうですか。私はそうでした。

 その原因がこの紹介本を読んでよく解りました。それは「京セラ会計」の裏の見えないところに流れている会計実践者の心の内を知らないからです。まさに“心を作ること”、それが「アメーバ経営」と言われる経営管理手法の神髄であり、「京セラ会計」を優れた管理会計ツールにする基盤なのです。

 紹介本を通じ、また、JALの再建成功(注)という偉大な事実を通じ、「アメーバ経営」の底力を次項で見てみたいと思います。

(注)JALは2010年1月に会社更生法の適用申請。申請直後の2010/3期の営業利益は▲1,337億円。2012年9月に再上場。再上場直前の2012/3期の営業利益は2,049億円の黒字。約2年余りの再建期間で、3,349億円の採算改善を成し遂げた。


   優れもの「アメーバ経営」の“神髄”

【JAL再建成功で立証された「アメーバ経営」の底力】

 著者は、JALが短期間のうちに再生会社から高収益企業に生まれ変わった要因として次の5つの要因を挙げています。

 「①新たな経営理念の確立②フィロソフィーをベースとした意識改革③アメーバ経営の導入④「人のため、世のため」という思いの共有⑤トップの無私の姿勢」の5つです。

 これは「アメーバ経営」そのものの導入といってよいでしょう。京セラの経営理念は「全従業員の物心両面の幸福(しあわせ)を追及すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」です。JALで再建に当たり導入した経営理念は「全社員の物心両面の幸福を追求すること」でした。「公的支援を受けた企業」の経営理念にはふさわしくないと批判を浴びながらあえて導入したのは、社員一人一人の幸福なしに何事も進まないことを著者はよく理解していたからでしょう。ここに「京セラ会計」の基本が有ります。

 京セラでは、経営理念に現わされた経営目的を実現するための行動指針として、また素晴らしい人生を送るための考え方の基準として「京セラフィロソフィー」があり、一つの手帳としてまとめられています。JALにおいても「JALフィロソフィー」を作り、社員一人一人とのコミュニュケーションの場を作り、「JALフィロソフィー」の浸透とそれによる意識改革を図ったのです。

 「全社員の幸福」の次には「世のため、人のため」という考え方をお互いに共有しようとし、本来ならば経営理念の中に一緒に織り込んでも良いものを、あえて二つに分けて、優先順位を明らかにしたのです。最後に経営者・リーダーのあるべき姿勢を強調しているのです。ツールとして導入した「アメーバ経営」それは「京セラ会計」そのものです。

 以上見て来ました様に、稲盛流経営、アメーバ経営をJALの再建に全面的に取り入れたのです。結果はご存知のように、再建企業JALが、超優良企業に生まれ変わっていったのです。「京セラ会計」というツールと、そのツールを活性化させる経営管理・戦略が相伴った「アメーバ―経営」の底力を、目の当りに見ることができるのではないでしょうか。

【「考え方」こそが人生・経営を左右する】

 著者は、経営について次のような公式を持っています。

人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力

 JAL再建に当たってもこの公式を全面的に導入しました。その中でも特に「考え方」が大切と著者は主張します。その考え方はまず「プラスの考え方」でなくてはならないとします。次に、具体的な経営者的「考え方」は、全社員との家族のような関係の構築、経営者意識を持った人材の育成、独立採算意識を浸透させるためのアメーバ組織と収益状態を管理するツール(「京セラ会計」)の導入、アメーバ組織間の利害対立の解消、全社員の会社経営への参画であるとします。

 このような考え方に、アメーバ経営の神髄を見ることができるのではないでしょうか。

【「アメーバ経営」で時間を捉えることの意味】

 アメーバ経営の会計管理ツール「京セラ会計」では、他の管理会計にはない特徴的概念として“時間概念”が取入れられています。

 「京セラ会計」の一つの目的に、生産性・採算性の向上が有ります。「アメーバ組織の生産性・採算性を計る尺度として、一般的な純利益を使うと、一人一人の労務費・給与がつまびらかになり、組織のメンバーの目が、労務費・給与に向き、本来の活動に濁りが入ってしまう。これを避けるためにアメーバ組織の採算を、一時間当たり純利益という指標で見る」と著者は説明します。加えて、アメーバ―組織間での、時間当たり純利益を比較することで、共通の尺度で比較でき、アメ-バ組織間の比較・競争・改善にプラスに働くとします。

