2018年11月27日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 「はじめての人工知能」Excelで体験しながら学ぶAI

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 「はじめての人工知能」Excelで体験しながら学ぶAI
 
 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。
 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。
 
■  今日のおすすめ
   
「はじめての人工知能」Excelで体験しながら学ぶAI
   (浅井 登著 翔泳社)
 
 

■         「AI」を体験してみたいと思った背景(はじめに)

 本題に入る前に、「AI(Artificial Intelligence)」について、簡単にその概念と歴史を考えてみたいと思います。人工知能学会や総務省の情報通信白書では、「AI」を「『知的な機械、特に、知的なコンピュータープログラムを作る科学と技術』と一般的な説明にとどめる」と説明しており、明確な定義はないとしており、ある意味では、「AI」は幅広い分野で活用されるものと言って良いと思います。

 また歴史的に見ると、「AI」の最初のブームは1950年代後半から1970年代前半にかけてでした。しかし当時のコンピューターの性能が低く、下火になってしまいました。2回目のブームは1980年代と言われています。エキスパートシステム(特定の分野に限った問題解決を図ろうとするもの)が世界中の企業で流行しました。しかし必要な情報は人間が入力する必要があり、1995年頃には下火になってしまいました。3回目のブームは、2012年6月にグーグルが発表した、深層学習(機械学習の一つ)による猫認識(深層学習によって抽出された特徴要因に猫という概念を与え、次に新しい猫の画像を、You Tubeのビデオにより、1週間与えたところ、猫の特殊要因を自動で抽出して、猫と判別した)をきっかけとして、ブームが訪れたと言われています。日本でも2016年頃から、企業でのAIの導入が進み始めたとされています。

 さて、本題に入ります。私が、「AI」の技術的な仕組みを体験してみたいと思ったのは、或る刺激的なニュースがきっかけでした。それは、JALが「レベニューマネジメントシステム(予約状況などに応じてチケットの価格を変えるシステム)」を、50年使い続けた、社員の経験に頼る、旧システムから、スペインに本社を置きヨーロッパを主に世界中に拠点を持つ旅行・観光業向けIT企業アマデウス社製のAIシステム「アルデア」の導入に踏み切り(2017年11月)、大幅な収益改善を図ったことです。約7年の期間と800億円の投資でしたが、2019年3月期には減価償却費(5年)を差し引いても利益が増加する状況、つまり、年間160億円以上の利益の増強が図れたことになります。国際線の輸送能力+7%に対し、座席利用数は+9%、単価上昇は+2%という成果を2018年4-6月期決算〈前年比〉で出したのです。(2018年10月14日 日本経済新聞朝刊、2018年9月1日 日本経済新聞朝刊より)

 このニュースは象徴的な事柄として理解すべきではないかというのが私の考えです。日本経済新聞(2018年7月16日 朝刊)「経営の視点」欄で、「AI時代の事業変革」と題して編集委員の関口氏がこう語っています。「経営におけるAIの活用とは情報システム部門の問題ではなく、経営者自らが過去の作法を改めタブーに挑戦することから始まる」と。

 これから、「AIは未だ勃興期」の時代から「AIによる事業変革期」に向かっていくのではないかとの時代背景が、私をして、「AIの技術・仕組みを知りたい」「AIを体験してみたい」との思いに至らせたのでした。

 こうして見つけ出したのが紹介本です。次項で紹介本の内容を簡単にご説明します。

■         紹介本により「AI」を体験する

 AIについて、私達(除く専門家)は、AI機器に入力(AI機器に向かって一定の動作をする)し、AI機器から出力(入力に対応する結果)をAI機器から得ている事象については、展示場(東京ビッグサイト等)やテレビや新聞を通じて多くの情報を得ています。

 しかし、入力と出力の間の技術的プロセス・仕組み(専門用語では「想起」という)については全く理解できていないのではないでしょうか。

 この「想起」について「体験」させてくれるのが紹介本です。紹介本で体験できるのは、AI全体の中で考えれば、入り口の入り口です。「体験」できるレベルも、紹介本を読む人の高等数学(微分・積分、関数、行列、ベクトルなど)やExcelおよびVBA(Visual Basic for Application)言語によるプログラミング等の習熟度によって、様々と思います。しかし確実に言えることは、「暗闇に光がさす」ことは間違いないでしょう。

 紹介本によれば、AIの研究テーマは、人工知能学会の学会誌に発表されたテーマでは42テーマ有り(2001年~2015年の15年間)、紹介本に記載されています。

 紹介本で「体験」できるのは、次の、42テーマの中の7テーマと42テーマには含まれていない2テーマです。42テーマに含まれる、「ニューラルネットワーク」「ファジィ」「遺伝的アルゴリズム」「探索法」「ゲーム理論」「機械学習」「エージェント」の7つと、それ以外の、「問題解決」「エキスパートシステム」の2つです。各々のテーマの内容については、字数の関係などもあり、省略させて頂きます。

 話は前後しますが、紹介本で「想起」を「体験」できるという事はどういう事かと言いますと、それぞれのテーマについて、「入力」「想起」「出力」を、読者のPC上で実習できる「Excelサンプル・プログラム」を、紹介本指定のURLからダウンロードし、読者のPC上で「Excelサンプル・プログラム」動かしながら、併行的に紹介本を読み、入門的なAIの知識を「体験」することができるのです。

 ご興味のある方は、是非、紹介本とダウンロードした「Excelサンプル・プログラム」と向かい合って下さい。

■         「AI」を「体験」する意義(むすび)

 前項で申し上げましたが、AIを「体験」することは、「暗闇に光がさす」という表現を使わせて頂きましたが、AIがこれからの事業変革の一つのテーマとなっていく時代において、経営者、あるいは経営に係る人々にとって必要なことと思います。「体験」「暗闇に光がさす」ことで、自社或いは外部のAIのSE等の専門家とコミュニケーションをとれるようになります。この事は、自社のAIによる事業変革を成功に導く大きな要因になるのではないでしょうか。



【酒井 闊プロフィール】 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。
 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

 
【 注 】
 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。
 
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■■ 【経営知識】管理会計 管理会計を再び紐解いてみてはいかがですか?


 
 管理会計を学んだことのある人は多いと思います。
 ところが、理屈ばかりで、今ひとつ面白みがない「学問」であると感じた人も多いでしょう。
 ビジネスパーソンは、管理会計を学問と捉えるよりも「経営実務のための経営思想」と捉えてみてはいかがでしょうか?
 ますます、わからなくなった!?
 と、お感じの方は、ぜひ、当ブログを参考にしてみて下さい。
 
■ “真”の管理会計とは何かを初心に戻って見直してみましょう

 管理会計は、私たちに「気付きの機会」を与えてくれる魔法の力を持っています。たとえば、需要予測をして、売上計画を立案したり、営業部門の課題抽出に使ったりなど、管理会計は現場の実務にとても役立ちます。
 一方で、「管理会計は理屈っぽい」「実務とかけ離れている」などと敬遠されがちです。その背景には、管理会計関連書の多くがアカデミックな著者による執筆だからです。経営というのは、泥臭い部分が多いので、現場で苦労している経営者・管理職や担当者の求めているものとは異なるところが多いのです。
 
 筆者は、40余年もの長きにわたって経営コンサルタントとして現場に密着してきました。従来の管理会計がバランススコアカードとか損益分岐点分析とかという経営手法の横割り的な目次構成でしたが、本書は、そのメリットを活かし、かつ利用者が求めている縦割り的な利用法をマトリックスに組み合わせたコンセプトで書かれています。
 
 また、経営コンサルタント団体として最も歴史と伝統のある「日本経営士協会」による、日本を代表する会計学の権威者が培ってきたノウハウを継承して、昨今の経営現場に即する形に管理会計を焼き直しました。その結果、従来の管理会計とは「別物」といえるほど、現場に則した管理会計書になりました。
 
 本書は、「営業・マーケティング編」として記述されていますが、営業職だけではなく、ICTや経営企画などの現場でも役立つ管理会計のノウハウと、自分の仕事に生かす方法を解説した「きょうか書(教科書+強化書)」です。管理会計で「なにができるのか」「どのように取り組むべきなのか」を興味のある項目から調べましょう!
 
目次
 第1章 管理会計を正しく理解する
 第2章 需要予測で売上計画を立案
 第3章 社内データを活用した顧客戦略に管理会計を活かす
 第4章 商品戦略、地域戦略に管理会計を活かす
 第5章 市場戦略に管理会計を活かす
 第6章 温かい管理に管理会計を活かす
 第7章 温かいプロセス管理ができる営業設備
 第8章 管理会計で営業力を向上させる
 

 定価:1,800円(+税) A5判/ページ数 359ページ

 
■ 著者プロフィール

 アメリカで経営学、マーケティングを学び、日本の商社で事務機器、印刷機器の輸出入業務や新製品開発と市場導入などを担当。ニューヨーク駐在所長、アメリカ法人役員などを歴任後、経営コンサルタントとして独立。パソコン揺籃期から中堅・中小企業のパソコン活用の啓蒙、ICT活用による経営戦略の指導など、国内のみならずグローバルなコンサルティング活動を展開。現在、日本のコンサルタントの地位向上、若手育成に力を注ぎ、日本経営士協会会長他、各種の要職に携わってきました。
 ソフトバンク「営業管理職のためのパソコンノウハウ」、秀和システム「ロジカル・シンキングがよ~くわかる本」「クリティカル・シンキングがよ~くわかる本(秀和システム 今井信行著)」、アメリカ・マグローヒル社「アメリカにとって今が対日進出のチャンス」など、著書や論文・寄稿・講演など多数
 
 
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【経営コンサルタントの育成と資格付与】
 
since 1951 特定非営利活動法人・日本経営士協会
 
 日本経営士協会は、戦後復興期に当時の通産省や産業界の勧奨を受け、日本公認会計士協会と母体を同じくする、日本で最初にできた経営コンサルタント団体です。
 
 詳しくは、サイトでご覧下さい。 
 
 
 
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Posted by 経営士 at 12:01経営コンサルタントの本棚

2018年10月23日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 7つの基本で身に付く「エクセル時短術」 Excelの基本を学ぶ意義

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 7つの基本で身に付く「エクセル時短術」 Excelの基本を学ぶ意義


 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。


■  今日のおすすめ

   『7つの基本で身に付く「エクセル時短術」』

   (一木 伸夫著 日本経済新聞出版社 日経文庫ビジュアル)

 

■         「Excelの基本」を学ぶ意義はここにある(はじめに)

 著者は紹介本の「まえがき」で次のように語っています。『OECDの調査によると、ビジネスパーソンに求められる能力は、「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」の3つです。日本は「読解力」「数的思考力」はトップという調査結果が出ています。しかし「ITを活用した問題解決能力」は調査対象国の中で中位です。

 つまりIT教育だけを見ると日本は確実に世界の三流国です。IT教育というと「プログラミング」を連想する人が多いと思いますが、教室で特定のプログラミング言語だけを習っても、「ITを活用した問題解決能力」が身に付くとは限りません。むしろ日常的に使っているエクセルをきちっと学び、ビジネスの現場で、自分の頭で考えて活用することが近道です。加えて独学で学んだ曖昧な理解ではなく、基本の「型」を身に付け、その上で自分なりの展開をしていく事が大切です。「形なし」ではなく「型破り」が大切です。「子供たちがこの国に生まれ教育を受けたことを誇れる国にする」そんな思いでこの本を執筆しました』と。

 20年近く公認会計士として、監査、会計プログラミング、業務改善コンサルタントに関わってきた著者の思いを重く受け止め、改めてExcelを学ぶことの大切さを痛感した次第です。

 そんな思いで、本著を紹介することにしました。9月に続き、又Excelかと思われる方もおられると思いますが、今月の紹介本は、著者が“これを知らない人は『「型」なし』と思ってください”という厳しい指摘をしている著書です。『「型」なし』ではなく『「型」破り(「型」を身に付け更にその上を行く)』になるスタート台として、紹介本を是非読んで頂きたいと思います。

 『「型」破り』のスタート台となれる幾つかのExcelの基本を、次項でご紹介したいと思います。

■         これだけは知っておきたいExcelの基本

【仕事でPCを使うときはマウスを使わない】

(覚えるえるべきショートカットキー)

 紹介本には33個の「覚えるべきショートカットキー」が掲載されています。「Alt+Enter」はご存知ですよね。「セル内改行」ですね。「Ctrl+A」は「全て選択」です。この操作をして「Delete」キーを押すとすべて削除されます。マウスを使う場合は、右クリックでスライドし「範囲を選ぶ」⇒「Delete」キーを押すで、同様の機能を果たせますが、範囲が広かったりすると、ショートカットキーが便利ですね。Excelから離れますが、ノートPCを数日間使わないで、1,000個ぐらい貯まったOutlookの不要メール(デスクトップPCとダブる)もこの「Ctrl+A」を使うと、一発ですべてを削除できます。話はExcelに戻りますが、この後に出てくるExcelで重要な機能をもつ「絶対参照・複合参照・相対参照」の切り替えは、「F4」キーを操作して行います。絶対参照記号の「$」を都度入力していると時間が掛ります。「習って慣れる」しかありませんが、時短術の一環として是非覚えて下さい。

【絶対参照と相対参照】

 Excelでたった一つの数式で九九の表を作ってみましょう。A列のA2セル~A10セルに数字の1~9を入力してください。1行のB1セル~J1セルに数字の1~9を入力してください。B2からJ10までの範囲が九九表になります。B2セルに数式を入れ、コピペすれば出来上がります。どんな数式を入れたら良いでしょう。「=A2*B1」「=$A2*B$1」どちらが正解ですか。「=$A2*B$1」が正解です。$A2の意味は、「1~9の数字が入っているA列は固定したいが、行は固定したくない」を表します。B$1の意味は、「1~9の数字が入っている1行目は固定したいが、列は固定したくない」を表します。$が付いたものを絶対参照と言います。列だけの絶対参照と行だけの絶対参照を組み合わせると、一つの数式で九九表が出来上がります。

 先に記した「F4」キーを押しますと、都度「$A$2」「A$2」「$A2」「A2」と変わっていきます。それぞれを「絶対参照」「複合参照」「複合参照」「相対参照」と呼びます。九九表の場合と多少違った言葉使いをしています。適宜・臨機応変に解釈する必要があります。

 いずれにしても、「絶対参照」「相対参照」の概念は、正確な作表をする上で重要な概念です。紹介本などを使い、自ら演習して使い慣れましょう。

【非常に強力な集計ツール「ピポットテーブルの基本」】

 「ピポットテーブル」は知らない人が結構いますが、とても便利な集計機能ですので、初めての人は是非覚えて下さい。

 紹介本の例は、「3か月間の年月日別・支店別・担当者別の売上集計データー」があり、これで、「縦軸に支店・横軸に月」の合計表を作成します。

 簡単な手順で出来上がります。①集計データーの範囲選択をする⇒②挿入タブを開き「ピポットテーブル」クリックする⇒③「ピポットテーブルの作成」作業シートが出てくる⇒④範囲選択を確認し、ピポットテーブルを作成するシートの場所(同一シート上か、新たなシート上か)を選択し「OK」をクリック⇒⑤「ピポットテーブルのフィールド」画面が出てくる。画面にタイトル(年月日、担当者、支店、売上)が出てくるので、作成する合計表に合せ、担当者を除く3つにチェックを入れ、その上で、タイトルを、行、列、Σ値欄にドラッグ&ドロップを行います。これで基本表が出来上がりました。後は、年月日を月別にグループ化するなどの作業をして完成です。詳細は紹介本をお読みください。

 以上「7つの基本」のうち、3つをご紹介しました。残りの4つの基本も大切な基本ですので、紹介本を手に取って、「時短術」を身に付けてください。

■         Excel時短術が生み出すもの(むすび)

 スプレッドシート(表計算ソフト)の代表格であるExcelは、表計算ソフトとしては、一番多く使われているのではないでしょうか。Excelを自分で使う場合、或いは、クライアントの使っている現場を見て、「時間のムダ」を、紹介本により身につけた「型」を活用して、解消する事が出来るのではないでしょうか。

最近では、WEBを使った「資料を共有して同時作業を可能にする」メリットを生かそうと、Googleスプレッドシートも良く使われるようになりました。そんな時も、紹介本の「型」を身に付けておけば、Googleスプレッドシートの関数の応用・活用に繋がり、「時間のムダ」を解消することが出来るのではないでしょうか。

 



【酒井 闊プロフィール】 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。



【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。


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 管理会計を学んだことのある人は多いと思います。
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■ “真”の管理会計とは何かを初心に戻って見直してみましょう

 管理会計は、私たちに「気付きの機会」を与えてくれる魔法の力を持っています。たとえば、需要予測をして、売上計画を立案したり、営業部門の課題抽出に使ったりなど、管理会計は現場の実務にとても役立ちます。
 一方で、「管理会計は理屈っぽい」「実務とかけ離れている」などと敬遠されがちです。その背景には、管理会計関連書の多くがアカデミックな著者による執筆だからです。経営というのは、泥臭い部分が多いので、現場で苦労している経営者・管理職や担当者の求めているものとは異なるところが多いのです。
 
 筆者は、40余年もの長きにわたって経営コンサルタントとして現場に密着してきました。従来の管理会計がバランススコアカードとか損益分岐点分析とかという経営手法の横割り的な目次構成でしたが、本書は、そのメリットを活かし、かつ利用者が求めている縦割り的な利用法をマトリックスに組み合わせたコンセプトで書かれています。
 
 また、経営コンサルタント団体として最も歴史と伝統のある「日本経営士協会」による、日本を代表する会計学の権威者が培ってきたノウハウを継承して、昨今の経営現場に即する形に管理会計を焼き直しました。その結果、従来の管理会計とは「別物」といえるほど、現場に則した管理会計書になりました。
 
 本書は、「営業・マーケティング編」として記述されていますが、営業職だけではなく、ICTや経営企画などの現場でも役立つ管理会計のノウハウと、自分の仕事に生かす方法を解説した「きょうか書(教科書+強化書)」です。管理会計で「なにができるのか」「どのように取り組むべきなのか」を興味のある項目から調べましょう!
 
