2015年10月12日

■■【一口情報】 リニア中央新幹線の経済効果は?

■■【一口情報】 リニア中央新幹線の経済効果は?

■ リニア中央新幹線の経済効果は?

 東京と名古屋を40分で結ぶという「リニアによる夢の超高速鉄道」が一歩実現に近づいて来たようです。
  NHKの山下和彦記者の解説を基に私見を述べさせていただきます。

◇1 リニア新幹線の経済効果

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの試算によりますと、東京と名古屋間でリニア新幹線が開業した場合の経済効果は「10兆7000億円」と言われています。

 試算の基になっているのは「時間短縮効果」です。最高時速500キロで、東京・名古屋を僅か40分で結び、移動時間を劇的に短縮するリニア新幹線ですが、「交通での移動にかかるコストの削減」は「生産活動自体のコストの削減」につながるということを根拠にした試算です。

 東京・名古屋間はのぞみに比べて700円ほど高い料金設定にするという想定です。「時は金なり」移動に関わる時間は、「機会損失」であるという考えです。「移動と経済活動の効率化」が「企業の利潤の増加」をもたらし、さらにそれが「所得増加」や「消費拡大」など新たな経済の善循環につながっていくということです。

 その効果を積算しますと、10兆7000億円になるというのですが、期間、利用者数等等のファクターが説明されていないために、どうも納得のいかない数値です。


◇2 リニア新幹線の直接的な効果

 リニア新幹線の開業で10兆7000億円の経済効果があるという「マクロ」な効果面だけではなく「直接的」な経済効果も見込まれると三菱UFJリサーチ&コンサルティングは言っています。

 この面で特に期待を寄せているのが「沿線の自治体」です。

 リニア新幹線では、東京から名古屋までの間に、神奈川、山梨、長野、岐阜の各県に1か所ずつ「中間駅」が設置されます。東京と名古屋の大都市圏から「数十分単位」で行き来できるようになれば、人の流れがこれまでと劇的に変わると考えられます。

 例えば、東京から恵那峡に遊びに行くといいますと、今では中央本線を利用して、乗り換えを重ねて約6時間もかかります。リニア新幹線であれば1時間ほどで行けるのではないでしょうか。移動時間が一気に減って観光客が増えるかもしれません。

 東京・名古屋間が40分といいますと、通勤圏といえる時間長です。中間駅がベッドタウンとなり、その需要が生まれる可能性もあります。山梨県の今井町という地区には、すでに「リニアタウン」という分譲地が誕生していて、値上がりを見越し、好調な売れ行きを見せているということです。


◇3 産業界全体への波及

 直接的な経済効果として、リニア本体の建設に関わる「産業界」への恩恵も大きいものがありそうです。

 トンネルや基盤の整備に当たる建設会社や資材メーカー、最新型車両の開発・製造を手がけるメーカーや、最新の運行システムを手がけるICT事業者など、幅広い業種に波及効果がありそうです。

 「超電導リニア」という世界最先端技術を投入する巨大プロジェクトだけに、「日本発の新たなイノベーション」を生み出すことにも期待が持てます。

 これまで新幹線を基に蓄積してきました経験から、車両、路線、運行システムとパッケージにして、海外に輸出しようという動きも進んでいます。

 「経済効果を超えて日本が元気になるきっかけになる」と言っているのは日本貿易会の槍田会長です。経済同友会の長谷川代表幹事は「日本の技術を証明することで海外へ展開も」と期待を寄せています。

 東京・名古屋間運行開始予定が2027年と発表されていますが、経団連の米倉会長に至っては「2020年東京五輪の際に、せめて名古屋まで乗って実感していただけるように」と、無理な注文も出ています。


◇4 目論見通り行くのか

 リニア新幹線は、単なる次世代交通機関にとどまらない絶大な期待が寄せられていて、それに対する準備も進んでいます。

 のぞみと比べて700円程度の差というのは、予想以上に安いですね。しかも、上りと下りがそれぞれ「1時間に5本」も運行されると言いますので、利便性も高いと言えます。

 東京・名古屋がノンストップの便を中心にダイヤが組まれるようですので、東京のビジネスパーソンにとっては、良い意味でも、ろうどうじょうけんがきびしくなるといういみでも、名古屋日帰りがあたり前のようになるかもしれません。

 中間駅のある県では、経済効果が期待されているようですが、単なる通過駅的な面が強く出る可能性もあります。

  現在「のぞみ」が担う役割はリニアに奪われ、現在の東海道新幹線はローカル線になるかもしれません。

 東京・大阪間の全線で9兆円を超えるばく大な建設費用は、経済効果としては期待できますが、これが全てJR東海の自己負担となるわけで、その重荷は大きいと言えます。コストが低い直線ルートを採用したとはいえ、土地の買収費や地下トンネル工事に関わる費用は、試算通り行くとは言い切れません。

 地下数十メートルにある軌道上での事故が万一起こったときの対応はうまくいくのでしょうか。

 夢は膨らみますが、「想定外」ということが起こらないように、「専門家」と言われる人には、プロとしての仕事をしていただきたいと思います。


読者登録してね




同じカテゴリー(トップ+コンサルタント情報)の記事

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。