 “時間概念”は「京セラ会計」の一つの特徴ですが、この他、アメーバ組織間での売買価格、間接部門コストの配賦などの仕組みの構築、仕組みの情報システム化などに相応のコストがかかりますが、それを大きく上回る、生産性・採算性の向上と、経営への全員参加や社員の意識変革などのメリットが得られると著者は強調します。

【その他の「アメーバ経営」の優れているポイント】

 他にも京セラ会計の「7つの会計原則」「従業員をやる気にさせる7つの鍵(経営者の役割)」等、著者の実体験から生まれた知見が紹介されています。詳しくは紹介本をお読みください。

 「アメーバ経営」の導入で企業は生まれ変わるか(むすび)

 倒産上場企業が再上場出来た過去の実績は6.5%という厳しい数字が有ります。そのような難題であるJAL再建・再上場が、再建計画を上回る成功に至ったカギについて、JALの再建に携わった企業再生支援機構(現地域経済活性化支援機構)の企業再生支援委員長の瀬戸英雄弁護士(瀬戸氏自身も倒産企業の再建のベテラン弁護士として、JAL再建成功のもう一つのカギと評価されている)は、「稲盛和夫氏を招聘できたこと」であると述べています(「JAL再生〈引頭麻実著 日本経済出版社〉」より引用)。

 紹介本や上記で引用した「JAL再生〈引頭麻実著〉」を通読し、JAL再建・再上場成功の中で果たした稲盛流「アメーバ経営」の力に、驚きの念を禁じえません。

 「アメーバ経営」の導入により企業に変革をもたらすには、管理会計ツールの裏にある経営管理・変革の努力が不可欠であることを痛感するのです。この努力をする覚悟無しでは、管理会計ツールの導入効果は皆無に等しいと痛感するのです。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/


 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。



  長い経営コンサルタント経歴の基、書かれたページで、経営コンサルタントになるひとの60%ものの人が目を通しています。


  


Posted by 経営士 at 12:01経営コンサルタントの本棚

2018年05月22日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 Visual「マーケティング・フレームワーク

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 Visual「マーケティング・フレームワーク



 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】マーケティング・フレーム

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 『Visual「マーケティング・フレームワーク」』(原尻淳一著 日経文庫)

■      マーケティング・プロセス「R⇛STP⇛4P⇛I⇛C」のスペル解りますか(はじめに)

 紹介本の著者は、マーケティングの研究家ではなく、実戦家であるところにこの本の特徴が出る要素が有ります。別の表現をすれば、経営管理部門から転じた、マーケティングについては理論を羅列的にしか知らないA君が、突然「マーケティング・プラン」作成のリーダーになった時、この本に従って、プランをスタートから、作っていけば、しっかりとしたプランが出来上がる。この出来上がったプランについて、まずはQVSAサイクルを回しプランの検証をし、その上で実行に移し、一定の期間の結果をもってPDCAサイクルを回すことで、マーケティング作戦が順調に回り出し、良い成果に結びついていく。本書は、そんなストーリーを確信させる「マーケティング・フレームワーク」集です。

 更に、この本を読んで、面白く、そして驚くのは、いわゆる「マネジメント・フレ-ムワーク」を「マーケティング・フレームワーク」として使うことで、“え!”と驚く見事な「マーケティング・フレームワーク」に変貌させていることです。

 もう一つ付け加えると、私の不勉強かもしれませんが、「マーケティング・フレームワーク」がこんなに沢山有るのか!と驚きを禁じえません。

 この様に感じるのは、最初に戻りますが、本書が「マーケティング・プラン」を作成する手順を念頭において書かれているからです。マーケター、マーケティングを学びたいと思う人にはお勧めの本です。

 “ア!いけない”、「R⇛STP⇛4P⇛I⇛C」の答えを言うのを忘れていました。「Research(調査)⇛STP(細分化、標的化、ポジショニング)⇛4P(製品、価格、流通、販促)⇛Implement(実行)⇛Control(管理・改善)」です。マーケティング・プロセス(調査・戦略・プログラム立案・実行・管理/改善)を表しています。本書の構成はこのプロセスに従った構成になっています。マーケティング・プラン作成のストーリー(道順)に従った構成と言い換えても良いでしょう。ページの構成がストーリーになっていることが本書の特徴であり、それを踏まえて読まなければ、読む価値が半減します。