目次
 第1章 管理会計を正しく理解する
 第2章 需要予測で売上計画を立案
 第3章 社内データを活用した顧客戦略に管理会計を活かす
 第4章 商品戦略、地域戦略に管理会計を活かす
 第5章 市場戦略に管理会計を活かす
 第6章 温かい管理に管理会計を活かす
 第7章 温かいプロセス管理ができる営業設備
 第8章 管理会計で営業力を向上させる
 

 定価:1,800円(+税) A5判/ページ数 359ページ

 
■ 著者プロフィール

 アメリカで経営学、マーケティングを学び、日本の商社で事務機器、印刷機器の輸出入業務や新製品開発と市場導入などを担当。ニューヨーク駐在所長、アメリカ法人役員などを歴任後、経営コンサルタントとして独立。パソコン揺籃期から中堅・中小企業のパソコン活用の啓蒙、ICT活用による経営戦略の指導など、国内のみならずグローバルなコンサルティング活動を展開。現在、日本のコンサルタントの地位向上、若手育成に力を注ぎ、日本経営士協会会長他、各種の要職に携わってきました。
 ソフトバンク「営業管理職のためのパソコンノウハウ」、秀和システム「ロジカル・シンキングがよ~くわかる本」「クリティカル・シンキングがよ~くわかる本(秀和システム 今井信行著)」、アメリカ・マグローヒル社「アメリカにとって今が対日進出のチャンス」など、著書や論文・寄稿・講演など多数



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since 1951 特定非営利活動法人・日本経営士協会

 日本経営士協会は、戦後復興期に当時の通産省や産業界の勧奨を受け、日本公認会計士協会と母体を同じくする、日本で最初にできた経営コンサルタント団体です。

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Posted by 経営士 at 12:01経営コンサルタントの本棚

2018年09月25日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 『ビジネスExcel完全版』

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 『ビジネスExcel完全版』



 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。


 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。


■  今日のおすすめ

 『ビジネスExcel完全版』(日経PC21総力編集 日経BP社)

■         ビジネスに必要なExcel(はじめに)

 皆様は、Excelは得意ですか。私はどちらかというと当面の必要な知識は持っているものの、深い知識は不十分です。いつもExcel知識の必要性を感じていました。「これは身に着けよう」と思い十数冊の雑誌や単行本を買いましたが、目の前の仕事に追われ積読の状態です。

 しかしそうも言っておれなくなって来ました。AIを理解するにはExcelのイメージが必要と言われていますし、働き方改革ではありませんが、仕事の生産性を上げるには、Excelによる作業効率の向上が必要と言われています。

 そんな中で、紹介本と出合いました。紹介本は皆様もご存知の日経BP社が発行している雑誌「日経PC21」の過去に発行したものを総まとめにして、単行本にしたものです。「日経PC21」は創刊してから35年余りになります。その間に積み上げた情報・知見を纏めて一つにした紹介本は、それなりに価値があると思い皆様にご紹介することにしました。勿論これで十分とは言えません。足りない部分を他の本でカバーして行こうと思っています。

 紹介本は、「入門Excel」「操作」「関数」「文書・作図」「プログラミング(マクロ、VBA)」の5つの分野に分けて編纂されています。また、演習用のサンプルファイルがダウンロードできますので体で覚えることができます。更には180度開きの本で、ブックホルダーで押さえておく必要もなく読みやすく、演習し易い特徴を持っています。

 それでは「入門Excel」「操作」「関数」「文書・作図」「プログラミング(マクロ、VBA)」の分野別に分けて、“知って得する”情報を記してみたいと思います。 

■         Excelのこんな機能知っていますか

【知って得する「入門Excel」】

 知恵はあちこちに転がっています。「入門」と言って馬鹿にすると、せっかく取得できた知恵が通り過ぎていきます。Excelを開くと、画面の右上に「クイックアクセスツールバー」が有ります。▾の上に▬のあるマークが出てきます。これをクリックすると「ツールバー設定画面」(作業シート)が出てきます。この中から必要な機能をチェックすると「クイックアクセスツールバー」に表示されます。更に「ツールバー画面」の〈その他のコマンド〉を選び「セルの書式設定」も表示できます。この部分はマウスを使って、「ファイル」タブ⇒「オプション」⇒「リボンのユーザー設定」⇒「セルの書式設定」でも出来ます。こうして「クイックアクセスツールバー」に表示された機能を使うと、マウスでやる場合に比し作業量は二分の一になります。積み重ねると大きいですよ。


【正確に「操作」を知って正確性・生産性を上げよう(習って慣れる)】

≪「今日の日付」の入力≫

 今日の日付は、『「Ctrl」+「;」キー』でセルに今日の日付が入ります。「数式バー」に、関数の「=TODAY()」を入れても今日の日付は入りますが、この場合は画面を開く都度開いた日の日付に更新されますから、用途によって使い分けが必要なことを頭に入れて、使い分ける必要があります。手入力する場合と比べてどうでしょう。2018/9/25と比べると三分の一で済みますね。 

≪登録した「リスト」から選んで「セル」に入力≫

ワークシート上の「入力する列をドラッグ」⇒「データ」タブ⇒リボンから「デー

タ入力規制」をクリック⇒「データ入力規制画面」を開く⇒「入力値の種類(A):」から「リスト」を選択⇒同画面の「元の値(S):」欄に入力したい文字群を半角カンマで区切って入力する(例;初級,中級,上級)⇒ワークシートのドラッグした列の中の入力セルをクリック⇒入力セルの右にマーク(の中に)が表示されます。そのマークをクリックすると、先に登録した、「入力したい文字群」が表示され、入力したい値を選んでクリックすると、クリックした値がセルに入力されます。

 このようにすると、セルに手入力する場合と比べ、上記のステップを最初に設定・登録しておくと作業量は大きく減少します。生産性が大きく上がります。

 上述したような、生産性向上ツールが紹介本には多く記載されています。経営者・管理者の皆さん、貴社のExcelの作業は効率的ですか。「現場」「現実」を検証しましょう。

【作業の効率化に使える「Excel関数」】

 紹介本では、約480ある関数から、「上位2割の関数で8割の仕事がこなせる」というパレートの法則の考えで、60個を厳選し、機能・使い方等実際に演習できる形で説明しています。専門的な関数(標準偏差、相関関数等)は『「Excel関数」プロ技セレクション(井上 香緒里著 技術評論社)』等をExcel関数の辞書代わりに使い乍ら必要の都度、目的から関数を探し、「習い慣れていく」と良いと思います。

 著者は、紹介本に出ている、業務と関連性の高い60個の厳選関数を使っただけで、作業量は十分の一に減ると記しています。紹介本に目を通して頂き、社内の業務の生産性向上のきっかけを探しませんか。

【知っておくと綺麗にできる「文書・作図」】

 同じグラフなら、綺麗で見栄えのする円グラフ、棒グラフ、折れ線グラフが良いですよね。そんなグラフの作り方、調整の仕方が書かれています。こんなに多くのリボンや書式設定が有るのを知りませんでした。「宝の持ち腐れ」でした。

【初めて知るExcelの「プログラミング」機能】                     

 ExcelにはVBA(Visual Basic for Application)というプログラミング言語を使い、Excelでプログラミングができる機能を持っています。VBE(Visual Basic Editor)という画面にプログラムを記述していきます。主にはExcelをコントロールするのに使います。これも覚えておくと作業の効率化を図れます。一例として『Excelの「請求先一覧」を1枚ごとの「請求書」に作り一括印刷する、差し込み印刷プログラム』が記述されています。とても便利な機能です。この様なプログラミング関数は、現在発行されている『Excel VBA ハンドブック(「似た題名」で各社から発行されている)』には、600~700個のプログラミング関数が紹介されています。目的に応じて『ハンドブック』から逆引きして使用することで、簡単に使えます。日常的作業を効率化できるツールです。


■         ビジネスにおけるExcelの価値を見直そう(むすび)

 紹介本を読んで痛感しているのは、Excelの機能の深さです。一気にマスターするのは難しいですが、「習い慣れて」行きたいと思っています。

 Excelに関する知見は、最初に述べましたように、その必要性は無視できない環境になって来ていることは間違いありません。

 経営に係る皆様に同じ認識を持って頂けたらと思っています。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/


【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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■■ 【経営知識】管理会計 管理会計を再び紐解いてみてはいかがですか?

 

 管理会計を学んだことのある人は多いと思います。

 ところが、理屈ばかりで、今ひとつ面白みがない「学問」であると感じた人も多いでしょう。

 ビジネスパーソンは、管理会計を学問と捉えるよりも「経営実務のための経営思想」と捉えてみてはいかがでしょうか?

 ますます、わからなくなった!?

 と、お感じの方は、ぜひ、当ブログを参考にしてみて下さい。

 

■ “真”の管理会計とは何かを初心に戻って見直してみましょう

 管理会計は、私たちに「気付きの機会」を与えてくれる魔法の力を持っています。たとえば、需要予測をして、売上計画を立案したり、営業部門の課題抽出に使ったりなど、管理会計は現場の実務にとても役立ちます。

 一方で、「管理会計は理屈っぽい」「実務とかけ離れている」などと敬遠されがちです。その背景には、管理会計関連書の多くがアカデミックな著者による執筆だからです。経営というのは、泥臭い部分が多いので、現場で苦労している経営者・管理職や担当者の求めているものとは異なるところが多いのです。

 筆者は、40余年もの長きにわたって経営コンサルタントとして現場に密着してきました。従来の管理会計がバランススコアカードとか損益分岐点分析とかという経営手法の横割り的な目次構成でしたが、本書は、そのメリットを活かし、かつ利用者が求めている縦割り的な利用法をマトリックスに組み合わせたコンセプトで書かれています。

 また、経営コンサルタント団体として最も歴史と伝統のある「日本経営士協会」による、日本を代表する会計学の権威者が培ってきたノウハウを継承して、昨今の経営現場に即する形に管理会計を焼き直しました。その結果、従来の管理会計とは「別物」といえるほど、現場に則した管理会計書になりました。

 本書は、「営業・マーケティング編」として記述されていますが、営業職だけではなく、ICTや経営企画などの現場でも役立つ管理会計のノウハウと、自分の仕事に生かす方法を解説した「きょうか書(教科書+強化書)」です。管理会計で「なにができるのか」「どのように取り組むべきなのか」を興味のある項目から調べましょう!

目次

 第1章 管理会計を正しく理解する

 第2章 需要予測で売上計画を立案

 第3章 社内データを活用した顧客戦略に管理会計を活かす

 第4章 商品戦略、地域戦略に管理会計を活かす

 第5章 市場戦略に管理会計を活かす

 第6章 温かい管理に管理会計を活かす

 第7章 温かいプロセス管理ができる営業設備

 第8章 管理会計で営業力を向上させる

 定価:1,800円(+税) A5判/ページ数 359ページ

 

■ 著者プロフィール

 アメリカで経営学、マーケティングを学び、日本の商社で事務機器、印刷機器の輸出入業務や新製品開発と市場導入などを担当。ニューヨーク駐在所長、アメリカ法人役員などを歴任後、経営コンサルタントとして独立。パソコン揺籃期から中堅・中小企業のパソコン活用の啓蒙、ICT活用による経営戦略の指導など、国内のみならずグローバルなコンサルティング活動を展開。現在、日本のコンサルタントの地位向上、若手育成に力を注ぎ、日本経営士協会会長他、各種の要職に携わってきました。

 ソフトバンク「営業管理職のためのパソコンノウハウ」、秀和システム「ロジカル・シンキングがよ~くわかる本」「クリティカル・シンキングがよ~くわかる本(秀和システム 今井信行著)」、アメリカ・マグローヒル社「アメリカにとって今が対日進出のチャンス」など、著書や論文・寄稿・講演など多数



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2018年08月28日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 あたたかい管理のための「管理会計の教科書」〔営業・マーケッティング編〕

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 あたたかい管理のための「管理会計の教科書」〔営業・マーケッティング編〕


 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。


■  今日のおすすめ

 『あたたかい管理のための「管理会計の教科書」〔営業・マーケッティング編〕』

            (今井 信行著 秀和システム)


■  「管理会計」のイメージを変えられました(はじめに)

 私の「管理会計」の概念は、「制度会計」では判断ができない事項を「管理会計」で実態を明らかにし、“経営の意思決定と業績向上”に役立てることを目的とするものと理解していました。具体的には、「CVP分析(損益分岐点分析)」等のCosting、「公式変動予算」等のBudgeting、派生的なものとしてERP、BSC(KPIにより数値化できる)、京セラ会計などです。まさに著者の指摘する、横割りで捉える管理会計、に止まっていました。

 しかし、著者の「管理会計」に対する考え方の重要なポイントは、『多くの研究者は、管理会計の考え方を横割りで捉えている。それが実務家・利用者の有用性を妨げている実務に管理会計を利用するには、部門別の利用法など縦割りで考える方が有用性を高める。』にあります。

 一方、著者は、部門別であるが故に、全体最適性から外れては「経営を診る」という重要な目的を果たせないとして、「管理会計の目指すべき八項」として、全体最適性、上位概念整合性、仕組みの持続、目的意識の持続、臨機応変思考、共有財産の蓄積、共有財産の拡大、人間性重視の8項目を挙げています。特に重要な項目として、部門別の縦割り管理会計になった場合、ともすれば、個人実績などに拘りがちな点に留意し、「人間性重視/温かい管理」を強調します。

