2019年08月27日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 実例に学ぶ 人と組織の関係性 「エンゲージメント経営」

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 実例に学ぶ 人と組織の関係性 「エンゲージメント経営」

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 

実例に学ぶ 人と組織の関係性 「エンゲージメント経営」

 

(コーン・フェリー 柴田 彰著 日本能率協会マネジメントセンター)

 

■   欧米のグローバル企業の叡智の集積「社員エンゲージメント」(はじめに)

 著者は、50ヵ国以上の国において、7,500人以上のスタッフを抱え、人材戦略を主とするコンサルティングファームであるコーン・フェリーのパートナーです。著者は、近年特に、「社員エンゲージメント」等のコンサルティング実績を豊富に積み、紹介本を著作しました。著者は「社員エンゲージメント」の定義を「自分が所属す組織と、自分の仕事に熱意を持って、自発的に貢献しようとする社員の意欲」とします。

 著者は、かかる背景から、実例に基づき、且、グローバルな視点から、日本企業の「社員エンゲージメント」の実態を分析し、グローバル化の進展などによる日本の社会・経済の変化、将来の社会・経済の担い手となる若者の価値観の変化を踏まえ、欧米に比べ異常なほどに「熱意を持てない社員の比率の高さ」に危機感を抱き、「社員エンゲージメント」を欧米並みに高めていく事が重要な企業戦略・人事戦略の一つであると強調します。

 更に、欧米は多民族文化・社会です。その様な社会でグローバルな競争に打ち勝っていくために「社員エンゲージメント」は必須の戦略でした。その意味で、永年に亘り「社員エンゲージメント」を高める叡智を蓄積して今に至っています。しかし、日本は、新卒一括採用と終身雇用という日本独特の慣行を今も有し、それが、“明確な序列”と“集団の排他性”を持った「村社会」を成立させ、「閉鎖的なコミュニティー」を築いてきました。過去の高度成長期はそれがプラスに働いた時もありましたが、最早その様な時代ではなくなり、グローバル化が進み価値観が多様化する中で、「社員エンゲージメント」を欧米並みに高めていく事が、今後の日本の経済・社会の発展にとって必要不可欠である事に、経営者は気づき経営に取り込んでいかねば、生き残りはないと言います。

 加えて、「社員エンゲージメント」は、“会社は社員が期待することを提供できているか” ‟社員が仕事に幸せを感じて意欲的に取り組めているか”の二つの問いを対で判断すべきもので、社員満足度のように一方的に判断するものとは大きく異なります。人と組織の関係性の変化に気づき、対応していく事が経営に求められると言います。

 著者は、コンサルティングの実例を踏まえ、日本の企業の経営者の意識はまだ大きく遅れていると見ます。著者が示す『「社員エンゲージメント」を経営にいかに取り入れていけばよいか』の考えを次項で見てみましょう。

                       

■   欧米に大きく後塵を拝している日本企業が、まず取り組むべきこと

【先ずは、経営陣が本気になること】

 著者は、「日本は社員エンゲージメント元年を迎えたばかりである」といいます。つまり、「社員エンゲージメント」の概念(要因・及ぼす影響など)が普遍的・自然なものとして定着するにはまだ時間がかかるのです。

 しかしそこまで待っていたのでは、様々な問題が発生してしまいます。既に、「社員エンゲージメント」の低さが原因で、グローバル企業での、海外におけるマネジメントの失敗、国内企業における離職率の増加等の問題が発生していると著者は指摘します。

 この様な事実を踏まえ、経営陣が危機意識を明確に持ち、「社員エンゲージメント」を経営指標の一つとして取り入れ、真摯に実行・スタートをすることが大切です。「社員エンゲージメント」は社員一人一人が対象となるわけですから簡単ではありません。

 定点観測を定期的に行い、それに基づく改善活動を地道に続けていく必要があります。数年の活動を続けることで、「エンゲージメント」が向上してきます。現場の社員のエンゲージメントの向上に直接関与していくのは、現場の組織長です。だからと言って、組織長に責任を投げてはなりません。あくまで経営陣が責任を持って、鍵となる、熱意と継続性を持って、「エンゲージメント」向上に向かって進むことが重要です。

【「社員エンゲージメント」を高めるポイント】

 著者は、著者の所属するコンサルタントファームの調査結果を踏まえ、「社員エンゲージメント」と相関の高いドライバー(要素)のBest8を挙げています。

①   顧客に提供する体験的価値への自信

②   成果創出に向けた効果的な組織体制 

③   自社におけるキャリヤ目標達成の見込み

④   生産性を高めるための環境整備

⑤   やりがい・興味がある仕事を行う機会

⑥   仕事を高めるための十分な人員の確保

⑦   一個人としての尊重

⑧   自社の戦略と目標に対する信頼感

 定点観測から得られた、Best8のドライバーは何を示唆しているのでしょう。私の感想では、経営陣には経営の示唆を与え、現場の組織長には組織長の対応姿勢に示唆を与えています。「社員エンゲージメント」は正に、経営を改革し、現場の組織長の資質を向上し、社員の仕事と所属組織に対する熱意を上げる、Win-Winの効果をもたらすのです。それは、日本で問題とされている、労働生産性(付加価値額)の向上を待たらすのです。

【「社員エンゲージメント」に関するその他の知見】

 紹介本には、著者及び著者の所属するコンサルタントファームの「社員エンゲージメント」に係るコンサルティング実例を基にした知見が掲載されています。欧米の後塵を拝している日本企業にとっては参考となる知見を発見できます。字数の関係で十分なご紹介が出来ませんでした。ご興味のある方は、是非紹介本を手に取ってお読み下さい。

 

■   生き残りをかけて「社員エンゲージメント」を経営に取り込もう(むすび)

 著者が指摘するように、「日本は社員エンゲージメント元年を迎えたばかりである」のです。未だ、十分な方法論などの知見が蓄積されている訳ではありません。

 「社員エンゲージメント」の向上の重要性は十分理解できます。それは、経営陣が「うちの社員は本当に幸せなのだろうか」と素直に考えることと同義です。

 出来ることから始めましょう。定点観測のためのSaaSを使っても良いでしょう。自社で開発した物でも良いでしょう。自社で仕組みを創出するのも良いでしょう。

 まず、出来ることから始め、継続的・地道に続けることが大切と思います。必ず、「やって良かった」と思える日が来ることでしょう。

【酒井 闊 先生 プロフィール】

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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