 それでは、私が本書を読んで「面白い、驚いた、初めて知った」ことを、次項で、その一部をご紹介します。

■      面白い・驚いた・初めて知った「マーケティング・フレームワーク」

【面白い「マーケティング・フレームワーク」】

 KPI(key performance indicator )をマーケティングにどう使うのでしょう。売上目標をKGI(key goal indicator )として、マーケティングの3大要素の、消費者動向、流通、ブランドイメージ指標にグループ化し、そのグループ毎に、売上を構成する指標に分解すると同時に、それらの分解指標のデータ源を特定し、KPIを決めます。一定期間を決め測定し、いわゆるKPIマネジメントを実践します。さあ、どんな結果が出るか楽しみですね。実践する当事者も面白く、楽しくやれるのではないでしょうか。

【驚いた「マーケティング・フレームワーク」】

 マッキンゼーの「7S」を「マーケティング・フレームワーク」として使った事例が掲載されています。「7S」の項目で競合他社と項目毎に比較してみます。そこには差別化のポイントや、自社の強み弱み、組織の改善ポイント等が明確に出てきます。  「7S」のこんな使い方が有るのです。ああ驚いた。

【初めて知った「マーケティング・フレームワーク】

 顧客視点からサービス品質を評価する「SERVQUALモデル」は初めて知りました。SERVQUALはServiceとQualityを合わせた造語です。A. Parasuramanによって開発されたものです。『①信頼性:約束されたサービスを確実に提供すること②反応性:顧客に対するサービス提供の迅速性③確実性:従業員のしっかりした知識と対応態度④有形性:設備や従業員の見た目⑤共感性:顧客とのコミュニケーション』の「5つの指標」と、「5つの指標」を細分化した10項目の「細かな指標」が有ります。

 このモデルを参考に、自社の品質指標を作り、競合他社との比較により、差別化を図るための「自社のサービス品質モデル」を作成することも可能になるでしょう。

 私がサービス品質として重視する、『顧客視点の「amenity(快適さ)」』は⑤共感性から創出される品質ということがわかります。「5つの指標」の残り4つの指標で何を重視し・取込むか分析・判断することで、差別化サービス品質の仮説が出来上がります。その仮説をQVSAサイクルで検証し、PDCAサイクルに繋げていく事で、競合他社に対し競争優位を確立できるサービスの提供が出来るイメージが、このフレームワークから湧いてくることを実感しました。

■      「マーケティングが遅れている日本」に“さようなら”を(むすび)

 どちらかというと“日本人はマーケティングに弱い”と言われています。

 それは「物作り日本」の言葉に象徴されているように、日本人は、目に見えるものには傾注出来るものの、見ようとすれば見えるけれども目の前にはない情報・データ等から、市場の優位を獲得しようとする仕組みを構築する情熱・工夫・技術・能力に弱いのではないでしょうか。

 明るい未来を切り開いていくために、グローバル視点・デジタル視点・オムニチャネル視点でのマーケティング力の強化が求められているのではないでしょうか。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。


  長い経営コンサルタント経歴の基、書かれたページで、経営コンサルタントになるひとの60%ものの人が目を通しています。

  


Posted by 経営士 at 12:01経営コンサルタントの本棚

2018年04月24日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 コトラーの「マーケティング4.0」

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 コトラーの「マーケティング4.0」


 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。


■      今日のおすすめ

 『「コトラーのマーケティング4.0」

     Moving from Traditional to Digital(スマートフォン時代の究極法則)』

  (フィリップ・コトラー著 恩蔵直人監訳 藤井清美訳 朝日新聞出版)


■      「マーケティング4.0」の時代とは(はじめに)

 「マーケティング1.0」~「マーケティング3.0」に続く「マーケティング4.0」というコンセプトに出会ったのは、この本を手に取った時が初めてでした。


 著者は、『「マーケティング」は「マーケティング・ミックス(4P)」を出発点とするのではなく、「STP」を中心にすべき』と主張します。その論拠は、突き詰めると「STP」は戦略型、「4P」は戦術型であるとします。