 更に、本著の特徴は、縦割りの部門として、「仮説・検証・データのKKD」から遠く離れ「勘・経験・度胸のKKD (著者は「経験・勘・根性の3K営業」と表現)」で運営されやすい「営業・マーケッティング」分野に光を当て、見える化・管理会計化した点です。更に言えば、「営業・マーケッティング」分野は、ブラックボックス化している分野です。そこに管理会計を導入した意義は大きいと思います。縦割り横割りの盲点を埋め、更には基幹システム(財務会計システム、販売管理システム)との連携により、バリューチェーン全体の統合的な管理ツールが出来、全体最適なシナジー効果が出て来るのではないでしょうか。

 紹介本は、「営業・マーケッティング」分野の管理会計化や、「マーケティング」理論の管理会計化への発展的展開も含め、実用的で且つ新たな発見に出会える著書と思います。

 著書の中に見出した多くの新しい発見から、幾つかを次項でご紹介します。


【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/


【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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2018年07月24日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】思考の原点「5W1H思考」

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】思考の原点「5W1H思考」


 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

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■  今日のおすすめ

 『シンプルに結果を出す人の「5W1H思考」』(渡邉光太郎著 すばる社)


■  課題の発見・提起・解決に欠いてはいけない「5W1H思考」(はじめに)

 ビジネスは、「課題の発見・提起」と「課題解決」の連続ではないでしょうか。


それが経営改革・改善に繋がるのではないでしょうか。


 これについて、私が今までに学んだことは、『「課題の発見・提起」と「課題解決」は、意思決定ツールである「フレームワーク思考」「オプション思考」「プロセス思考」の3つを主とするロジカル・シンキングを手段・ツールとし、思考の手順を統合的に体系化したクリティカル・シンキング(思考技術体系)の枠組みと組合せた上で、取り組むことによって、MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)に、且つ正しい方向に進めることができる』でした。(「クリティカル・シンキングがよーくわかる本」〈今井 信行著 秀和システム〉より)


 そんな中で、紹介本を見つけました。ビジネス・フレームワークとして誰でも知っている当たり前の『「5W1H」思考』が『「課題の発見・提起」と「課題解決」』にどのような威力を発揮できるのか、半分疑問を持ちながら手に取った次第です。


 読んでみて感じましたのは、どちらかというと「フレームワーク・シンドローム」に近い私にとっては戒めになりました。先程引用しました「クリティカル・シンキング」的な枠組みとして『「5W1H」思考』を使えば、『「課題の発見・提起」と「課題解決」』に面白い・良い結果を与えると確信し、ご紹介することにしました。


 紹介本は著者が、『どんなカッコいいフレームワークを使って難しい分析をしたって、シンプルに「5W1H」に落とし込まなきゃダメだよな。こんな単純なことが大切で、良い結果を生むのだ』との思いで積み重ねてきたコンサルティング経験の結果を紹介本に著したのです。


 その意味で、紹介本に著されているような事例を基にした普遍的な論理は、同じような課題にピタリとはまるでしょう。また、『シンプルな「5W1H」思考』は、言うまでもなく、見逃しがちではありますが決して欠くことのできない、課題発見・提起・解決の重要な原点として思いを新たにする必要があります。


 著者が紹介する『「5W1H」思考』の興味ある事例を次項でご紹介します。


■ 「5W1H思考」の効果を発揮するビジネスシーン

【課題提起は「Big Why」で「真の目的」にさかのぼる】


 著者は『「5W1H」思考』の長所を活かすために「5W1H」の特徴を見いだし、認識することがスタートと言います。それは、「5W1H」が現す内容の幅の広さと、発散思考から収束思考へ導く思考プロセスであるとします。扇をイメージしてください。扇の“親骨”と“子骨・中骨”に挟まれた部分を“扇面”とします。それらの中心となる“要(とじり)”が有ります。この三つに囲まれたそれぞれの扇面に、When(いつ:時間・過程軸)、Where(どこで:空間・場所軸)、Who(誰が:人物・関係軸)、Why(なぜ:目的・理由軸)、What(何を:事象・内容軸)、How(どのように:手段・程度軸)を置きます。これを一つのマトリックスと考えると、扇を広げた外側を“視野軸”とすると、扇を開くことで多くの内容が入ってきます。“骨”を“思考体系軸”とすると、課題が発散から収束へ、具体的な見えやすいものから見えにくい核心へと迫ることになります。さらには、“思考体系軸”を上り降りすることで、仮説・検証が繰り返され、課題発見・提起・解決の精度が高まるというのです。


 さて本題に戻り、この様な『「5W1H」思考』の特徴を生かしながら『「Big Why」を使って「真の目的」にさかのぼる』ためにはどうすればよいのでしょう。著者は、発想のスタートが具体的に見えやすい“What”・“How”と言う“モノレベル”に止まることなく、「ありかた(コトレベル)」「ありがたみ(ライバルにない高次の価値レベル)」「あたらしみ(従来にない革新的な価値のレベル)」の3つのチェックポイントに絞り「真の目的」を突き詰めていく事ができるとします。その上で初めて「真の目的」を達成する“What”と“How”を見つけることが大切と言います。その実例として、最初にロボット掃除機を開発した「ルンバ(アイロボット社)」の例を挙げています(ダイソンも後に同様の製品を販売)。


【問題解決は「3W1H」で「筋の良い打ち手」に絞り込む】


 著者は、問題解決には、最初から細部に入り込む非効率な「決め打ち(たまたま目についた事象に捉われて、根拠なく安易で慣れたな結論に飛びつくこと)」と「むだ打ち(手当たり次第に情報を収集・分析するなど、総花的に対策を打とうとすること)」の思考をやめ、クリティカル・シンキング的な「クエスチョニング・プロセス」を推奨します。このプロセスは、「What(何を解決するのか?=問題の設定=)」「Where(どこが悪いのか?=問題個所の特定=)」「Why(なぜ起こるのか?=問題原因の究明=)」「How(どうすればよいのか?=解決策の立案=)」の順番で真の問題の特定から解決に繋げていきます。このプロセスは、様々な問題解決に活用できる汎用性の高い“型”と言えると強調しています。


■      「5W1H思考」を新たな「思考技術体系」に加えよう(むすび)

 紹介本は、「5W1H」を単なる「意思決定ツール」としてのフレームワークではなく、『「5W1H」思考』として、クリティカル・シンキング(「思考技術体系」)にまでレベルアップして、課題発見・提案・解決に活用しようとの提言と受け止められます。

 この提言は、様々な実例や、著者のコンサルティング経験に基づくものです。「思考技術体系」の知見・ツールの一つとして新たに加えたいですね。


【酒井 闊プロフィール】


 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

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【 注 】

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2018年06月26日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 実践「アメーバ経営」 管理会計を超えた稲盛流経営術

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 実践「アメーバ経営」 管理会計を超えた稲盛流経営術


 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

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 ■■【経営コンサルタントのお勧め図書】

 『実践「アメーバ経営」』

(稲盛和夫 京セラコミュニケーションシステム著 日本経済新聞出版社)


   管理会計を超えた経営管理の優れもの「アメーバ経営」(はじめに)

 「アメーバ経営」は、「京セラ会計」として管理会計の世界でよく知られた手法に「京セラ会計」を支える経営管理・組織・哲学・戦略を加えたものです。

 京セラの創始者であり、紹介本の著者でもある稲盛和夫氏が、本来、京セラの企業機密である管理会計手法と、その管理会計手法が円滑に運用される基盤としての経営管理手法を、多くの中小企業のために、2000年前後に社外に公開したことが、「京セラ会計」が世に広まる契機となりました。700社以上の企業が京セラ傘下のコンサルティング会社の指導により導入し、業績を飛躍的に伸ばしています。

 「京セラ会計」は管理会計の教科書に必ず載るポピュラーな管理会計手法になりましたが、「京セラ会計」のテクニックを学んでも、それが確実に企業の業績を伸ばすツールになるとの確信を持てませんでした。皆さんはどうですか。私はそうでした。

 その原因がこの紹介本を読んでよく解りました。それは「京セラ会計」の裏の見えないところに流れている会計実践者の心の内を知らないからです。まさに“心を作ること”、それが「アメーバ経営」と言われる経営管理手法の神髄であり、「京セラ会計」を優れた管理会計ツールにする基盤なのです。

 紹介本を通じ、また、JALの再建成功(注)という偉大な事実を通じ、「アメーバ経営」の底力を次項で見てみたいと思います。

(注)JALは2010年1月に会社更生法の適用申請。申請直後の2010/3期の営業利益は▲1,337億円。2012年9月に再上場。再上場直前の2012/3期の営業利益は2,049億円の黒字。約2年余りの再建期間で、3,349億円の採算改善を成し遂げた。


   優れもの「アメーバ経営」の“神髄”

【JAL再建成功で立証された「アメーバ経営」の底力】

 著者は、JALが短期間のうちに再生会社から高収益企業に生まれ変わった要因として次の5つの要因を挙げています。

 「①新たな経営理念の確立②フィロソフィーをベースとした意識改革③アメーバ経営の導入④「人のため、世のため」という思いの共有⑤トップの無私の姿勢」の5つです。

 これは「アメーバ経営」そのものの導入といってよいでしょう。京セラの経営理念は「全従業員の物心両面の幸福(しあわせ)を追及すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」です。JALで再建に当たり導入した経営理念は「全社員の物心両面の幸福を追求すること」でした。「公的支援を受けた企業」の経営理念にはふさわしくないと批判を浴びながらあえて導入したのは、社員一人一人の幸福なしに何事も進まないことを著者はよく理解していたからでしょう。ここに「京セラ会計」の基本が有ります。

 京セラでは、経営理念に現わされた経営目的を実現するための行動指針として、また素晴らしい人生を送るための考え方の基準として「京セラフィロソフィー」があり、一つの手帳としてまとめられています。JALにおいても「JALフィロソフィー」を作り、社員一人一人とのコミュニュケーションの場を作り、「JALフィロソフィー」の浸透とそれによる意識改革を図ったのです。

 「全社員の幸福」の次には「世のため、人のため」という考え方をお互いに共有しようとし、本来ならば経営理念の中に一緒に織り込んでも良いものを、あえて二つに分けて、優先順位を明らかにしたのです。最後に経営者・リーダーのあるべき姿勢を強調しているのです。ツールとして導入した「アメーバ経営」それは「京セラ会計」そのものです。

 以上見て来ました様に、稲盛流経営、アメーバ経営をJALの再建に全面的に取り入れたのです。結果はご存知のように、再建企業JALが、超優良企業に生まれ変わっていったのです。「京セラ会計」というツールと、そのツールを活性化させる経営管理・戦略が相伴った「アメーバ―経営」の底力を、目の当りに見ることができるのではないでしょうか。

【「考え方」こそが人生・経営を左右する】

 著者は、経営について次のような公式を持っています。

人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力

 JAL再建に当たってもこの公式を全面的に導入しました。その中でも特に「考え方」が大切と著者は主張します。その考え方はまず「プラスの考え方」でなくてはならないとします。次に、具体的な経営者的「考え方」は、全社員との家族のような関係の構築、経営者意識を持った人材の育成、独立採算意識を浸透させるためのアメーバ組織と収益状態を管理するツール(「京セラ会計」)の導入、アメーバ組織間の利害対立の解消、全社員の会社経営への参画であるとします。

 このような考え方に、アメーバ経営の神髄を見ることができるのではないでしょうか。

【「アメーバ経営」で時間を捉えることの意味】

 アメーバ経営の会計管理ツール「京セラ会計」では、他の管理会計にはない特徴的概念として“時間概念”が取入れられています。

 「京セラ会計」の一つの目的に、生産性・採算性の向上が有ります。「アメーバ組織の生産性・採算性を計る尺度として、一般的な純利益を使うと、一人一人の労務費・給与がつまびらかになり、組織のメンバーの目が、労務費・給与に向き、本来の活動に濁りが入ってしまう。これを避けるためにアメーバ組織の採算を、一時間当たり純利益という指標で見る」と著者は説明します。加えて、アメーバ―組織間での、時間当たり純利益を比較することで、共通の尺度で比較でき、アメ-バ組織間の比較・競争・改善にプラスに働くとします。

 “時間概念”は「京セラ会計」の一つの特徴ですが、この他、アメーバ組織間での売買価格、間接部門コストの配賦などの仕組みの構築、仕組みの情報システム化などに相応のコストがかかりますが、それを大きく上回る、生産性・採算性の向上と、経営への全員参加や社員の意識変革などのメリットが得られると著者は強調します。

【その他の「アメーバ経営」の優れているポイント】

 他にも京セラ会計の「7つの会計原則」「従業員をやる気にさせる7つの鍵(経営者の役割)」等、著者の実体験から生まれた知見が紹介されています。詳しくは紹介本をお読みください。

 「アメーバ経営」の導入で企業は生まれ変わるか(むすび)

 倒産上場企業が再上場出来た過去の実績は6.5%という厳しい数字が有ります。そのような難題であるJAL再建・再上場が、再建計画を上回る成功に至ったカギについて、JALの再建に携わった企業再生支援機構(現地域経済活性化支援機構)の企業再生支援委員長の瀬戸英雄弁護士(瀬戸氏自身も倒産企業の再建のベテラン弁護士として、JAL再建成功のもう一つのカギと評価されている)は、「稲盛和夫氏を招聘できたこと」であると述べています(「JAL再生〈引頭麻実著 日本経済出版社〉」より引用)。

 紹介本や上記で引用した「JAL再生〈引頭麻実著〉」を通読し、JAL再建・再上場成功の中で果たした稲盛流「アメーバ経営」の力に、驚きの念を禁じえません。

 「アメーバ経営」の導入により企業に変革をもたらすには、管理会計ツールの裏にある経営管理・変革の努力が不可欠であることを痛感するのです。この努力をする覚悟無しでは、管理会計ツールの導入効果は皆無に等しいと痛感するのです。

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2018年05月22日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 Visual「マーケティング・フレームワーク

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 Visual「マーケティング・フレームワーク



 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】マーケティング・フレーム

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■      今日のおすすめ

 『Visual「マーケティング・フレームワーク」』(原尻淳一著 日経文庫)

■      マーケティング・プロセス「R⇛STP⇛4P⇛I⇛C」のスペル解りますか(はじめに)

 紹介本の著者は、マーケティングの研究家ではなく、実戦家であるところにこの本の特徴が出る要素が有ります。別の表現をすれば、経営管理部門から転じた、マーケティングについては理論を羅列的にしか知らないA君が、突然「マーケティング・プラン」作成のリーダーになった時、この本に従って、プランをスタートから、作っていけば、しっかりとしたプランが出来上がる。この出来上がったプランについて、まずはQVSAサイクルを回しプランの検証をし、その上で実行に移し、一定の期間の結果をもってPDCAサイクルを回すことで、マーケティング作戦が順調に回り出し、良い成果に結びついていく。本書は、そんなストーリーを確信させる「マーケティング・フレームワーク」集です。

 更に、この本を読んで、面白く、そして驚くのは、いわゆる「マネジメント・フレ-ムワーク」を「マーケティング・フレームワーク」として使うことで、“え!”と驚く見事な「マーケティング・フレームワーク」に変貌させていることです。

 もう一つ付け加えると、私の不勉強かもしれませんが、「マーケティング・フレームワーク」がこんなに沢山有るのか!と驚きを禁じえません。

 この様に感じるのは、最初に戻りますが、本書が「マーケティング・プラン」を作成する手順を念頭において書かれているからです。マーケター、マーケティングを学びたいと思う人にはお勧めの本です。

 “ア!いけない”、「R⇛STP⇛4P⇛I⇛C」の答えを言うのを忘れていました。「Research(調査)⇛STP(細分化、標的化、ポジショニング)⇛4P(製品、価格、流通、販促)⇛Implement(実行)⇛Control(管理・改善)」です。マーケティング・プロセス(調査・戦略・プログラム立案・実行・管理/改善)を表しています。本書の構成はこのプロセスに従った構成になっています。マーケティング・プラン作成のストーリー(道順)に従った構成と言い換えても良いでしょう。ページの構成がストーリーになっていることが本書の特徴であり、それを踏まえて読まなければ、読む価値が半減します。

