2016年03月22日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】世界情勢のメタを知ろう

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】世界情勢のメタを知ろう



 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。


 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。



■      今日のおすすめ


 『地政学入門』(高橋 洋一著 あさ出版)



■      現代の世界情勢は「ハイブリッド時代」(はじめに)


 今回は、PEST(P:政治、E:経済、S:社会、T:技術)に関する本のご紹介です。それも、国際政治情勢を読み解く上での基礎的情報が書かれている本です。『それぞれの国が、どのような地理的・民族的条件のもと、どのような歴史(特に戦争の歴史)積み重ねてきたかを以って、それぞれの国が持つ「国家の思惑(野心)」を理解できる』と著者は言っています。さらに『政治学理論である「民主主義国家同士は戦争をしない」という「民主的平和論」』を著者は紹介しています。『「民主的平和論」は「自由主義的・資本主義的平和」とも言われており、「領土を奪い合うのではなく、お互いに持っているものを対等に交換する(自由貿易)」ことで平和が維持される』と著者は言います。


 この紹介本で面白いのは、「世界の『民主度』を示す地図」(WEBでも「民主主義指数」で同様の地図が検索可)です。G0(ジー・ゼロ)といわれる時代ですがG20の中に3つの「独裁政治体制国家(中国、ロシア、サウジアラビア)」が含まれているのも、まさに世界が国家資本主義社会と自由主義社会が共存するハイブリッド社会と言えます。地政学的に言い換えれば、混成・混迷的世界情勢といえるのかもしれません。


 紹介本は、世界の主要国・地域について解説しています。主要な論点をご紹介しましょう。



■      世界の主要国・地域の「国家の思惑」と「論点」


【アメリカは「世界の警察官」ではない】


 2013年アメリカのオバマ大統領は、「アメリカは世界の警察官ではない」と明言しました。『一見、アメリカは好戦的な国に見えるが、他国の領土に対する関心は高くない。アメリカは、建国の精神である「自由の理念」が発展し、「自由を広める宿命を負っている」と拡大解釈し、特に9.11以降はテロ・大量破壊兵器の根絶を掲げ、アフガニスタン紛争、イラク戦争に突入して行った。しかし、世界の警察官ではないと明言した事で、アメリカの関心は、太平洋と大西洋をきちっと押さえておくことになった』と著者は言います。これによる、世界情勢への影響・変化は大きなものが有ると思います。


【中国の野心は「広い海」】


 『「中華思想」を強く持ち、憲法にも「中国共産党の指導」を掲げる中国は、共産党トップの国家主席の一存で決まる独裁主義国家といっていい』『中国の思惑は「広い海」がメイン、つまり第一列島線(東シナ海・南シナ海全域)、第二列島線(フィリピン、グアム、サイパン、沖縄、日本の近畿地方沿岸を含む)を防衛ラインと意識した動きを続けるであろう』と著者が指摘します。


【昔も今も不凍港と肥沃な土地を求め「南」に野心を向けるロシア】


 『1989年ベルリンの壁が壊され、1991年にソ連が崩壊する。ソ連を構成していた15カ国は分裂・独立して行った。ロシアの西側(除く中央アジア)でEU・NATOに加盟しない独立国は、ウクライナ、ベラルーシ、モルドバのみとなった。ウクライナはロシアへの西欧諸国の影響の最後の砦である。クリミヤ併合はいかなる非難を浴びようと確保しなければならない地政学的意味を持っていた。最近のシリアへの支援は、アフガニスタンでアメリカにくじかれた「中東」への野心の表れである』と著者は指摘します。


【大戦に懲り「共同体」を結成したヨーロッパ】


 『第二次世界大戦に懲り、EC(欧州諸共同体)等を経て1993年に設立された「欧州連合」の基本は、人、サービス、交易、資本の移動を自由にする「シェンゲン協定(EU加盟国ではイギリスは除外適用、クロアチア、ルーマニア、ブルガリアは将来加盟義務・現在未加盟。EU非加盟国ではスイス、ノルウエーが締結・加盟。)」が基本にある。しかし、中東の難民・移民問題から「協定」の根底を揺るがされている。ヨーロッパの火薬庫は、かつての「バルカン半島」から、今や、「中東」に移っている。「中東」が火薬庫になった遠因をたどれば、1916年にオスマン帝国の分割をめぐり、アラブ世界を民族・宗派に関係なく、イギリス、フランス、ロシア(1917年の革命で離脱)の間で勝手に結んだサイコス=ピコ協定にある。また、「イスラム国」の成立は、アメリカの2003年3月のイラク戦争の結果、フセイン政権の残党が作ったとされている。』『根深い憎しみの連鎖は、まだまだ終わりそうにない。』と著者は指摘します。



■      これからの世界情勢を読む(むすび)


 これからの世界情勢は、ここまで見て来ましたように、様々な要因が複雑に絡み合い、先を読むのがなかなか難しいと思います。かといって、無視できる事でもありません。


 今こそ、目の前に出てくる事象のメタ(事象の背景にある重要な事実)を見極め適切な判断していく事が、私たち企業関係者に求められているのではないでしょうか。


 グローバル化が益々進む時代であればこそ、今日ご紹介した「地政学」にも関心を向けたいですね。 



【酒井 闊プロフィール】


 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。


  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm


  http://sakai-gm.jp/


 


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【 注 】


 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。



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