 従って、「マーケティングX.0」の表現で「マーケティング戦略」の時代に伴う変化を説明する時は、「STP」を念頭においているのです。そして「マーケティング戦略」は、「マーケティング1.0」で表される生産主導(製品中心)のマーケティング、「マーケティング2.0」で表される顧客中心(消費者志向)のマーケティング、さらに人間中心(消費者の精神的側面も含む価値観・主観を重視)の「マーケティング3.0」へと大きく変化してきたと主張します。その変化は、社会・経済的変化と並行していると説明します。従って「マーケティング3.0」の人間中心のマーケティングの到達点は、「人間的価値(健康・安全・環境・社会的責任等)を支持し表現する」製品・サービス・企業文化を生み出すことになると言います。


 それでは、「マーケティング4.0」と著者が定義づけるマーケティングはどの様なものなのでしょう。それはインターネットやスマホの技術的発展により、デジタル・マーケティングと伝統的マーケティングが融合(オムニチャネル化)し、ICTの世界では、人々は人間的な触れ合い(ハイタッチ)を強く求め、ある種のコミュニティー社会を作り、そのコミュニティー社会でのデジタル・コミュニケーションにより製品やサービスを知った顧客により、購入・推奨に至る道筋(カスタマー・ジャーニー)が形成されて行くようになり、製品やサービスは、より個人嗜好のもの(パーソナライズ、カスタマイゼーション)に向かっていくと説きます。この流れを「マーケティング4.0」と著者は定義づけます。そしてこの流れの変化に対応した「マーケティング4.0戦略」が必要と説くのです。


 「マーケティング4.0」時代のマーケティング戦略は、どの様なものなのでしょう。著者は『嘗て提唱してきた「STP」等の伝統的マーケティングが、デジタル・マーケティングにとって代わられるものではない。それぞれのアプローチの対象となる、購入に至る道筋(カスタマー・ジャーニー)で役割を交代しながら、共存すべきものだ』と強調します。それを次項で見てみましょう。


■      伝統的マーケティングと「マーケティング4.0」時代で何が変わったか

【購入に至るカスタマー・ジャーニーの変化-「4A」から「5A」へ-】

 『接続性が高まるデジタル時代の、顧客とブランドとの繋がり方を見ると、話がうますぎる広告メッセージに混乱した顧客は、友人や家族などの社会集団の信頼できる情報源に頼っている。このような状況の中で企業は自ら発信するメッセージの量の増大ではなく、他社より目立つ、そして重要なタッチポイント(ブランドと顧客の接点)で顧客と有意義な繋がりを築くことである』と著者は指摘します。加えて『「マーケティング4.0」の最終目標である、顧客をブランドの忠実な推奨者とするために必要なのは、ブランドからのわずか一瞬の予期せぬ感動だ』と言い切るのです。


 これを実現するためには、企業は、マーケティング施策(アプローチ)を企業視点から顧客視点に転換していく必要があります。それは「カスタマー・ジャーニー(顧客の購入・推奨に至る道筋)」というアプローチ・フレームワークをデジタル時代のものに転換の上、分析する必要性を意味します。


「マーケティング4.0」では、「カスタマー・ジャーニー」をデジタル時代に即して、接続性以前の時代の『4A(①aware=認知②attitude=態度③act=行動④act again=再行動)』から、接続性の時代の『5A(①aware=認知②appeal=訴求③ask=調査④act=行動⑤advocate=推奨)』へ転換・変化させていく必要を説きます。


 接続性の時代に、「カスタマー・ジャーニー」を『4A』から『5A』へと変えるべき要因として、『4A』時代の、個人的な「態度(②attitude)」が、『5A』時代には、顧客を取り巻くコミュニティーの影響を受け「訴求(②appeal)」と「調査(③ask)」のプロセスに変化すること、更に、『4A』時代の、ブランドに対するロイヤリティーを示す「再行動・再購入(④act again)」が、『5A』時代には、コミュニティーの繋がりによる「推奨(⑤advocate)」という道筋にグレードアップしていくことを挙げています。


 「顧客をブランドの忠実な推奨者」にするためには、『5A』のそれぞれのプロセス間のコンバージョン率を如何に上げるかが、マーケターの課題であるとするのです。


 デジタル時代のマーケティング戦略を身に付けるために、是非、詳細について本書をお読みください。


【マーケティング・ミックスの変化】

 マーケティング・ミックスについても、貴重な提言が有ります。売り手からの視点『4P(product、price、place、promotion)』、買い手からの視点『4C(customer value、cost、convenience、communication)』については、皆様お馴染みと思います。