 それでは、私が本書を読んで「面白い、驚いた、初めて知った」ことを、次項で、その一部をご紹介します。

■      面白い・驚いた・初めて知った「マーケティング・フレームワーク」

【面白い「マーケティング・フレームワーク」】

 KPI(key performance indicator )をマーケティングにどう使うのでしょう。売上目標をKGI(key goal indicator )として、マーケティングの3大要素の、消費者動向、流通、ブランドイメージ指標にグループ化し、そのグループ毎に、売上を構成する指標に分解すると同時に、それらの分解指標のデータ源を特定し、KPIを決めます。一定期間を決め測定し、いわゆるKPIマネジメントを実践します。さあ、どんな結果が出るか楽しみですね。実践する当事者も面白く、楽しくやれるのではないでしょうか。

【驚いた「マーケティング・フレームワーク」】

 マッキンゼーの「7S」を「マーケティング・フレームワーク」として使った事例が掲載されています。「7S」の項目で競合他社と項目毎に比較してみます。そこには差別化のポイントや、自社の強み弱み、組織の改善ポイント等が明確に出てきます。  「7S」のこんな使い方が有るのです。ああ驚いた。

【初めて知った「マーケティング・フレームワーク】

 顧客視点からサービス品質を評価する「SERVQUALモデル」は初めて知りました。SERVQUALはServiceとQualityを合わせた造語です。A. Parasuramanによって開発されたものです。『①信頼性:約束されたサービスを確実に提供すること②反応性:顧客に対するサービス提供の迅速性③確実性:従業員のしっかりした知識と対応態度④有形性:設備や従業員の見た目⑤共感性:顧客とのコミュニケーション』の「5つの指標」と、「5つの指標」を細分化した10項目の「細かな指標」が有ります。

 このモデルを参考に、自社の品質指標を作り、競合他社との比較により、差別化を図るための「自社のサービス品質モデル」を作成することも可能になるでしょう。

 私がサービス品質として重視する、『顧客視点の「amenity(快適さ)」』は⑤共感性から創出される品質ということがわかります。「5つの指標」の残り4つの指標で何を重視し・取込むか分析・判断することで、差別化サービス品質の仮説が出来上がります。その仮説をQVSAサイクルで検証し、PDCAサイクルに繋げていく事で、競合他社に対し競争優位を確立できるサービスの提供が出来るイメージが、このフレームワークから湧いてくることを実感しました。

■      「マーケティングが遅れている日本」に“さようなら”を(むすび)

 どちらかというと“日本人はマーケティングに弱い”と言われています。

 それは「物作り日本」の言葉に象徴されているように、日本人は、目に見えるものには傾注出来るものの、見ようとすれば見えるけれども目の前にはない情報・データ等から、市場の優位を獲得しようとする仕組みを構築する情熱・工夫・技術・能力に弱いのではないでしょうか。

 明るい未来を切り開いていくために、グローバル視点・デジタル視点・オムニチャネル視点でのマーケティング力の強化が求められているのではないでしょうか。

【酒井 闊プロフィール】

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2018年04月24日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 コトラーの「マーケティング4.0」

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 コトラーの「マーケティング4.0」


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■      今日のおすすめ

 『「コトラーのマーケティング4.0」

     Moving from Traditional to Digital(スマートフォン時代の究極法則)』

  (フィリップ・コトラー著 恩蔵直人監訳 藤井清美訳 朝日新聞出版)


■      「マーケティング4.0」の時代とは(はじめに)

 「マーケティング1.0」~「マーケティング3.0」に続く「マーケティング4.0」というコンセプトに出会ったのは、この本を手に取った時が初めてでした。


 著者は、『「マーケティング」は「マーケティング・ミックス(4P)」を出発点とするのではなく、「STP」を中心にすべき』と主張します。その論拠は、突き詰めると「STP」は戦略型、「4P」は戦術型であるとします。


 従って、「マーケティングX.0」の表現で「マーケティング戦略」の時代に伴う変化を説明する時は、「STP」を念頭においているのです。そして「マーケティング戦略」は、「マーケティング1.0」で表される生産主導(製品中心)のマーケティング、「マーケティング2.0」で表される顧客中心(消費者志向)のマーケティング、さらに人間中心(消費者の精神的側面も含む価値観・主観を重視)の「マーケティング3.0」へと大きく変化してきたと主張します。その変化は、社会・経済的変化と並行していると説明します。従って「マーケティング3.0」の人間中心のマーケティングの到達点は、「人間的価値(健康・安全・環境・社会的責任等)を支持し表現する」製品・サービス・企業文化を生み出すことになると言います。


 それでは、「マーケティング4.0」と著者が定義づけるマーケティングはどの様なものなのでしょう。それはインターネットやスマホの技術的発展により、デジタル・マーケティングと伝統的マーケティングが融合(オムニチャネル化)し、ICTの世界では、人々は人間的な触れ合い(ハイタッチ)を強く求め、ある種のコミュニティー社会を作り、そのコミュニティー社会でのデジタル・コミュニケーションにより製品やサービスを知った顧客により、購入・推奨に至る道筋(カスタマー・ジャーニー)が形成されて行くようになり、製品やサービスは、より個人嗜好のもの(パーソナライズ、カスタマイゼーション)に向かっていくと説きます。この流れを「マーケティング4.0」と著者は定義づけます。そしてこの流れの変化に対応した「マーケティング4.0戦略」が必要と説くのです。


 「マーケティング4.0」時代のマーケティング戦略は、どの様なものなのでしょう。著者は『嘗て提唱してきた「STP」等の伝統的マーケティングが、デジタル・マーケティングにとって代わられるものではない。それぞれのアプローチの対象となる、購入に至る道筋(カスタマー・ジャーニー)で役割を交代しながら、共存すべきものだ』と強調します。それを次項で見てみましょう。


■      伝統的マーケティングと「マーケティング4.0」時代で何が変わったか

【購入に至るカスタマー・ジャーニーの変化-「4A」から「5A」へ-】

 『接続性が高まるデジタル時代の、顧客とブランドとの繋がり方を見ると、話がうますぎる広告メッセージに混乱した顧客は、友人や家族などの社会集団の信頼できる情報源に頼っている。このような状況の中で企業は自ら発信するメッセージの量の増大ではなく、他社より目立つ、そして重要なタッチポイント(ブランドと顧客の接点)で顧客と有意義な繋がりを築くことである』と著者は指摘します。加えて『「マーケティング4.0」の最終目標である、顧客をブランドの忠実な推奨者とするために必要なのは、ブランドからのわずか一瞬の予期せぬ感動だ』と言い切るのです。


 これを実現するためには、企業は、マーケティング施策(アプローチ)を企業視点から顧客視点に転換していく必要があります。それは「カスタマー・ジャーニー(顧客の購入・推奨に至る道筋)」というアプローチ・フレームワークをデジタル時代のものに転換の上、分析する必要性を意味します。


「マーケティング4.0」では、「カスタマー・ジャーニー」をデジタル時代に即して、接続性以前の時代の『4A(①aware=認知②attitude=態度③act=行動④act again=再行動)』から、接続性の時代の『5A(①aware=認知②appeal=訴求③ask=調査④act=行動⑤advocate=推奨)』へ転換・変化させていく必要を説きます。


 接続性の時代に、「カスタマー・ジャーニー」を『4A』から『5A』へと変えるべき要因として、『4A』時代の、個人的な「態度(②attitude)」が、『5A』時代には、顧客を取り巻くコミュニティーの影響を受け「訴求(②appeal)」と「調査(③ask)」のプロセスに変化すること、更に、『4A』時代の、ブランドに対するロイヤリティーを示す「再行動・再購入(④act again)」が、『5A』時代には、コミュニティーの繋がりによる「推奨(⑤advocate)」という道筋にグレードアップしていくことを挙げています。


 「顧客をブランドの忠実な推奨者」にするためには、『5A』のそれぞれのプロセス間のコンバージョン率を如何に上げるかが、マーケターの課題であるとするのです。


 デジタル時代のマーケティング戦略を身に付けるために、是非、詳細について本書をお読みください。


【マーケティング・ミックスの変化】

 マーケティング・ミックスについても、貴重な提言が有ります。売り手からの視点『4P(product、price、place、promotion)』、買い手からの視点『4C(customer value、cost、convenience、communication)』については、皆様お馴染みと思います。


 著者は、デジタル時代(接続性の時代)の『4P』は次の『4C』となるべきと主張します。その『4C』とは、顧客が製品開発に参加する「co-creation(共創)」、価格は市場の需要、顧客のニーズなどにより変動する「currency(通貨)」、流通チャネルは顧客と接続性の高い「communal activation(共同活性化)」、プロモーションは企業と顧客が能動的に商業的価値を獲得することが期待される「conversation(カンバゼーション)」です。とても示唆的な提言です。この戦術を自分のものとするためにも、詳細を本書から読み取ってください。


■      デジタル時代のマーケティング(むすび)

 総務省の「29年度情報通信白書」では、世界のスマホ保有比率は、2019年には全人口の約60%に達すると予想しています。また日本の世帯ベースのスマホ保有比率は、2016年時点で全世帯の72%となっています。


 スマホ時代は2010年ぐらいにスタートし、急激な伸びを示しています。並行して、様々なアプリやSNSが変化を遂げつつ拡大しています。


 マーケティングという思考で、これらを捉えることが大切です。同時に、自社のデジタル時代のマーケティングがどのように変化していくべきか問われている時代でもあると思います。


【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/


【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。





  長い経営コンサルタント経歴の基、書かれたページで、経営コンサルタントになるひとの60%ものの人が目を通しています。


  


Posted by 経営士 at 12:01経営コンサルタントの本棚

2018年03月27日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】IoTの神髄に迫る

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】IoTの神髄に迫る

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。


 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 『INDUSTRIE4.0「日本の製造業はIoT先進国ドイツに学べ」』


(熊谷 徹著 洋泉社発行)


■      ドイツ在住の著者が発信する「IoTの真実」を傾聴しよう(はじめに)

 今回この著書をご紹介するきっかけは、日本経営士協会九州中国支部の原田剛先生(日本経営士協会メルマガ656号【会員紹介】欄で【自己紹介】をしておられます)


からお便りを頂いたことに始まります。原田先生は、私が昨年の8月に本欄でご紹介した『インダストリー4.0時代を生き残る!中小企業のための「IoTとAIの教科書」』(島崎 浩一著)を読まれ、そこには書かれていない、「IoT」「インダストリー4.0」についての真実・表裏が、『日本の製造業はIoT先進国ドイツに学べ』には書かれている、とアドバイスを下さいました。併せ、日本経営士協会のメルマガ、経営士のブログの読者の皆様に今回の紹介本を紹介してあげて欲しいと仰って下さいました。

 「経営コンサルタントの本棚」を通じ、支部の違う原田先生と新たな繋がりが出来ましたことは本当に感謝です。

 今回の紹介本の特異性は、著者の熊谷氏が1990年以来ドイツ・ミュンヘン市に在住するジャーナリストであることにあります。加えて、国家プロジェクトの「ドイツ版IoT」「インダストリー4.0」の生みの親の一人である学術機関「ドイツ工学アカデミー」の会長ヘンニッヒ・カガーマン教授(元SAPのCEO)と直接・緊密なインタビューを通じて、微に入り細に入り、光の部分に伴う影についても聞き出し、読み解いている点です。

 更には、ドイツ国内の「IoT」の具体的な進展状況を、著者自身の目で確認しています。それは他のIoTに関する著書のように、誇張的でなく、夢を語るのでもなく、現実の状況を有りのままに伝え、今の日本にとって何が課題かを明確にしているのです。そこがこの紹介本の素晴らしいところです。

 次項で幾つかの「IoTの真実」を示します。それは日本ではまだ認識されていない、或いは意識の低い事項が多くあります。字数の関係もあり全てをご紹介できません。

 IoTに関心を持っている方は是非この紹介本を手に取ってお読みください。他のIoT関連の本にはない、「IoTの真実」を見いだせるでしょう。IoTに対する正しい方向感をもって、この課題に対処していく施策を見いだせるでしょう。


■      知っておきたい「IoTの真実」

【インダストリー4.0の真の狙いは「スマートサービス」】

 IoTと言えばすぐ頭に浮かんでくるのは、「スマート工場」「マスカスタマイゼーション」「サービタイゼーション」です。しかし、カガーマン教授は「製品の輸出や、海外での組み立てだけではなく、製品の製造ノウハウをソフトウエアとして、デジタル・プラットフォームにアップロード(公開)することによって、外国の顧客に販売するという方式も導入すべき。さらに、インターネットで繋がれた製品や部品が発信するビッグデータを分析することよって、能動的に顧客に新しいサービスを提供すべき。」と主張し、これを「スマートサービス」と定義し「インダストリー4.0」の核だと、革命的な提言をしています。

 カガーマンが目指すのは、製造業とサービス業の融合であり、製造業におけるサービスの収益に占める比率を、デジタル化によって高めることが重要と訴えます。

 この「スマートサービス」の背景には、知的財産の保護、個人情報保護の問題など解決しなければならない問題があります。また、IoTがインターネットによって繋がることが前提であるが故に世界的問題であるのです。

 ここで重要になってくることが次のテーマであり、日本(政府)が出遅れている、「国際標準化」の問題です。

【国際標準化をめぐる独米の接近】

 知的財産の保護、個人情報の保護の問題も、国ごとに法律や考え方の違いから、世界的なルールが必要ですが、これについては問題の指摘にとどめます。

 喫緊の課題は、IoTの重要な下部構造であるデジタル・プラットフォームやデーターウエアハウスなどをバーチャル空間に設計、構築するには「参照アーキテクチャー(reference architecture)」(設計、構築に必要な言語・地図)の「国際標準化」が必要です。各国でバラバラに開発したIoTシステムでは相互のコミュニュケーションが出来なくなることを避けるためです。

 ここで、IoTシステムの国際的標準規格を開発するため、ドイツのIoT推進機関「プラットフォーム・インダストリー4.0」と米国のIoT推進団体「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)」が2016年3月スイスで開いた会議で、提携の合意をしました。IICには、日本の企業では、日立、東芝、トヨタ、NEC、富士通横浜国大などが参加しています。

 著者は、「国際標準規格の開発の段階で、日本も責任あるIoT推進組織(政府、経済界、学界、労働団体、企業などで構成)を作り、積極的に国際標準規格作りに参画しなければ、日本のIoT推進に支障が出る」と主張します。

【中小企業をめぐるドイツの現状】

 ドイツの中小企業の企業数の比率は、99%強とほぼ日本と同じで、経済界における重要性は、日本と同様です。現状では、ドイツの約60%の中小企業が「インダストリー4.0」の利用に疑念を抱いているというデータも出ています。ドイツでは、中小企業の参加しなければ「インダストリー4.0」の成功はないとされており、一つの障害となる可能性もあります。

 これに関して、著者は、カガーマンのインタビューを引用しながら、「現在の国際競争力を失いたくないのであれば、デジタル・プラットフォームを使うインダストリー4.0では、秘密にすべきノウハウとプラットフォーム上で公開して構わないノウハウを切り分け、新しいイノベーションから取り残されないよう前向きに対応すべき」と主張しています。

【日本の「インダストリー4.0」への取り組みの現状と課題】

 日本に於ける「インダストリー4.0」への取り組みは、政府レベルでは、ドイツよりも5年遅れた2016年の日独の「IoT・インダストリー4.0の協力に関する共同声明(2016年4月)」に始まります。

 また、民間レベルでは、2015年6月に研究団体「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ(IIC)」(日立、トヨタ、三菱重工、富士通、NECなどの大企業のほか多数の中小企業が参加)が設立されました。2015年10月に「IoTコンソーシアム」(2017年1月現在で2,812社の法人会員が参加。経済産業省も参加しているが、ドイツのように政府が主導権を持つ形ではない。)が設立されました。

