2016年08月23日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】インテグリティマネジメント

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】インテグリティマネジメント

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

 

■      今日のおすすめ

 『インテグリティマネジメント』

(新日本インテグリティアシュアランス(株)著 東洋経済新報社)

 

■      「インテグリティマネジメント」知っていますか(はじめに)

 私は、かつて、「『いい会社』とは何か」(小野泉-古野庸一著 講談社現代新書)を読み、今でも何かの時に参考にしている「持続的成長を促す75の経営要素(株価上昇率-1974~2008-上位50社の経営要素分析・抽出)」があります。75要素の中で唯一理解できなかった要素が「インテグリティ」でした。Amazonで検索すると唯一紹介本が出てきました。紹介本によれば、『「インテグリティ(誠実)」「マネジメント」は、その言葉通り「誠実な経営」をすることを経営の理念として掲げる倫理性の高い経営を指す』と解説されていました。

 日本では「コンプライアンス(調和‐法令遵守)」という言葉で行き渡っています。日本の企業では、「コンプライアンス(法令順守)」を経営の柱に掲げながら、燃費データ不正事件、不正会計事件、杭打ちデータ不正事件、日常的な談合と「コンプライアンス」が絵空事になっている状況を身近に日常的に見かけます。

 『日本人の性格上、失敗(法令違反)の責任者を特定し、批判するのを好まない「ムラ的風土」がある』(日経4月24日「風見鶏」より抜粋)との指摘があるように、『「恥の文化」に基づく悪い意味での集団主義』の日本の風土の下では「コンプラアンス」の方が馴染みやすい「経営方針」なのでしょうか。

 「法令遵守」という点に焦点を当て、「コンプライアンスマネジメント」と「インテグリティマネジメント」の結果を比較するならば、前者は「形が法令と合っていれば、中身は法の精神に違背しても止むを得ない」という方向に行きやすいのです。後者は、「法の背景にある理念・精神は何か」「法令順守の結果がステークホルダーの期待に沿っているか」まで求めるのです。先ほど記しましたように、企業の大小を問わず、日本のかなりの企業の「法令遵守」は前者のレベルにとどまっているといっても過言ではないでしょう。

 皮相的な「コンプライアンスマネジメント」を掲げていた経営者が、「インテグリティマネジメント」を新たに掲げ、誠実に実行したら企業はどう変わるのでしょう。次の項で考えてみましょう。

 

■      「インテグリティ」と「コンプライアンス」では成果が大きく異なる

【「インテグリティマネジメント」と「コンプライアンスマネジメント」の違い】

 「インテグリティマネジメント」は、次の4つの責任レベルから成立ちます。   「①法規範レベル(法令・法規則)」「②社内規範レベル(社内諸規則、規定類)」「③社会規範レベル(企業倫理)」「④理想的規範レベル(経営理念・社是)」の4つです。①及び②までを対象とするコントロール(内部統制)は「狭義のコンプライアンスマネジメント」と称されています。①~③までを対象とするコントロール(内部統制)は「広義のコンプライアンスマネジメント」と称されています。①~④までを対象とするコントロール(内部統制)は「社会的責任マネジメント」と称されています。「④理想的規範レベル(経営理念・社是)」の責任とは、社会貢献、フィランソロピーなどによる企業の名声・評判を確保するための行動ではなく、「業界トップの品質」等といった「経営理念レベル」を意味します。

 つまり、「コンプライアンスマネジメント」と「インテグリティマネジメント」の違いは、企業組織が求める「達成責任レベル」の高・低と、経営者をはじめとする、企業組織の構成員の誠実性・倫理性の有・無にあります。単なる言葉の違いのみではなく、内容・成果に、大きな開きが出る「コンテクスト」の違いをご理解いただけたでしょうか。

【「インテグリティマネジメント」のコントロール(内部統制)は負担のない方法で】

 コントロール(内部統制)は、米国のCOSO( Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission)及びその流れを汲むJ-SOX法(金融商品取引法第24条4の4の第一項「内部統制報告書」)のフレームワークに拠るか、5SやJISQ(ISO)に代表される日本的P-D-C-Aフレームワークに拠るかの選択があります。上場企業の場合は、金融商品取引法により、米国発のフレームワークに拠らざるを得ませんが、上場企業でなければ日本的PDCAフレームワークで、かつ、負担の少ない方法を選択して行えばよいのです。

 米国型が、ある時点での組織の活動をチェックする静的モデルに対し、日本型はPDCA(プロセスアプローチ)を繰り返す動的モデルです。日本型は「バリューチェーン」の付加価値を改善しながら、同時に「インテグリティマネジメント」の結果を出し、企業活動の成果を「経営理念レベル」として実現します。

 まさに、「インテグリティマネジメント」は持続的成長企業を育てる経営手法として、その意義を認めることが出来るのではないでしょうか。

 紹介本は、かなりのページをCOSOフレームワークの記述に割いております。米国発のフレームワークを使う必要のない読者は、流し読みをしてポイントのみ押さえて下さい。

 

■      インテグリティマネジメントで企業ブランドを創ろう(むすび)

 私は、「インテグリティマネジメント」を誠実に行っている企業を幾つか体験を通じて知っています。それらの企業は「あそこなら信頼できる」「あそこのサービスは安全で安心できる」等といったブランドを創り上げています。

 このようなブランドを創ることは、会社の大小に拘らず出来ることです。「インテグリティマネジメント」やってみませんか。

 

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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