 著者は、デジタル時代(接続性の時代)の『4P』は次の『4C』となるべきと主張します。その『4C』とは、顧客が製品開発に参加する「co-creation(共創)」、価格は市場の需要、顧客のニーズなどにより変動する「currency(通貨)」、流通チャネルは顧客と接続性の高い「communal activation(共同活性化)」、プロモーションは企業と顧客が能動的に商業的価値を獲得することが期待される「conversation(カンバゼーション)」です。とても示唆的な提言です。この戦術を自分のものとするためにも、詳細を本書から読み取ってください。


■      デジタル時代のマーケティング(むすび)

 総務省の「29年度情報通信白書」では、世界のスマホ保有比率は、2019年には全人口の約60%に達すると予想しています。また日本の世帯ベースのスマホ保有比率は、2016年時点で全世帯の72%となっています。


 スマホ時代は2010年ぐらいにスタートし、急激な伸びを示しています。並行して、様々なアプリやSNSが変化を遂げつつ拡大しています。


 マーケティングという思考で、これらを捉えることが大切です。同時に、自社のデジタル時代のマーケティングがどのように変化していくべきか問われている時代でもあると思います。


【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/


【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。





  長い経営コンサルタント経歴の基、書かれたページで、経営コンサルタントになるひとの60%ものの人が目を通しています。


  


Posted by 経営士 at 12:01経営コンサルタントの本棚

2018年03月27日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】IoTの神髄に迫る

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】IoTの神髄に迫る

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。


 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 『INDUSTRIE4.0「日本の製造業はIoT先進国ドイツに学べ」』


(熊谷 徹著 洋泉社発行)


■      ドイツ在住の著者が発信する「IoTの真実」を傾聴しよう(はじめに)

 今回この著書をご紹介するきっかけは、日本経営士協会九州中国支部の原田剛先生(日本経営士協会メルマガ656号【会員紹介】欄で【自己紹介】をしておられます)


からお便りを頂いたことに始まります。原田先生は、私が昨年の8月に本欄でご紹介した『インダストリー4.0時代を生き残る!中小企業のための「IoTとAIの教科書」』(島崎 浩一著)を読まれ、そこには書かれていない、「IoT」「インダストリー4.0」についての真実・表裏が、『日本の製造業はIoT先進国ドイツに学べ』には書かれている、とアドバイスを下さいました。併せ、日本経営士協会のメルマガ、経営士のブログの読者の皆様に今回の紹介本を紹介してあげて欲しいと仰って下さいました。

 「経営コンサルタントの本棚」を通じ、支部の違う原田先生と新たな繋がりが出来ましたことは本当に感謝です。

 今回の紹介本の特異性は、著者の熊谷氏が1990年以来ドイツ・ミュンヘン市に在住するジャーナリストであることにあります。加えて、国家プロジェクトの「ドイツ版IoT」「インダストリー4.0」の生みの親の一人である学術機関「ドイツ工学アカデミー」の会長ヘンニッヒ・カガーマン教授(元SAPのCEO)と直接・緊密なインタビューを通じて、微に入り細に入り、光の部分に伴う影についても聞き出し、読み解いている点です。

 更には、ドイツ国内の「IoT」の具体的な進展状況を、著者自身の目で確認しています。それは他のIoTに関する著書のように、誇張的でなく、夢を語るのでもなく、現実の状況を有りのままに伝え、今の日本にとって何が課題かを明確にしているのです。そこがこの紹介本の素晴らしいところです。

 次項で幾つかの「IoTの真実」を示します。それは日本ではまだ認識されていない、或いは意識の低い事項が多くあります。字数の関係もあり全てをご紹介できません。

 IoTに関心を持っている方は是非この紹介本を手に取ってお読みください。他のIoT関連の本にはない、「IoTの真実」を見いだせるでしょう。IoTに対する正しい方向感をもって、この課題に対処していく施策を見いだせるでしょう。


■      知っておきたい「IoTの真実」

【インダストリー4.0の真の狙いは「スマートサービス」】

 IoTと言えばすぐ頭に浮かんでくるのは、「スマート工場」「マスカスタマイゼーション」「サービタイゼーション」です。しかし、カガーマン教授は「製品の輸出や、海外での組み立てだけではなく、製品の製造ノウハウをソフトウエアとして、デジタル・プラットフォームにアップロード(公開)することによって、外国の顧客に販売するという方式も導入すべき。さらに、インターネットで繋がれた製品や部品が発信するビッグデータを分析することよって、能動的に顧客に新しいサービスを提供すべき。」と主張し、これを「スマートサービス」と定義し「インダストリー4.0」の核だと、革命的な提言をしています。