 著者は、日本の現状と課題に関し「IoTという21世紀最大の技術革命に乗り遅れることなく、また負の側面への十分な対応(雇用の問題、新たな職業訓練の必要性、貧富の差の拡大への対処等)を考慮した場合、日本政府が主導的な役割を演じるべきである」と主張します。


■      日本はドイツからの学びをどう生かすべきか(むすび)

 著者は、紹介本を書いた動機を次のように述べています。『ドイツに住み、「インダストリー4.0」を目の当たりに見ていると、「ドイツの中小企業はこの変化に耐えられるだろうか」という強い疑問を持った。また、「米独が世界標準を確立し、日本は蚊帳の外に置かれるのではないか」という強い危機感を抱いた。』

 この著者の「インダストリー4.0」に対し抱いている疑問・危機感を読むにつけ、IoT社会に対応していく危機感が、日本社会には未だ不十分と思わざるを得ません。それぞれの立場から危機感をもって「IoT」「インダストリー4.0」に対応していくべきではないでしょうか。競争相手は先を走っているかもしれません。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

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Posted by 経営士 at 12:01経営コンサルタントの本棚

2018年02月27日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日経大予測 日本の論点2018  年初に当たりこれからの日本の論点に注目してみよう

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日経大予測 日本の論点2018  年初に当たりこれからの日本の論点に注目してみよう



 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。


■      今日のおすすめ

 『日経大予測2018「これからの日本の論点」』

(日本経済新聞社編 日本経済新聞出版社)


■      年初に当たりこれからの日本の論点に注目してみよう(はじめに)

 新しい年のスタートの時期に当たり、前月に続き、新年のPESTに係る本をご紹介します。

 紹介本は毎年日本経済新聞社から出版される恒例の本であり、表題の「2018『これからの日本の論点』」が出版されると、「もうそんな時期になったか」と思わされます。

 しかし当然のことですが、内容は新しい年に何が起こるかを予想した内容で、2018年版は、「経済・金融のこれから」「産業・企業はこれからどうなる」「政治・国際情勢・世界経済はこれからどうなる」の3Chapter、25項目に亘って日本経済新聞の記者が書き下ろしたものです。

 日頃からPEST(政治・経済・社会情勢・技術)に関心を持ち、新聞やテレビなどから情報を取集しておられる方にとっては復習的になるかもしれませんが、改めて25のテーマについて読まれると、意外と新たな情報を発見するのではないでしょうか。

 25のテーマの中には、日頃のニュースではあまり報じられていないもの、報じられても表層的で、深く分析的に報道されていないものがあります。そのような中から「注目したい日本の論点」を選び、次項でご紹介します。



■      注目したい日本の論点

【政府の働き方改革で本当に生産性は上がるか?】

 紹介本によれば、働き方改革には3つの背景があるとしています。第1は労働力不足、第2はグローバル化、第3は「第4次産業革命」の進展であるとしています。

 第1の労働力不足については、『働き手が少なくなっても、企業・経済が成長するためには、一人当たりの付加価値(GDP)を高めること、すなわち生産性の向上が欠かせない。生産性については、日本の生産性(一人当たりドル建てGDP)の水準は、OECD加盟35か国の中で、日本は2000年には2位だったものが、2015年には20位になっている。加盟主要7か国(日本、米国、英国、ドイツ、カナダ、フランス、イタリア)の中では、イタリアに次いで下から2番目まで下がっている。また、米国の調査会社コンファレンス・ボードとコンサルティング会社マーサーが共同で、アジア11か国の2008~2016年の生産性の伸び率を算出した結果、高い方ではインド6.47%、中国5.82%と続いたのに対し日本は0.29%と韓国やシンガポールをも下回り最下位という調査結果が出ている。要因としては画期的な商品開発の停滞や、成長部門への投資が始まったばかりであること、サービス業やホワイトカラーの生産性の低さなどを挙げている。生産性を向上させるという意識が低かった結果とし、働き方改革による向上が期待される。』と紹介本は主張します。

 第2のグローバル化については、『競争が世界レベルになり、日本企業になお残る年功色のある人事・賃金制度が障害となっている。有能な外国人人材の取り込み等、透明性の高い成果重視の人事・処遇システムに改めていく事が求められる。』と主張します。

 第3のデジタル革命の進展については、『機械に任せられる仕事は機械に任せ、人間は、創造性等が求められる人間でなければできない仕事に、特化すべきである。』と主張します。

 私の私見ですが、最近の大手企業の製品データの改ざん等のニュースを目の当たりにし、また上記のような日本の生産性の伸びの低さを見て、経営層も現場も過去の日本の製品・サービスの優秀さに驕ることなく、現状を謙虚に認め、グローバルな競争で勝てる、広い意味での働き方改革とその仕組み作りを「革命」的に進める所に来ているように思えます。


【その他の注目すべき『日本の論点』】

 字数の関係もあり、また、私の不十分な解説より直接読んで頂いた方が読者の皆様のお役に立つと思い、紹介本の中で、私が特に注目した論点(項目)を以下に示させて頂きます。

□   「後退だけではないグローバル化」

□   「中国『一帯一路』の磁力~塗り替わるアジア通商秩序~」

□   「意外に堅調な日本企業。『頭打ち』から『成長』への転換が出来るか?」

□   「海のアジアに目を向けよ~インドネシアとフィリピンに注目しよう~」

新聞記事などでは得られない知見が読み取れることと思います。是非手に取ってお読みください。


■      2018年は転換点の年。PESTの動きから目を離すな(むすび)

 「日本の論点2018」から読み取れる共通のキーワードは「新年は『転換点』『変革の時』」でしょうか。新年は、PEST(政治・経済・社会情勢・技術)のどれをとっても見落とすことのできないものばかりです。“変化に乗り遅れないぞ”の心意気と実践・実現が求められているのではないでしょうか。

 その為には、従来の企業文化・慣行・既成概念を超越して達成・実現する覚悟が求められているような思いがします。 


【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/


【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。


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2018年01月23日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 新年の世界と日本経済の真実

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 新年の世界と日本経済の真実

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

『ついにあなたの賃金上昇が始まる!』(高橋洋一著 悟空出版)

■         「世界と日本のフェイクニュースを暴く」は必読(はじめに)

 「フェイクニュース」という言葉は、トランプがアメリカの大統領になってから、日常的言葉として使われるようになりましたね。それでは「フェイクニュース」は、以前は無かったのでしょうか。以前からあったのです。日本にもあったのです。私たちは、真実を追求することもなく、専門的分析力に欠けたマスコミなどが流すニュースを殆んど鵜呑みにしていたのではないでしょうか。

 今こそ、「何が“真実”で何が“フェイク”か」をしっかりと認識し、新しく迎える、新年の2018年を意味のある年にしようではありませんか。

 その様な意味で、紹介本こそ、私たちが抱いている判断が“真実かどうか”を明らかにしてくれます。是非紹介本を読んで頂き、「世界と日本の真実」を把握し、私たちが持っている“フェイク”を改め、そこから生まれてくる「真摯に取り組めば生まれてくる明るい日本の将来」に向かうスタートの年にしませんか。

 紹介本には、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、日本について貴重な知見、しかも、それは著者独自のデータに基づいた知見をベースとした「世界と日本の真実」が書かれています。読めば“エッ!そうなのか”と自分の不知を思い知らされることが多くあります。

 紹介本の中で語られている“真実”のいくつかを次項でご紹介しましょう。

 

■         これだけは知っておきたい「世界と日本経済の真実」

【トランプの米国を読み解く】

 私たちは、トランプのアメリカについて、何時もひやひやしているのではないでしょうか。しかし、著者は様々な情報を背景に、冷静に見ています。著者は、トランプはビジネスマンであり、基本的には間違ったことはしない大統領と見做し、万が一何らかの要因で、辞任・弾劾があっても、ペンス副大統領が後を引き継ぐから心配ないと語ります。TPPからアメリカが抜けても、アメリカの抜けたTPP+日米のFTAで上手く行くと語ります。

 著者は、安倍首相とトランプの関係も、私たちの知らない具体的人脈で繋がれており、一見アメリカ追随に見える日本の諸政策も、背景にある深慮遠謀を示し乍ら、意味あるものとして説明しています。納得・謎解きとして読むことが出来ます。

 

【ICT投資による成長によって、人口減少でもGDPは増える】

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が2017年4月に発表した「将来推計人口」にマスコミが飛びつき“これは大変なことになるぞ”と騒ぎ「経済成長が低くなる」との悲観論を蔓延させています。しかし著者は、マスコミは一方で、総務省の発行した「情報通信白書」にある、ICT(IOT、AI)による経済成長(GDPベースで上乗せ132兆円/2016-2030年)は、まったく報道していないと指摘します。

 つまり、人口減少によるマイナスインパクトがマイナス0.7%/年に対し、ICTによるGDPの成長上乗せ効果は最低でも1%/年、総務省の推計による成長シナリオでは2%/年の上乗せ効果があると指摘します。人口減少があっても経済成長が上昇していく事実を見逃しているのがまさに「フェイクニュース」だと著者は指摘します。勿論ICT以外にも、少子高齢化社会に向けた、新たな価値の商品・サービスの開発・商品化もGDPの成長に上乗せ寄与する可能性も十分あると思います。

 “フェイクな悲観論”に乗り経営を低迷させるか、“真実に基づき”前向きな経営をするか、貴方が経営者ならどちらを選択しますか。

 

【日本のバランスシートは問題なし】

 財務省は、日本国内向けには一人当たりの国の債務残高は8百万円と言いながら、国外に対しては日本の財政は健全と二枚舌を使っていることは周知の事実です。しかし、財務省は日本の財政の健全な理由については何の説明もありません。

 「日本の財政は日銀との連結ベースで、資産と負債を相殺すれば、日本の債務残高は0兆円で全く問題なし」等というニュースはまったく報道されません。会計の知識があれば当たり前のことではないでしょうか。勿論、経済成長やインフレに合わせ、日銀の金融政策が適正になされることが前提ですが。

 

【完全失業率が構造失業率に近づく2018年には賃金上昇大!】

 構造失業率(完全雇用の状態の時の失業率)については、経済理論的には諸説ありますが、著者はこれを2%台の半ばとしています。『完全失業率(職を求めていても職がない状態)が構造失業率に達してから半年から1年くらいの間に賃金は明確に上がりだす』という見込みは経済的・統計的に正しい理論と著者は語ります。2017年6月に発表された完全失業率は2.8%であり、2018年には完全失業率が構造失業率に達することはほぼ確実と著者は語ります。

 つまり2018年には賃金の上昇がはっきりしてくると著者は見ています。そうするとどうなるのでしょうか。著者は、経済理論的に、この時点からインフレが始まると見ます。そして日銀の目標インフレ率2%が意味を持ってくるのです。ここからがまさに日銀の腕の見せ所となるところです。つまり適切なインフレ率の中で、適切な経済成長を実現していくという目標に向かって、日銀の新たな動きが出てくるのです。

 国民全体に適切な所得が行き渡る時代、そんな時代の再来が期待できる時代がすぐそこまでやって来ているのではないでしょうか。

 

■         2018年は「世の中を正しく見る目」で経営のレベルを上げよう(むすび)

 経営に係る皆様は、新年の2018年はどの様な年にしたいですか。私はこの様な年になるだろうと期待しています。それは、様々な“フェイクニュース”に惑わされた悲観論にエネルギーを費やすことを止め、ICTをはじめとした新たなテクノロジーを用い、「新たな価値を生みだす創造性豊かな商品・サービスの開発・商品化」、加えて、「生産性向上に資する「仕事の流れ」の創出」に経営の視点を向ける節目の年と考えます。

 「世の中を正しく見る目」を常に養いながら、経営のレベルの革命的向上を計る年にしたいものですね。

【酒井 闊プロフィール】

  10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

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【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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2017年11月28日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 現場から見上げる企業戦略論

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 現場から見上げる企業戦略論



 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。


■      今日のおすすめ

現場から見上げる企業戦略論』(藤本隆宏著 角川新書)



■      “現場の強さ”を認識した「企業戦略」を実現する経営が必要(はじめに)

 紹介本の著者は、日本は勿論アメリカ、ドイツをはじめとする欧州、中国、東南アジアなど、世界を股にかけて活躍する経営学者です。しかも、製造現場を中心に、世界の現場を観察し、経営理論を背景に、現在の日本企業の状況を、過去の長期の産業史の考察から捉え、近い将来の日本企業のあるべき方向について提言しています。 

 著者は、第二次世界大戦後の産業史を考察し、『冷戦期の東西分断、「プラザ合意」に端を発する円高、ポスト冷戦期における中国をはじめとした低賃金国の出現、日本のバブル崩壊の後の「失われた20年」などの時代を通じ、厳しい状況にさらされながら、現場は「苦闘」し、地道な改善を進め、結果として高い生産性、迅速性、柔軟性、品質を養って来た』と日本の産業における現場の強さを強調します。

 著者は加えて、利益確保、顧客満足、雇用確保の「三方よし」を目標とし、それを特徴にする良い経営者は、「現場指向企業」を目指し、「裏の競争力」(現場の能力構築競争)を長期的な「表の競争力」(価格競争力など)に繋げ、企業の成長を図ると主張します。つまり、良い経営者は「現場の流れ図」と「世界情勢の潮目から判断する企業戦略」が同時に頭に入っていると言います。

 著者は、さらに複雑化する“ややこしい”世界において、強い本社と強い現場の連携が不可欠と強調します。

 次項において、著者の具体的提言や参考になる産業分析をご紹介します。

■      近い将来の戦略策定のために客観的に認識したい「日本の産業の現況」

【初めて知る産業分析-Ⅰ「設計思想における『インテグラル型』と『モジュラー型』」】

 著者は、重さのある世界とない世界、情報空間(サイバー)と現場現物空間(フィジカル)、ICT層とFA(生産工程の自動化)層、これらをバランスよく繋ぎ、全体最適と全体進化を図るのが、21世紀の現代企業に求められる「デジタルものづくり」のあるべき姿であると主張します。

 あるべき姿を考える時に役立つのが、アーキテクチャ(設計思想)という考え方です。製品や生産設備などの人工物にはそれぞれのアーキテクチャがあり、それは①機能要素と構造要素(部品など)の関係が複雑に絡み合った「インテグラル(擦り合わせ)型」と②機能と構造が一対一対応でシンプルに対応する「モジュラー(組み合わせ)型」とがあり、人工物のアーキテクチャはこの2つの型の間のスペクトル(配列)のどこかに位置づけられます。

 モジュラー型の場合、機能・構造の一対一対応の結果、機能完結的な部品が多いので、これらを業界標準のインターフェース(結合部分)でつなげば、企業の垣根を超えた部品の組み合わせが可能になります。この場合を「オープン・モジュラー型」「オープン・アーキテクチャ」と言います。

 逆に、部品の擦り合わせや組み合わせの可能性が一企業内で閉じている場合を「クローズド・アーキテクチャー」と呼びます。「インテグラル型」はその一種です。

 現場の調整力やチームワークにおいて他国に勝る日本の優良な生産・開発現場は、インテグラル型で、過去に貿易摩擦を起こすほどに輸出競争力を維持しています。

 かつてのアナログ・ブラウン管テレビはインテグラル型として輸出競争力を有していましたが、デジタル化したテレビは高度な擦り合わせを必要としないモジュラー型に変化したため、日本の企業は競争力を失ってしまったのです。

 「インテグラル型」と「モジュラー型」という概念は、企業競争力・輸出力を考えるうえで、重要な概念です。

【初めて知る産業分析-Ⅱ「デジタル化を捉えるための三層アナロジー(類比)」】


 著者は、本社の戦略力が弱い日本企業は、オープン型での戦いを苦手にしており、アップル、アマゾンと言った「プラットフォーム盟主企業」になるのは難しいと言います。それではこのデジタル化時代に、日本企業はどこで戦ったらよいのかを考えるのに必要な概念が、「デジタル化を捉えるための三層アナロジー(類比)」です。

