2014年04月25日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】人が育ち業績が伸びる

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】人が育ち業績が伸びる

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

      今日のおすすめ


 『小さな会社はリーダーを人事評価制度で育てなさい!』


(著者:山元 浩二 発行所KADOKAWA 編集 中経出版 )

      ヒトを育てる仕組みが機能していますか(はじめに)

 “企業の経営資源は”と聞かれると、誰もが、ヒト・モノ・カネ・情報と答えます。それでは、経営資源の最初に出てくる、そして最も重要な「ヒト」についての育成・マネジメントの仕組みが有効に機能している企業はどのくらいあるのでしょうか。

 人事評価制度(評価制度+昇進昇格制度+賃金制度)が有っても、本書の表現を借りれば、「いいかげんな人事評価制度の下で、テキトウ・リーダーによるいいかげんな評価が行われ、いいかげんな社員と不満を持った社員」を生み出していないでしょうか。

 人が育つ、リーダーが育つ「人事評価制度」の仕組みとは何かを追求しているのが本書です。本書は『小さな会社は人事評価制度で人を育てなさい!』(著者:山元 浩二 発行所 中経出版)に続く姉妹本で、本書は“リーダーの育成と人事評価制度の運用・実践”に重きを置いています。両書を併せ読むと、より理解が深まると思います。

      全社員で創る「人事評価制度」は有効に機能する

【リーダーを育てる人事評価制度】

 本書では、「ビジョン実現型人事評価制度」の構築は、経営トップ(含む部門マネジャー)と各部門のリーダーが一緒になって、経営理念・ビジョン・基本方針・行動理念・人事理念・人材育成計画を入れ込んだ、「経営計画書〈ビジョン実現シート〉」を作るところからスタートします。それをもとに、各部門のリーダーは「経営ビジョン発表会」を部門社員の前で行います。

 この発表は、経営トップと共有しながら、経営理念、ビジョン、基本方針、行動理念、人事理念、人材育成計画(現状の人材レベルのSWOT⇒当年度の目指すべき人材像⇒両者のギャップを埋める課題・計画)を作成し、発表するものです。発表という行動を通して、リーダーはマネジャーへと変わり始めるのです。今までは経営トップだけがマネジャーで、残りはマネジされる部門リーダーと部門社員でしたが、「ビジョン実現型人事評価制度」を実施することで、リーダーが新たなマネジャーに生まれ育っていくのです。

 これが及ぼす企業経営に対するプラス影響は計り知れないものがあります。実践してみて始めて理解できることです。

【部門社員が参加する人事評価制度】

 「経営ビジョン発表会」は始まりに過ぎません。発表会の後、部門社員から現状の仕事のプロセス、及びビジョンを実現するための改善すべき課題・問題点を記述した「ジョブ・ヒアリングシート(Work Breakdown Structure)」を提出してもらいます。このシートは、同時に評価基準を作成する基になるデータも提供してくれるのです。つまり、何を評価したら公平適正に評価できるか、また、ビジョン実現に繋がるかのデータになるのです。

 このようにして提出された「ジョブ・ヒアリングシート」を基に、ビジョン実現のための「部門アクションプラン(部門目標・計画)」を作り、それを部門社員一人ひとりの「個人別アクションプラン(個人目標・計画)」にまで落とし込みます。

 一方、部門社員から吸い上げた「ジョブ・ヒアリングシート」を基に、後に述べる四つの評価項目からなる「評価基準」を作ります。

 こうして出来た「アクションプラン(部門・個人)」と、部門社員からのヒアリングを基に作った評価基準をベースとする「人事評価制度」を両輪にして、アクションプランの実践と、評価制度の運用が行われます。(詳細な実践・運用の方法は本書に譲ります。)

 この様に、経営トップ(含む部門マネジャー)から、部門リーダー、部門社員までの、『全社員で創る人事評価制度』と『ビジョンを実現する「アクションプラン」と両輪で運用される「人事評価制度」』は、人材を育て、業績を向上させるため有効に機能するのです。

 ここで誤解の無い様に、一言添えさせていただきます。“部門”という言葉を使ってきましたが、経営トップと部門リーダーの間、及び部門リーダー間で、全社的な一体性を保つための仕組みがあることは言うまでもありません。本書では、全社的な“ビジョン実現”を図る仕組みとして、アクションプランを作成した部門リーダーと経営トップが集まる「アクションプラン会議」を、毎月行うことを提言しています。この「アクションプラン会議」は、経営と現場の接着剤、経営の基本方針が現場の仕事につながり、現場の声が経営の改善に繋がるというサイクルが効果的に回る機能を果たすのです。

【評価項目は人を育てる評価項目を入れる】

 本書では、評価項目は、「業績項目」「成果項目」「能力項目」「情意項目」の四つが必要と説いています。数値(実績)で評価するのは、業績項目だけとしています。しかも、定量的に計れるプロセス評価項目を「業績項目」に入れるべきとしています。「成果項目」や「能力項目」は、業績に直結する、いわゆるコンピテンシー項目を入れています。「情意項目」には、責任感、協調性、変革意識といった他の評価項目のベースになる、姿勢項目をいれ、誤った成果主義に陥ることなく、「人を育てる人事評価制度」にしているのです。

【人材育成の四つのポイント】

 本書は、「ビジョン実現型人事評価制度」の運用のポイントは、「評価実施」⇒「育成会議(評価のばらつき調整、一人ひとりの育成ポイント検討)」⇒「育成面談(評価結果を伝え、課題を共有し、次のステップに向けた目標共有)」⇒「目標達成支援、進捗確認(毎月の面談により実施)」のサイクルを回すことであると強調しています。

 部門リーダーと部門社員の育成を主眼に置いたコミュニュケーション・サイクルを回すことは、リーダーの育成と、部門社員の育成を同時に達成することが可能になります。

 特徴的なことを付け加えますと、評価は「自己評価」「第一上司評価」「第二上司評価」を行い、評価面談でコミュニュケーションを図っていることです。これにより、評価の適正性・納得性を向上させているのです。

      本書は、有効な人事評価制度を作り上げる為の、数少ない指導書(むすび)

 私は、有効な人事評価制度の仕組みつくりに関する良い指導書は少ないと、日頃から感じています。その様な中で、本書、及びご紹介した本書の姉妹書は、示唆に富む指導書と思います。是非ご一読されては如何でしょうか。

 人事制度を考える場合大切なことについて、私の個人的な考えを付け加えさせていただきます。本書、姉妹書の人事評価制度の構築に加え、社員を大切にしたいという経営者の意志が、人事評価制度以外の点でも表れることが大切です。それは就業規則、労働関係法のコンプライアンス(法律を守るという狭い意味ではなく、法律の意図する企業の社会的責任まで踏み込んだコンプライアンス)、健康管理やその他の福利制度などに表れる必要があります。社員がそれらの制度の中に、経営者の温か味を感じたとき、社員のモチベーションが上がるのです。それは掛けたコストの何倍にもなって還ってくるのです。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。


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