 カガーマンが目指すのは、製造業とサービス業の融合であり、製造業におけるサービスの収益に占める比率を、デジタル化によって高めることが重要と訴えます。

 この「スマートサービス」の背景には、知的財産の保護、個人情報保護の問題など解決しなければならない問題があります。また、IoTがインターネットによって繋がることが前提であるが故に世界的問題であるのです。

 ここで重要になってくることが次のテーマであり、日本(政府)が出遅れている、「国際標準化」の問題です。

【国際標準化をめぐる独米の接近】

 知的財産の保護、個人情報の保護の問題も、国ごとに法律や考え方の違いから、世界的なルールが必要ですが、これについては問題の指摘にとどめます。

 喫緊の課題は、IoTの重要な下部構造であるデジタル・プラットフォームやデーターウエアハウスなどをバーチャル空間に設計、構築するには「参照アーキテクチャー(reference architecture)」(設計、構築に必要な言語・地図)の「国際標準化」が必要です。各国でバラバラに開発したIoTシステムでは相互のコミュニュケーションが出来なくなることを避けるためです。

 ここで、IoTシステムの国際的標準規格を開発するため、ドイツのIoT推進機関「プラットフォーム・インダストリー4.0」と米国のIoT推進団体「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)」が2016年3月スイスで開いた会議で、提携の合意をしました。IICには、日本の企業では、日立、東芝、トヨタ、NEC、富士通横浜国大などが参加しています。

 著者は、「国際標準規格の開発の段階で、日本も責任あるIoT推進組織(政府、経済界、学界、労働団体、企業などで構成)を作り、積極的に国際標準規格作りに参画しなければ、日本のIoT推進に支障が出る」と主張します。

【中小企業をめぐるドイツの現状】

 ドイツの中小企業の企業数の比率は、99%強とほぼ日本と同じで、経済界における重要性は、日本と同様です。現状では、ドイツの約60%の中小企業が「インダストリー4.0」の利用に疑念を抱いているというデータも出ています。ドイツでは、中小企業の参加しなければ「インダストリー4.0」の成功はないとされており、一つの障害となる可能性もあります。

 これに関して、著者は、カガーマンのインタビューを引用しながら、「現在の国際競争力を失いたくないのであれば、デジタル・プラットフォームを使うインダストリー4.0では、秘密にすべきノウハウとプラットフォーム上で公開して構わないノウハウを切り分け、新しいイノベーションから取り残されないよう前向きに対応すべき」と主張しています。

【日本の「インダストリー4.0」への取り組みの現状と課題】

 日本に於ける「インダストリー4.0」への取り組みは、政府レベルでは、ドイツよりも5年遅れた2016年の日独の「IoT・インダストリー4.0の協力に関する共同声明(2016年4月)」に始まります。

 また、民間レベルでは、2015年6月に研究団体「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ(IIC)」(日立、トヨタ、三菱重工、富士通、NECなどの大企業のほか多数の中小企業が参加)が設立されました。2015年10月に「IoTコンソーシアム」(2017年1月現在で2,812社の法人会員が参加。経済産業省も参加しているが、ドイツのように政府が主導権を持つ形ではない。)が設立されました。

 著者は、日本の現状と課題に関し「IoTという21世紀最大の技術革命に乗り遅れることなく、また負の側面への十分な対応(雇用の問題、新たな職業訓練の必要性、貧富の差の拡大への対処等)を考慮した場合、日本政府が主導的な役割を演じるべきである」と主張します。


■      日本はドイツからの学びをどう生かすべきか(むすび)

 著者は、紹介本を書いた動機を次のように述べています。『ドイツに住み、「インダストリー4.0」を目の当たりに見ていると、「ドイツの中小企業はこの変化に耐えられるだろうか」という強い疑問を持った。また、「米独が世界標準を確立し、日本は蚊帳の外に置かれるのではないか」という強い危機感を抱いた。』

 この著者の「インダストリー4.0」に対し抱いている疑問・危機感を読むにつけ、IoT社会に対応していく危機感が、日本社会には未だ不十分と思わざるを得ません。それぞれの立場から危機感をもって「IoT」「インダストリー4.0」に対応していくべきではないでしょうか。競争相手は先を走っているかもしれません。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

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【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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