 著者は、モノづくりやサービスの世界における「デジタル化」を三層のアナロジーで捉えます。①「上空」のICT層(情報通信技術)②「地上」のFA層(現場)③ ①と②をつなぐ「低空」のICT-FAインターフェース層の三つです。

 「上空」のICT層は、今から「盟主企業」になるのは、難しい層です。

 「地上」のFA層は、現場力や技術力をコツコツ地道に積み重ねてきた日本やドイツが強みを持っている層で、世界的視野に基づく「グローバル能力構築競争」において、進化していく事で、引き続き存在感を示せる層と言えます。

 「低空」のICT-FAインターフェース層こそが、世界規模の主導権争いになる層です。著者は、日本企業に向けて、『それなりの蓄えは持っているのだから、アジアの国々を結ぶネットワーク標準作りで、日本の実力企業群が連携し、日本としてのグローバルな存在感を保ち、その上で欧米と連携・接続し、結果としていわば日米独主導で「低空」層におけるいわば「天下三部の計」(中国の三国時代の皇帝劉備に孔明が説いた戦略)に持ち込めれば上々だろう』と言います。つまり、まだ始まったばかりで、先は明確になっていないが、IBM(米)やシーメンス(独)が先行しており、日本もその一角に入らなければ、「低空」の制空権を失うと警告しているのです。

 三つの層の考え方は、「インダストリー4.0」(第4次産業革命)を正しく、実戦的に捉えるために重要な概念です。

【「グローバル能力構築競争」に勝つことが日本の勝機】

 著者は、全ての戦略にとって必要なことは、『「強い現場」と「強い本社」の連携』と再三主張します。さらに、『企業規模の大小にかかわらず、良い現場には「固有技術」とそれを市場につなぐ「ものづくりの流れの技術」があるが、競争がグローバルになる「グローバル能力構築競争」の時代には、この二つを高度に両立させなければその現場と企業は安泰ではない。特に「固有技術」に自信のある中小企業の場合は、それに安住せず、「良い設計の良い流れ」によって、顧客と結びつく「ものづくり能力構築」を進める必要が有ろう』と主張します。『「グローバル能力構築競争」が日本の勝機』はその通りです。詳しくは紹介本をお読みください。

【正しく理解したい「インダストリー4.0」】

 著者は、「インダストリー4.0」というよりは「インダストリー3.5」と言いたいと主張します。また、「IOT」ではなく「IfT」(Information from Things)と考えると主張し、「現場のモノから情報をとれ」が重要で、それを何処に流すか、どこに繋ぐかは現場判断、経営判断でインテリジェント化した「低空」層で行うことだと主張します。そこには、何か非連続のことが起こっている(革命)のではなく、今までの延長線の上に有るのだということを強調したいのだと思います。


 更に著者は、アメリカの「上空」企業に「地上」の優良企業が直接コントロールされないよう、「低空」の制空権の一角を占める(「天下三分の計」)ことが大切と主張します。このことも、詳しくは紹介本をお読みください。


■      近い将来、明るい日本経済を手にするためには(むすび)

 著者は、最後にこのように結びます。『今の日本の「良い現場」はポスト冷戦期(低賃金国の参入)に比べれば、悪材料が減っており、実際にその多くが徐々に浮上しつつある。これらの流れが長期の趨勢となり、製造業でも、非製造業でも「良い現場」「明るい現場」が増え、更に「強い現場」と「強い本社」の連携が成立すれば、2020年代に向けて、我々が今より明るい日本経済を手にする可能性は、決して小さくない。』

【酒井 闊プロフィール】

  10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/


【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。


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2017年10月24日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】トム・ピーターズを読む

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】トム・ピーターズを読む


 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。



■      今日のおすすめ

『「経営革命」〔上〕〔下〕〈Thriving On Chaos Handbook For A Management Revolution〉』


(トム・ピーターズ著 平野勇夫訳 野中侑次郎解説 TBSブリタニカ)



■      トム・ピーターズは何をした人?(はじめに)

 英国エコノミスト誌が、ドラッカー(故人)と共に「現代世界の思想的リーダー」として挙げている、トム・ピーターズとは何をした人でしょう。先ずは、何といっても「マッキンゼーの『7つのS』」を生み出したことでしょう。また、ボブ・ウォータマンと共著で、20世紀ビジネス出版界の大ヒットである「エクセレントカンパニー」を発表したことでも知られています。トム・ピーターズは主張します。『「エクセレントカンパニー」で導き出した8つの教訓(①行動の重視②顧客に密着する③自主性と起業家精神④人を通じての生産性向上⑤実践的価値観に基づく行動⑥基軸から離れない⑦単純な組織、少数精鋭⑧硬軟両面を持つ)は依然有効である。彼が引用した「エクセレントカンパニー」の幾つかが凋落したのは、教訓に従わなかっただけなのだ』と。


 今回の紹介本「経営革命」は、「エクセレントカンパニー」「エクセレントリーダー」に続く三作目で、彼の“三部作の集大成”と言える著書です。


 「世界を変えたビジネス思想家」(編訳 ダイヤモンド社)の中では、ドラッカーを“マネジメントの父”と表現し、トム・ピーターズを“マネジメントの教祖”と表現している事にも興味を覚えました。


 それでは本題に入りましょう。紹介本「経営革命」の原題は「Thriving on Chaos Handbook For A Management Revolution」で、著者は“カオスを当然のものとして受止め、「カオスに栄える」すべを学ぶ”としています。本書は「カオスに栄える」ために、“いついつまでに○○せよ”という命令形の「45項目の処方」として纏め上げています。企業経営の要諦を5つの領域(①顧客に対する対応に執念を燃やす。②企業のあらゆる分野でイノベーションを継続すること。③組織に繋がる全員を、企業活動に参画させ、利益を分かち合うこと。④変化を愛し、人々を奮い立たせるビジョンを行き渡らせ、それを共有するリーダーシップを打ち立てる。⑤今日の環境にふさわしい“まともなこと”を判断する簡素な支援システム(仕組み)を設け、それを活用して経営を管理すること。)に纏め、①~④領域は各10項目、⑤領域は5項目、トータル45項目の処方を提示しています。著者は、この45項目の相互関係を良く理解し、その上で、どの処方から「革命」の手を付けるかを決める『経営管理のハンドブックとして役立ててほしい』と言います。「革命」という言葉を著者が敢えて使うのは、「具体的好事例」に基づき、「既成観念」を捨て、「新たな企業経営の原則・基本」の実践を提言していることです。本書は1989年に初版が発行されました。いわば古典と言ってもいいかもしれません。その古典から、何を読み取るべきかを、次項で見てみたいと思います。


■      古典と言ってもよい「経営革命」の“処方”は今も生きている

 「経営革命」は、1987年、東証一部上場企業の時価総額が、ニューヨーク証券取引所の時価総額を抜いて、世界一となった時代に、著者がアメリカの企業に向けて、勢いのある日本企業も競争相手の一つに含め、競争相手に勝つための戦略を書いたものです。著者は、「国際性を志向せよ-処方5-」の中で、「世界で勝つためには、まず日本市場で成功せよ」と言い、日本市場で「経営革命」をして成功したアメリカ企業を紹介しています。日本市場で成功した企業は、自国を含めた世界の持続的成長企業になっているのです。


 しかしモデルの日本は、成功の上に胡坐をかいてしまったのでしょうか。今は、当時のアメリカと日本の立ち位置が逆転しているように思えます。特にアメリカの世界の先端を行くデジタル技術により、立ち位置の差は更に大きくなっていると言えるかもしれません。30年前のアメリカ企業に向けて発信した“処方”が、勿論現在のアメリカ企業に向けても生きていますが、追いかける立場になった日本企業の企業経営論として有用であり、今も生きていると思います。


 ページの関係もあり多くは紹介しませんが、これからの第4次産業革命時代にこそ必要な、大切な企業経営管理の提言と思われる一部をご紹介します。


【専門化してニッチ市場を創出し製品を差別化せよ-処方1-】


 これは「競争戦略ポジショニング(ポーターの3つの基本戦略)」と同じこと表題にしています。しかし違いは、具体的成功事例を多く挙げ、そこから成功するための「革命」的な新たな企業経営戦略の実践の提言に多くのページを割いていることでしょう。“-処方1-”は“処方45”の一部ですが、本書には、この様な、「革命」的な企業経営の原則・基本が多く書かれています。時代・企業環境が変わっても大切にすべき原則・基本は、まさに「ハンドブック」として座右に置いておきたいですね。


【掛け値なしの誠実さを求めよ-処方45-】


 著者は“誠実さ”を当たり前のことと言い、最後を締めくくります。「専門化してニッチ市場を創出し製品を差別化せよ-処方1-」の目標を実現するものが、「現場の尊重・重視」と、それとセットになった「トップの“現場を巻き込んだ”独創的、自己革新的な『ビジョン』と『全員の情熱的行動』」が必要と“処方2~44”で主張します。


 それらを機能させるために、下請け、顧客を含めた全体の相互的“信頼・誠実さ”を生み出す必要がある。その“信頼・誠実さ”がお互いをWIN-WINの関係にし、成功企業に導くと主張します。


■      今こそ「経営革命(Thriving on Chaos-カオスの中で成長する‐)」(むすび)

 繰り返しになりますが、第4次産業革命と叫(さけ)ばれている時代に、新しいデジタル革命や、新しい企業環境に目を奪われてしまい、企業経営管理の原則・基本から目が離れがちです。


 今まで築き上げて来た「企業価値」を守り、更に高めていく事と並行して、新しい企業環境(デジタル革命など)に対応する必要があるのではないでしょうか。


 そのような想いで「経営革命」をご紹介させていただきました。紹介本には「革命」の題にふさわしく、“これは是非やってみよう”というものもあれば、“ここまでやるか!”というものもありますが、飽くまでも“ヒント”としてそれぞれの企業に“相応しい形・レベル”で取り入れていくことで、有効に活用できると思います。


 


【酒井 闊プロフィール

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


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2017年09月26日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】改正民法3年内施行 準備は

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】改正民法3年内施行 準備は



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■      今日のおすすめ


 『3時間でわかる!「民法改正」』(熊谷則一著 日本経済新聞出版社)



■      民法債権法分野の改正は明治29年制定以来120年ぶり。準備は(はじめに)


 民法の債権法(契約法)分野は、いずれの企業にとっても、関係の深い分野です。2017年5月に国会で成立し、6月2日に交付されました。施行は2020年の1月~4月が有力視されています。


 施行までには2年6か月位有りますが、とにかく広範囲の改正ですので、企業法務で使用する契約書式一覧を見直す必要があるでしょう。政令により、施行令と共に「経過措置」が規定され、「新法施行前に発生した債権に関する規定は、旧法による」とされますので、施行後暫くは、新旧双方に目配りをする必要があります。


 改正はどの位広範囲か、改正領域項目(有斐閣方式による)を羅列してみましょう。【(民法)総則】については、①心理留保②錯誤③代理権の濫用④消滅時効、【債権総則】については、①法定利率②履行の強制③債務不履行による損害賠償④債権者代位⑤詐害行為取消し請求⑥多数当事者⑦債権の譲渡⑧債務引受⑨相殺、【債権各論】については、①危険負担②契約の解除③売買④消費貸借⑤賃貸借⑥請負です。如何に広範囲に亘って改正がなされるかお分り頂けると思います。


 これらの改正は、次の三つの観点から改正されました。一つは「考え方の一本化」(消滅時効の改正など)。二つ目は「原則や通説の明文化」(「瑕疵担保責任」が、法定責任説ではなく契約責任説が採用され「契約不適合責任」に変わる等)。三つめは「ルール(規律)の現代化」(法定利率の決め方など)です。


 それでは重要な、あるいは企業業務に関係の深い改正項目を、次項でご紹介します。



■      押さえておきたい「民法改正」のポイント


【債権の消滅時効における原則】


 現民法は、消滅時効は「権利を行使することが出来る時」という客観的な算定点から「10年」という時効期間を定めています。しかし、債権者の現実的権利行使の機会を確保するという観点からは、「債権者が権利を行使することができることを知った時」という主観的な起算点から消滅時効が進行すべきと考えられ、主観的起算点から「5年」という消滅時効が加えられました。加えて、職業別の短期消滅時効に合理性はないとして、工事代金・医師の債権(3年)、商品の売掛金・弁護士の債権(2年)の規定は削除されました(商事消滅時効〈5年〉も削除されました)。生命身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効は10年⇒20年に、不法行為による主観的起算点からの消滅時効は3年⇒5年に変更されました。


【法定利率の引き下げ】


 法定利率は、契約で利率が定められていない場合や損害遅延金などに適用される利率ですが、これまでは年5%と定められていましたが、3%に引き下げられることに加え、ここをスタートにし3年毎に、政令による「基準割合(直前基準割合と当期基準割合の差額(1%未満切り捨て)」で計算された変動幅で変動することになりました。(なお商事法定利率〈商法〉6%の規定は削除されました。)


【事業資金の個人保証における保証意思の確認―公正証書の作成が原則―】


 改正法では、事業資金の個人保証に関し、取締役等の役員・大株主などを除く個人の保証人を保護する規定を創設しました。事業資金の借り入れの保証人となるためには事前に公正証書が作成されていなければ、保証契約の効力が生じないとしています。  また、主債務者に対し、保証人に対する財産及び収支の状況などの情報提供義務を課しています。


【定型約款(インターネット取引など)に関する規定の創設】


 企業が多数の消費者と取引を行う場合、定型約款が使用されることが多いですが、今までは、定型約款に関する規定が有りませんでした。そこで「定型約款に合意した者、定型約款が表示されている場合は合意があったとみなされるが、定款約款の条項の中に、相手の権利を制限し、又は義務を加重する条項で、信義則に反し相手方の利益を一方的に害すると認められるものは、合意しなかったものとみなされる」との原則規定が創設されました。この他「定型約款の開示義務」「定型約款の変更」などについても新たな規定が設けられました。


【「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に変わる】


 『売買の目的物に「隠れた瑕疵(契約の時には見えなかった期待された品質の欠如)」があれば買主は売主に瑕疵担保責任を追及できる』というのが現行法です。現行法に基づき、買主は売主に損害賠償請求、契約解除(代金返還)の二つの方法が認められていました。


 改正法では、「瑕疵担保責任(期待された品質の欠如の責任)」を「契約不適合責任(種類、品質、数量に関して契約の内容に適合しないものに対する責任)」と定義を変えました。これは契約の対象範囲を、現行法の「特定物」という硬直的な考えから、「幅の広い、多様性のある契約対象物」という考え方に変えたのです。


 この結果、改正法では、買主の売主に対する責任補完請求を、上記二つの方法に加え、履行追完請求、代金減額請求という二つの方法を新たに加えたのです。


【寄託契約は、「要物契約」から「諾成契約」に変わる】


 寄託契約の典型例は倉庫業です。倉庫業では、倉庫に預ける品物の保管を倉庫業者が行うケースと、倉庫業者は場所を貸して、保管物は所有者自身が行うケースが有ります。寄託契約が該当するのは前者のケースです。


 寄託契約は現行法では「要物契約」、すなわち、受寄者(倉庫業者など)が寄託物(保管物)を受け取ることによって契約が成立するという考えに立っていました。改正法では、寄託契約を「要物契約」ではなく「諾成契約(契約が、モノの移動が無くても契約した時点で成立する)」としたのです。この結果、改正法では、モノの移動がない間の、寄託者及び受寄者双方に、正当な権利の主張・請求を認めたのです(詳細は紹介本をお読みください)。つまり、経済活動の多様化に応じ、法律面での対応をしたのです。


