2015年06月17日

■■【一口情報】 ロシアのグローバル・エネルギー戦略とその背景

■■【一口情報】 ロシアのグローバル・エネルギー戦略とその背景

 エネルギー大国ロシアがエネルギーのグローバル戦略の見直しを迫られています。

 NHK解説委員の石川一洋氏のテレビ番組「シェール革命に揺れるロシア」を興味深く見ました。

 「シェール革命」とオーバーな表現で言われるほど、シェールガス採掘技術の開発は大きな影響をエネルギーの世界に及ぼし始めています。今まで採掘不可能と思われたシェール層と言われる地層から、天然ガスの採掘が可能となったのです。アメリカエネルギー省の予想によりますと2030年までにアメリカの天然ガス生産は2倍近くに増えて、その40%がシェールガスになるとしています。

 アメリカでは、さらに最近ではシェールオイルと言われる原油も同様の方法で採掘が可能となりました。

 アメリカ国内のガス価格は下落を続け、日本などアジア市場の5分の1以下の安さとなっています。オバマ大統領も、シェールガスやオイルなどの生産の増加によってアメリカはエネルギーの純輸出国となると自信を示しています。

 ロシアは、2030年までに天然ガスの生産量、輸出量ともに1.4倍以上に増やすという強気の戦略を取ってきました。その背景には、ロシアのガス輸出の60%を占めるヨーロッパ市場へのパイプラインによる大量供給です。ほかに競争者がいなかったため、売り手市場の殿様商売を続けていました。

 ガスOPECのようなガス生産国の組織を作り、他のガス生産国カタールやイランと手を結び、世界のガス市場への影響力を増すことも考えていました。

 しかしこの戦略はアメリカのシェール革命を想定していませんでした。昨今の状況から、この前提条件はすでに破たんしていると言ってよいでしょう。このためロシアはあわてているのです。現在、戦略の改定を余儀なくされています。

 それ加えて、これまでは北米輸出をしていた中東のカタールがヨーロッパに向けて安値で輸出を始めたのです。この状況に乗じてヨーロッパ諸国は当然、ロシアにガス価格の値下げを要求しています。

 当然ロシアの目は、今まであまり重視していなかったまずアジアに目を向け始めました。東シベリアのガス田を開発、ウラジオストクへの3200キロにもおよぶガスパイプラインを敷設と、短期間にLNG液化天然ガスの基地作りの計画を決定しました。

 地球温暖化の影響を受けて氷が減少した北極海に新たな航路を開き、北極海沿岸の天然ガスや原油を日本や中国に輸出しようと考えています。

 高額なエネルギーコストを払い続けている日本としても、このさい対応を真剣に考えるべきです。

 石川氏はポイントを3つ上げていますので紹介して起きましょう。

 第一点は、原油価格連動性など既存のガス価格決定方法に代わる、新たな価格メカニズムを造ること

 第二点は、液化天然ガスによる世界市場形成

 第三点はアジア市場でのマーケッティングです。

 プーチン大統領が北方領土問題を含め対日外交に積極的な姿勢を示すのは、シェール革命に揺さぶられ、否応なくアジアに顔を向けるロシアの事情があります。安倍・プーチン両首脳は、平和条約締結に向けた作業を活発化させることで一致しています。

 日ロ関係は新たに誕生した安倍政権とプーチン大統領との間で、ゆっくりと動き始めています。北方領土問題を動かすためにもエネルギーも含む日ロの戦略対話を始める機は熟していると言えるでしょう。




同じカテゴリー(一口情報)の記事

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。