【その他の改正】


 その他多くの改正が有ります。最終的には、法務省のH・Pの新旧対照条文で確認するのが良いでしょう(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00175.html)。「敷金」の明文化や「敷金返還義務の原則化」、「賃貸借関係」についての変更など「エッ」と思うような変更があります。



■      「民法改正」を機に自社の法務体制を検証しよう(むすび)


 「企業法務」は、どうでしょう、貴社での注力度は上から何番目ですか。本業に対する注力度と大きく離れておられたら、これを機に、本業の注力度と同レベルまで高めてはいかがでしょうか。


 何故なら、本業は「業法(事業に関連する法規)」に基づいている場合が殆どです。先ずは、そこから始めませんと、本業に大きな痛手を受けるケースが出てきます。


 繰り返しになりますが、改正民法への対応準備を機に、貴社の「企業法務体制」を検証し、必要ならば見直しをしてみてはいかがでしょうか。



【酒井 闊プロフィール】


 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。


  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

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【 注 】


 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。


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2017年08月22日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日本の未来を明るく出来る

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日本の未来を明るく出来る



 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

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■      今日のおすすめ


 『財務省と大新聞が隠す「本当は世界一の日本経済」』


(上念 司著 講談社α新書)


■      悲観論で覆われた彼方には「明るい未来を示す真実」が存在する(はじめに)


 最初に著者は、読者に投げ掛けます。『省益に反するという理由で真実を隠す「財務省」、専門的分析力のある人材に欠け、「記者クラブ」で配布される紙を適当に編集し記事にする「大新聞」を信用せずに、改めて日本の問題点の「メタ(meta=一般的情報の背後にある、決断の根拠にできる事実情報)」を探求し、そこにある真実は何かを判断し、日本の将来を見通してみよう』と。


 そこに、「一般的に報道されている問題だらけの日本ではなく、引き続きGDP世界第二位を堅持する明るい日本に出来る真実を見出せる」と著者は言います。


 そのように主張する著者の論拠は、統計的分析、グローバルな経済学説に基づく分析にあり、信頼性の高い指摘と、私は思料し、皆様にご紹介する次第です。


 前置きはこのぐらいにして、著者が主張する、『「日本の明るい未来」を明かす真実』を少しでも多く次項でご紹介します。残念ながらページ数の関係から、一部のご紹介しかできません。又その根拠についても十分なご紹介が出来ません。詳細は是非本書を手に取り、私達の常識が、如何に偏見に満ちたものであるかを、ご納得頂けたら幸いです。


■      隠されている真実の覆いを剝がしてみよう


【日本国の財政の嘘(真実は「実質的な借金は100兆円」)】


 著者は言います。『国の財政を貸借対照表(複式簿記)で見てみましょう。この貸借対照表は2年度遅れでこっそり公表されます。平成27年3月末現在で負債総額が1171兆円、資産総額は679兆円。すると、純粋な国の債務は492兆円です。次に重大なことが隠されています。それは日銀の同期末での純資産が290兆円です(計算方法は紹介本を見てください)。これを国の純債務492兆円から引くと残りは202兆円です(日銀は政府の子会社と言えるので連結決算的に処理)。金融緩和策の継続による名目成長率(実質成長率+物価上昇率)の増加によりプライマリーバランス達成で、債務が減少することを考慮すれば、「実質的な借金は100兆円」』と。


 日本人なら誰でも知っている「日本政府はGDPの二倍の借金を抱えており、その金額は約1000兆円、これを国民一人当たりにすると約830万円になる」と、敢えて実態より悪く見せるのは何故か。「その方が財務官僚は権限をひけらかせるし、将来の天下り先も確保できるからね」との匿名のキャリア財務官僚の発言を著者は引用しています。


【5年で100兆円も増加した対外純資産(「世界最強の金貸し」日本)】


 日本の対外純資産(総資産-総負債)は、世界No1です。残高の多い順にベスト・セブンを挙げますと、日本:366、中国:214、ドイツ:154、スイス:99、香港:99、ロシア:40、カナダ:15(2014年12月現在。単位:兆円。)となります。しかも日本は、2009年末には268兆円でしたから、5年で約100兆円増加しています。


 真実の財政状態と合わせ、日本が強固な財政基盤の上に立っている証左であると、著者は言います。


【中国GDPの嘘を示す五つの要因(「真実のGDP世界第二位」は日本)】


 著者は、高橋洋一氏の説を引用し、中国の統計が信用できない5つの理由をあげます。①経済の規模が大きいわりに変動が少ない。②国家統計局と各省・各市の経済統計データが一致していない。③経済成長率8%と発表された年に電力消費が10%落ち込んでいる。④リーマンショックが発生しても失業率はほぼ一定。⑤輸入が10%減っているのに経済成長率が7%近くもある。


 その他著者は、「数字の辻褄が合わない(何か一つの数字を粉飾したために起こる現象)。統計の確報値の出るのが締め日から3週間と異常な速さである(創られた数字を窺わせる)。中国の統計は旧ソ連時代の「技術」によって作られていることから旧ソ連が統計の粉飾によりGDPの規模を二倍に膨らませていた史実を連想させられる。中国歴史上での様々な捏造の事実がある。」などを挙げ、「GDPについても、いまだに日本が世界第二位である可能性が非常に高いのです」と言います。


【「少子高齢化が進む日本は成長できない」は噓】


 著者は、最新のデータを使ってOECD加盟国の出生率と名目成長率をグラフに落とし、相関関数を計算し、0.41と低い数字の結果を得て、出生率と名目成長率の相関は弱いとします。又、少子高齢化が進むOECD加盟国35か国中、約半数の16か国が平均4%の名目成長率を達成していることを挙げ、キャリア官僚たちが政策の失敗を「少子高齢化」にすることを戒めています。


【高齢者医療費を大きく削減した財政破綻の夕張市の奇跡】


 夕張市は2007年財政再建団体に指定されたことはご承知の通りです。同年、公営の総合病院は、17床の診療所になりました。止むを得ない選択として、病院医療から在宅医療へと変換していきます。その結果何が起きたかというと、高齢者の健康状態が改善され、病気が減り、寿命が延び、死因のトップが「老衰」となり、大幅な医療費の削減が実現したとのことです。


 『夕張市の事例などをしっかりと勉強して「まずは私たちの思い込みを無くす事から全てが始まると思います」「日本の未来は決して暗くありません」』と著者は述懐します。


【明るい未来を示すその他の真実】


 他にも色々と「私たちの思い込みを無くす真実」を著者が明かします。詳しくは紹介本をお読みください。


■      明るい未来に向けた企業経営(むすび)


 紹介本を読んで、久々に日本の将来に明るさを見出しました。紹介本のように正しい事実が、世の常識となって行き、日本の政治・経済の世界で改革が進み、日本の潜在能力が発揮され、それが名目・実質成長率の伸びにつながっていく事を期待します。


 明るい日本の未来を、企業経営において取り込むには何をしたらよいでしょう。


 著者が指摘するように「思い込みを無くし」「初心に立ち返り」見直しを行い、「経営再構築」をするいいチャンスかもしれません。


【酒井 闊プロフィール】


 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。


  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/


【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。


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2017年06月20日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】米国人の見る中・韓・日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】米国人の見る中・韓・日

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

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■      今日のおすすめ

 『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』

(ケント・ギルバード著 講談社α新書)

 

■      「日本人よ目を覚ませ」と著者は言う(はじめに)

 著者は紹介本を通して『物事に対する考え方や捉え方が、日本人と中国人、そして韓国人とでは、根本から、正反対と言っていいほど違う。その違いの根源は「儒教」にある。特に最近の外交問題を見ると、「特亜三国(中国、韓国に北朝鮮が入る)」の非常識ぶりは際立っている。その源泉は「儒教」に由来する』と主張します。

 私たち日本人は、この著者の主張を読んで“エッ、それって本当”と思われる人が多いのではないでしょうか。

 「儒教」という言葉に対して、多くの日本人が持つイメージは「論語」「仁・義・礼・智・信」に代表される道徳的思想です。著者は『日本人は、儒教の良いところを取り入れ、仏教、神道と融合させ、最後は武士道という倫理・道徳規範として確立した』と説明します。更に、『その根底にあるのは「和」と「思いやり(利他の精神)」である』と説明します。

 これに対し、『中国で生き残った「儒教」からは「仁・義・礼・智・信」が抜け落ちてしまった。これには、もはや偽善的な意味しか残っていない。中国では(歴史的に)、皇帝などを筆頭とする支配者層から見た場合、庶民は単に管理する対象でしかない。朝鮮(韓国・北朝鮮を指す)に至っては、「両班制度(“やんぱん”と訓む。14世紀の朝鮮王朝〈李朝〉時代に確立した[社会的支配階層制度]で現在も朝鮮〈韓国・北朝鮮〉の人々の意識に残っている)」から見てもわかるように、庶民とは搾取する対象でしかない。』と著者は、「特亜三国」の根底にある「儒教」文化を説明しています。

 『この「儒教」文化が「中華思想」となり、漢民族、朝鮮民族に受け入れられた』と著者は付け加えます。『「中華思想」を維持する漢民族は、自分たちを周辺国より絶対的上位にあると位置付ける、選民思想を患わっている民族である』とし、『朝鮮民族は、中国にすり寄ることで、他の周辺国に対し、ナンバー2の優位性を保ち、自らを「小中華」と称し、上位にある世界の中心に座す中国には媚び、距離的に下位にある日本などに対しては、一方的な優越感を持ち、高圧的な姿勢を取るようになっている』と著者は更に付け加えます。

 その上で、日本人に対し、『GHQによる日本人洗脳工作「WGIP(War Girt Information Program )」によって刷り込まれている「愛国心は悪」「平和ボケ」から目覚め、国際法などに照らし合せ、当然やるべきことを遂行・主張すべき』と著者は投げ掛けています。

 著者は紹介本の中で、「特亜三国」の非常識な政治・外交問題を指摘しています。その中から幾つかを次項で採り上げてみたいと思います。

■      多くの日本人が知らない中・韓・北朝鮮の事実

【人民解放軍とナチス】

 著者は言います。『「中華思想」をメンタリティの中心に据えている中国人は世界の常識とかけ離れた行動をとります。20世紀には民族主義の高まりから、多くの植民地が独立を果たしました。しかし中国は世界の潮流とは全く逆の動きをします。チベットは、もともと独立国でした。1949年に中華人民共和国が成立すると、1951年には中国共産党の軍隊である人民解放軍による軍事侵攻を受けて制圧されます。様々な人権侵害を経て、1959年には君主であるダライ・ラマ十四世はインドに亡命、チベットは完全に中国の支配下に置かれたのです。かつて東トルキスタンと呼ばれていたイスラム教徒の国も、人民解放軍の軍事侵攻を受けて、今では新疆ウィグル自治区と呼ばれるようになりました。内モンゴル自治区も同様に制圧されました。これらの地域で数多くのチベット人やウィグル人、モンゴル人が虐殺され、ナチスがユダヤ人に行ったような迫害を現在も受け続けているという事実は、中国国内の問題だとして、日本のメディアはほとんど伝えません。』

【GDPの30%に及ぶ賄賂の背景】

 著者は言います。『道徳心や高い倫理観を失った中国人は、自らの利益のためなら法を犯すことさえ厭いません。彼らは、息をするように嘘をつきますが、そこに罪悪感は微塵もありません。「騙す方より騙される方が悪い」と考えているからです。また、「公」よりも「私」を優先するので、国家への忠誠心もありません。その結果、中国の官僚の腐敗ぶりは、酷いものです。大和総研が発表したデータによると、2008年に中国全体で受け渡しされた賄賂の合計は116兆円近くに上ると。なんと中国のGDPの30%を占めたのです。』

【日本のODAに感謝しない理由】

 著者は言います。『「中華思想」は、対外的に強烈な優越意識を持つことで支えられていますが、数千年に及ぶ長い歴史で積み上げられたこの過剰な自意識は、一朝一夕には改まらないようです。例えば、中国には、日本からの多額の援助金が渡っています。政府開発援助(ODA)だけでも、1979年以降、3兆円以上に上っています。一般的に、海外からの援助によりインフラが完成すると、援助してくれた外国に対して感謝の意を示すものです。これは当然のことでしょう。インフラにその国への謝意を示したプレートが飾られたリ、インフラの完成式典には援助国の代表を招き、スピーチをしてもらうのが慣例です。しかし、儒教的な考えで厳しい序列を定め、中華思想、小中華思想に染まった国家には、そのような常識が欠如しているようです。それこそ、日本からの援助は、「朝貢」だとでも見ているのではないでしょうか。』

【その他の非常識な政治・外交問題】

 上述の他「オレ様主義と沖縄」「国境という意識のない中国人の愚」「(中国外交部)2050年マップ」「公害大国を生んだ中国人の発想」「キリストも孔子も韓国人」など、“エッと驚く”記事が掲載されています。詳しくは紹介本をお読みください。

■      彼を知り己を知れば、百戦して殆(あやう)からず(むすび)

 紹介本は「特亜三国」の非常識さ、日本の「対応の甘さ」を数多く指摘しています。この様な事は、政治の舞台だけではありません。企業経営、すなわち海外進出、海外契約、外国人雇用などの場面で、「特亜三国」に限らず、外国企業、外国人と関係を持つ機会が多くあります。そのような機会に直面した時、著者のような指摘を明確にする日本人は少ないでしょうから、紹介本の指摘から多くの「メタ(meta=一般的情報の背後にある、決断の根拠にできる事実情報)」を把握すると同時に、自身(自社)の強み・弱みも的確にとらえ、対応していくことが大切と思います。「彼を知り己を知れば、百戦殆からず(孫子 謀攻篇)」です。

 同時に、『小異を残して大同につく(一般的には「小異を捨てて大同につく」)』の格言ではありませんが、お互いが「共通のアイデンティティー(ビジョン)」を共有し、それに向かって進んでいく前向きの姿勢も大切にしたいものです。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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2017年05月23日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】「木を見て森も」見る 企業の成長戦略が10時間でわかる本

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】「木を見て森も」見る 企業の成長戦略が10時間でわかる本



 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。


 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。



■      今日のおすすめ


 『企業の成長戦略が10時間でわかる本』(木嶋 豊著 あさ出版)



■      知識は知っているだけではなく、実戦で使える知見まで高めよう。(はじめに)


 紹介本は、経営書には珍しく「企業の誕生(起業)から成人(IPO)まで」の各ステップに於ける経営戦略を、知名度の高い「フレームワーク」を用いながら、知識に偏ることなく、図表を用いながら実戦的且つポイントをついて簡潔に説明しています。


 経営者やコンサルタントを目指す人にとっては、自身の実戦力を高める材料を提供してくれるでしょう。また、ベテラン経営者やベテランコンサルタントにとっては、自身のマネジメントを振り返る材料を提供してくれるでしょう。


 各々の皆さんが、「さらに詳しく」と考えられる部分は、さらに深く探求できるよう、各時間(「1時間が一章」で「10時間立て」となっている)の終わりのページに参考となる専門書が紹介されています。


 さらにこの紹介本の優れている点は、知名度の高い「フレームワーク」を実戦的に焼き直し、例示している点で、マネジメントに応用する時に参考にできる点です。それは、著者の豊富・多様な経験と実戦力によると思います。それでは、紹介本の中から、これは注目に値すると思われるいくつかを次項でご紹介します。


 


■      経営戦略の知見を活かせる領域を広めよう


【「バランス・スコア・カード」に拘らない、CSF、KGI、KPIの使い方】


 最近「KPIマネジメント」を使っている企業が多く見られます。本紹介本でも、KPI(Key Performance Indicator:業績指標)を使った部門オペレーション管理を行う例が紹介されています。そこでは、KPIを束ねる指標としてKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)を、KGIを束ねる指標としてCSF(Critical Success Factor:重要成功要因)を使っています。「バランス・スコア・カード」で一般的に使われる、KGI(戦略目標)⇒CSF(重要成功要因)⇒KPI(業績評価指標)とは一致していません。この様に既存のフレームワークを、実戦に合せ、応用的に使うやり方は、もちろん著者の経験に基づくものと思いますが、「目から鱗」のような新鮮さを感じました。


【資金調達を可能にする事業計画】


 事業計画の作成については多くの著書がありますが、本紹介本の説明は7ページにわたる図表で説明されており(「収支計画」「売上原価・経費計画」も含む)、目的はベンチャーキャピタル等からの資金調達のためのものですが、一冊の専門書以上に、実戦的に書かれています。


 特に、表題(参考になる表題名の例)、内容(どのような分析手法を使って作成するかも書かれている)、注意点(痒いところに届くような適切・簡明な要点が書かれている)、更にはページ数の目途まで書かれており、事業計画作成については極めて実戦的で、実務でも応用・活用できるものです。毎年の経営計画(予算管理)策定にも、応用したいですね。最初の年度は少し労力を要しますが、次年度からは軌道に乗り、経営改善の効果が明確になってくるでしょう。


【その他の「注目点」】


 上記以外にも、IPOについては、事前準備の段階から、費用も含め、体制作りなど、簡明に書かれており、一読に値します。IPOをしなくても、成人(IPO)企業と同等の信用を得るために、IPOの事前準備項目の何を取り入れたらよいか(コーポレートガバナンス、CSRなど)も理解できます。


 その他、「5S」、「ファイブフォース・分析」、「ブルーオーシャン戦略」、「キャズムとイノベーション理論」等についての実戦的図解や動態的図解は参考になります。詳しくは紹介本をお読みください。


 


■      経営については何時も「木と共に森」を見よう(むすび)


 紹介本は、経営戦略全般について、簡明且つ網羅的に書かれた著書と思います。経営者の皆さんにとって、コンサルタントにとって、自らの強みの分野についての、新たな視点を得るとともに、経営全般についても、「ここは注力しなければ」と視野を広げて見直す機会を与えてくれるのではないでしょうか。


 著書の表題は「・・・が10時間でわかる本」とありますが、このブログ・メルマガの読者の皆様の力をもってすれば、3~5時間で読了できます。楽しく読めて、実戦で使える本です。



【酒井 闊プロフィール】


 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


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2017年04月25日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】わかる「21世紀の資本」

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】わかる「21世紀の資本」



 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。


 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。



■      今日のおすすめ


 「図解『ピケティ入門』」(高橋 洋一著 あさ出版)



■      世界的名著『21世紀の資本』の核心が簡単に掴める解説書(はじめに)


 トマ・ピケティの『21世紀の資本』(邦訳=みすず書房)は、現在の世界経済の状況を“20か国、300年分ものデータ”によって科学的に分析した名著です。本国のフランスは勿論アメリカ、日本でもベストセラーになった名著です。『21世紀の資本』は、私達経営に係る者にとっては必読の書と言えます。


 必読と言われても、700ページを超える大著を読む余裕は無いし、でも「何とかして、名著『21世紀の資本』の核心は頭に入れておきたい」と思う人にピッタリの本が今日の紹介本です。


 紹介本のオリジナル本である『21世紀の資本』(邦訳=みすず書房)には、97枚の図と18枚の表が掲載されていますが、紹介本は、その20%弱の21枚の図で、核心に導く解説本です。数学的分析に強く、大蔵省理財局で活躍した著者ならではの解説本と思います。


 


■      結局のところピケティは何を言いたいのか


【ピケティの第一法則】


 第一の法則は、資本所得シェア(α)=資本収益率(r)×資本所得比率(β)です。資本所得シェア(α)から行きましょう。資本所得と労働所得の合計が国民総所得ですから、「資本所得+労働所得=国民総所得」です。資本所得シェア(α)は、国民総所得に占める資本所得の占有率です。国民所得の何%を資本所得が占めているかを示す指標です。資本収益率(r)は、資本所得/資本で表されます。解りやすく言うと利回りですね。資本所得比率(β)は、長期に亘る資本のストックが1年の国民総所得(資本所得+労働所得)の何倍かを比率で表します。ピケティは「国民資本=公的資本+民間資本」とし乍ら、公的資本は横這いであるとのデータを得て、民間資本に的を絞り理論展開をします。


 例えば、資本収益率が年5%で、資本所得比率が600%だとしたら、資本所得シェアαは30%になります。つまり国民所得の30%が労働による所得ではなく、所有する資本から得た所得ということになります。


 ピケティは、この第一法則は、『資本主義システムを分析するための三つの最重要概念の間にある、単純で明快な関係を表現したものだ』としています。


【ピケティの第二法則】


 第二の法則は、資本所得比率(β)=国民所得に占める貯蓄率(s)/GDP成長率(g)です。例えば年率12%の貯蓄率に対し、年率2%成長している国の資本所得率は長期的には600%(長期に亘りストックされた資本が、1年の国民総所得の6倍ということを示す)になるということです。つまり、より多く蓄え、よりゆっくり成長する国ほど、長期的には資本所得率は高くなるということです。この法則は、過去の長期間のデータから導かれた法則で、一定の状態(s/g)が長期間続くと(β)になるというものです。


【二つの法則の結果からピケティが言いたいこと】


 ピケティは、膨大なデータにより『r>g(資本収益率>GDP成長率)』(rが税前だと完全に成立。rが税引きだと一時的に成立しない時期がある。)という不等式を導き出し、それを歴史的事実としています。rは資本所得の伸び率、gを労働所得の伸び率を示す指標として使っています。つまり、世界的に、格差拡大は縮小することがないとの結論に至るのです。


 加えて、二つの法則から、成長率(g)が長期的に低下(現在の3.5%⇒21世紀末1.5%)し、貯蓄率(s)がほとんど変化しないことが統計的に算出される結果、資本所得比率(β)が大きくなり(21世紀末700%)、世界全体での資本所得と労働所得の格差拡大に拍車がかかるとしています。


 ピケティは、格差拡大を是正のため税制の活用を言いますが、これには様々な意見があることでしょう。


 


■      21世紀に生き残るには(むすび)


 ピケティが指摘した重要な点は、社会的格差が今のままでは、さらに大きく広がって行くことを、膨大なデータで示したことに有ります。


 このような現象に対し、世界は、政治においても、個々の企業においても適切な手を打っていくことを要求されます。事実パナマ文書で明らかになった、企業や個人の税逃れの動きを、世界レベルで防止しようといった動きも出ています。


 この様な21世紀に、企業が生き残っていくための経営はどうあるべきなのでしょう。一言でいうと「インテグリティ・マネジメント(Integrity Management)」つまり字の通り「誠実性・倫理性の高い経営」をすることに尽きると思います。


 つまり、個々の企業経営において、格差を無くそうとする新たな社会ルールには、高潔な姿勢でサポートする。また、個々の企業のステーク・ホルダーから『一番大切にしたい会社』と思われる倫理性の高い企業価値を創り出していく事ではないでしょうか。


 その様な経営をすることによって、個々の企業の持続的成長が維持されるのではないでしょうか。



【酒井 闊プロフィール】


 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


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2017年03月28日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日本人として知っておきたい『崩れる世界秩序』

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日本人として知っておきたい『崩れる世界秩序』



 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。


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■      今日のおすすめ


 『日本人として知っておきたい「世界激変」の行方』


(中西 輝政著 PHP新書)



■      湾岸戦争に始まった『アメリカ「一極体制」』崩壊の行き先(はじめに)


 2016年6月のイギリスのEU離脱、ロシアのクリミア併合に続くシリアにおける代理戦争、2010年のアラブの春以降の中東の混乱、世界各地で起こるイスラーム原理主義者のテロ事件、中国の南シナ海の領有権に対する強権的主張など、「世界の平和と安定」「自由」「人権」「法の支配」と言った普遍的理念に逆行する事件が多発し、将来への不安と不透明感が高まる中、普遍的理念を代表するアメリカの大統領に「アメリカ ファースト オンリー」を主張するトランプ氏が1月20日大統領に就任しました。


 アメリカ「一極体制」が崩壊する行先には、どのような世界があるのだろうと多くの人は将来の不確実性に頭を悩ませているのではないでしょうか。


 ところが、紹介本の著者中西輝政氏は、25年前からこの時代を予想し主張していたというのです。25年前の著者の主張は次の5つのトレンドでした。①中東情勢の不安定化によるテロの多発、②ロシアの民主化の失敗と強硬な反西側的存在になる、③中国経済が豊かになるほど軍事大国化し日本にとっての安全保障上の脅威となる、④アメリカの衰退と覇権国から徐々に遠ざかる、⑤ヨーロッパ統合の失敗、の5つでした。


 25年前から2015年位まで、大学でこの話を学生にすると、賢い学生程立ち上がって、教室から出ていったそうです。著者の主張が注目されるようになったのは、トランプ氏がアメリカの大統領選挙に勝利してからです。


 著者は主張します。『25年前の予想が全て当たったと、少しも自慢したくない。予想のような世界になってほしくないと、心底思っていた。しかし予想のようになることは「見えすぎるほど見えていた」』と言います。


 著者にとって「見えすぎるほど見えていた」のは、紹介本に書かれているように、第一次世界大戦後今日に至るまでの世界の歴史的事実を冷静に分析し、その先にあることを予測すれば、自ずと結論が出てきたことを指しているのだと思います。


 「見えすぎるほど見えていた」詳細は紹介本を読んでください。「目から鱗」のようにアメリカの一極体制崩壊後の世界が見えてきます。


 何か暗い気分になりがちな私たちに、著者は次のような希望を与えてくれます。 『今は、「安定した持続的世界秩序の定着」に向けたスタートだ』と。



■      「日本人として知っておきたい」こと


【「中露同盟」的接近を知らない日本人が多い】


 2016年6月ウズベキスタンの首都タシケントで開かれた、上海協力機構(SCO。中国、ロシア、ウズベキスタン、タジキスタン、カザフスタン、キルギスなどが加盟)の会議後、北京に場を移し、習・プーチン会談で「お互いの核心的利益を支持」を表明する「中露同盟」と評してよいほどの接近を見せ、「対米対抗関係」を強めた。この「同盟」ともいえる接近は、これからの世界秩序を大きく変える兆しと著者は見ています。


【トランプ大統領就任後イギリスのメイ首相と最初の首脳会談は当然】


 イギリスとアメリカの関係は従来から「血の同盟」と言われるほど緊密であり、第二次世界大戦にアメリカを引き入れたのもイギリスであり、種々の思惑の中で、アメリカ中心で運営するNATOもイギリス・アメリカが中心となって運営してきました。これからの世界秩序を考えた時、米・英の関係は世界秩序を作るうえで、大きな存在感を持つと著者は主張します。


【ドイツがロシアに接近する悪夢と中国と手を組む恐怖】


 ドイツとロシアは経済的関係で共通の利害を持ち、メルケルとプーチンは通訳なしで会話できる中であり、歴史的にも両国の関係は深い。今後のドイツとロシアの接近は、世界秩序の観点から注視する必要があると、著者は指摘します。ドイツと中国の関係も注視する必要があると著者は指摘します。「AIIB」「一帯一路」などで世界進出を狙う中国とドイツが手を組むことで、中国の思惑が現実味を帯びてくると著者は指摘します。 



■      「日本人よ目覚めよ」と著者は言う(むすび)


 「安定した世界秩序の定着」に向けてスタートした混迷の時期に、著者は日本人に向かって次の五つの点を主張します。


 『「一極として立つ」「大きな底流を早く見つける」「しっかり準備して、できるだけゆっくり行動する」「交渉事は常に粘り強く主張する」「大きなものが動くところでは、あるところで潮目を見て潔く譲歩する」』


 これは、日本の企業経営者と日本の政府に向かって言っていることです。私のブログを読んだだけでは、5つの主張の必要性が、分かりにくいと思います。紹介本を是非読み、理解してください。これからの世界と日本の先行きを読むうえで大いに参考になると思います。


 ところで、この3月1日、ユンケル欧州委員長が「EU再建に向けた白書」を公表しました。この白書には5項目のシナリオが示されていますが、その中の一つに紹介本が指摘していると同じことが示されています。それは、「EUは単一市場の完成だけを目指す」「その他はEU加盟各国の主権に任せる」というものです。これなら英国も飲めそうですね。


 いずれにしても大きな転換点に来ていることは間違いありません。


 


【酒井 闊プロフィール】


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2017年02月28日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日本の論点2017~18

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】日本の論点2017~18


本


 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。


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■   今日のおすすめ


 『日本の論点2017~18』(大前研一著 プレジデント社)



■     年初に当たりこれからの日本の論点を整理してみよう(はじめに)


 新しい年のスタートの時期に当たり、PESTに係る本をご紹介します。


 英国エコノミスト誌から、「現代世界の思想的リーダー」として、ドラッカー(故人)やトム・ピータースと共に名前が挙げられている大前研一が、プレジデント誌に連載している「日本のからくり」の過去1年分のストック及び特集記事から読者の反響の大きかった記事に、加筆修正して出版したのがこの紹介本です。



 トランプが大統領選を制した直前に出稿された本ではありますが、トランプが共和党候補として、民主党候補のクリントンと互角の選挙戦を戦っていたことから、そこにアメリカの右傾化、ポピュリストの台頭を見出し、併せて世界の右傾化を指摘している点は、先を読める大前研一ならではと思わせます。



 いずれにしても、2017年がどのような年になるのかを一言で表現するならば、「不確実性の年」と言えるのではないでしょうか。不確実性の時代を出来る限り正確に見通そうとするならば、いま世界で起こっていることの「メタ(一般的情報の背後にある、決断の根拠にできる事実情報)」を認識することです。


 その点で、本紹介本はピッタリと言えるでしょう。それは著者の豊富な経験と分析力によると思います。それでは、「日本の論点」の中から、これは注目に値すると思われるいくつかを次項でご紹介します。



■ 注目したい日本の論点


【巨大ビジネス創出!「アイドルエコノミー」】 


「アイドルエコノミー」のアイドルは「Idol」ではなく「Idle」即ち「働いていない」「使われていない」「空いている」を意味します。以下略。


【財政赤字の問題】
 著者は、アベノミクスの景気浮揚効果を阻んでいる一つの要因として、1300兆円の国家債務が国民の将来不安を生み、消費より貯蓄という行動を生んでいると指摘します。以下略。


【その他の「論点」】
 上記以外にも「イタリアの地方創生法」「蔡英文台湾と中台関係」「世界を席巻するポピュリスト旋風」等、大前研一流の知見と深い洞察力で書かれている「日本の論点」が多く掲載されています。詳しくは紹介本をお読みください。



■ 2017年は世界に向けて感性の高い情報アンテナを張ろう(むすび)


 著者は、読者に向けて、『ビジネスパーソンとして、「世界経済を自分の肌感覚でつかめる」ようになるには、NHKBS1の朝4時から7時までの「ワールドニュース」を見るだけで、1年後には相当力が付く』と勧めています。朝の苦手な人は録画しておけば時間の空いた時に見ることが出来ます。確かに海外放送局の放映をダイレクトに見ることは、国内ニュースでは得られない新たな情報が入ってきます。


 不確実性の時代に「メタ」を得ていく具体例として、「ワールドニュース」のお話を紹介しましたが、感性の高いアンテナを張りめぐらし、そこから得た情報を生かしながら、企業経営に係るビジネスに生かしていく年にしたいですね。



【酒井 闊プロフィール】


 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。


  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm


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【 注 】


 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。


 


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【経営コンサルタントの育成と資格付与】



since 1951 特定非営利活動法人・日本経営士協会


 日本経営士協会は、戦後復興期に当時の通産省や産業界の勧奨を受け、日本公認会計士協会と母体を同じくする、日本で最初にできた経営コンサルタント団体です。


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