2011年08月18日

■■竹根の私生活 連載小説 竹根好助の先見思考経営78

■■竹根の私生活 連載小説 経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.78 昼休みのブログ

 

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。

【本書の読み方】 脚注参照

 

■8 初めての人前での発表 3 通算78回 竹根の私生活

 

 印刷会社であるラッキーの社長である幸と竹根は靖国神社境内を散策しながら、二人が再会した1980年代のことを思い出している。

 ラッキー取締役を対象とした取締役研修は、ビジネスドックという竹根が開発した思考ツールを使いながら進められる。まずは、戸惑いの中、ブレインストーミングから始まった。

 ブレインストーミングに馴れていない5人は、なかなかアイディアも意見も出てこない。取締役の高齢化も気になる。課題が課されるがそれに対してどのように取り組んでいったら良いのかで停滞してしまった。

 受講者の取締役はビジネスドックとの取り組み、幸社長に「経営理念構築」という宿題が出された。

 ビジネスドックには、共通認識という観点から、グループ討議をした結果を発表するという作業がつきものである。

 ビジネスドックの思い出から、シーンは現代に戻った。幸は、竹根のブログに関する考え方を聞いて、自社でも活かせる方法がないかどうかを模索している。午前10時のブログで、ものごとの両面性について幸は竹根から教えられた。

 

【現代】 

 

 靖国神社にこれほど多くの桜の木があることに今更ながら驚く二人が、続く桜並木、というより桜のトンネルを進むと正面に売店が見えてきた。その前には十基たらずのベンチが置かれている。若い人達が、そこの売店で買ったスナック菓子を食べたり、飲み物を飲んだりしている。多くは、年配の人で、ベンチに座って語り合ったり休憩をしたりしている。

 

 乳母車に赤ちゃんを乗せて、あやしている母親の周りを三歳くらいの男の子が駆け回っている。キャッキャッという声だけが聞こえる。それがかえって東京のど真ん中であることを忘れさせる静寂さを醸し出している。

 

「先生のお孫さんはおいくつくらいですか?」

 

「男の外孫が一人いるだけですが、今三歳です。ちょうどあの子くらいですね」

 

「そうですか。ではかわいい盛りですね。うちは八歳になる女と六歳の男の子の二人です」

 

「孫のかわいさをうたった歌が何年か前にはやりましたが、かわいいものですね」

 

「やはり、孫はかわいいですか?うちなどは、うるさいだけで、かわいいなんて思ったことは一度もないですね」

 

「同居しているのと、私のように別々に住んでいるのとでは違うでしょう」

 

「先生のお嬢さんはどちらにお住まいなのですか?」

 

「うちから車なら五分ほど、かかっても十分もあれば来られるところです」

 

「スープの冷めない距離ということですね。理想的ではありませんか」

 

「自分が言うのもおかしいですが、なかなか賢い子どもでね。自動車が好きで、ミニチュアの自動車をたくさん持っています」

 

「将来は、世界トップのトヨタを切り盛りする社長さんですか?」

 

「それは実現不可能でしょう。とにかく子どもの記憶力というのは大したものだと感心します。『働く車』というのですかね、乗用車も好きではありますが、特殊な車に興味があるようです。いろいろな車について図鑑を見て次々と覚えてゆくようです。われわれだとグレーダーとかスクレーパーなどという特殊な車輌はどのように違うのかなどはわかりませんが、テレビに映ったりすると素っ頓狂な声を出して『グレーダーだ』『コンクリートミキサー車!』なんて、ちゃんと区別ができているようなんです」

 

「それはすばらしいですね」

 

「つい最近まで乳母車で母親と遊びに来ていたのが、だいぶ昔のように思えます」

 

「先生、最近は乳母車とは言わず、ベビーカーとかベビーキャリヤというのだそうです。先日、孫娘に莫迦にされてしまいました」

 

「そうですか。今のところまだ漢字も読めないのでこちらが読んで聞かせるだけですが、私もそのうち孫に莫迦にされるようになるのでしょうね。それが子どもの成長ですから、かえって喜ぶべきなのかもしれないですがね」

 

「先生は、お優しいですね。仕事では厳しいですが・・・初めてビジネスドックをやったときに、先生の厳しさとそこに潜む熱意を感じました」

 

「そんなに厳しかったですかね」

 

「厳しい、厳しい。でも女性には優しいですものね。特に愛子さんには・・・」

 

 竹根は顔を赤らめて否定した。その慌て方は尋常ではないと幸はにらんだ。

 

「ビジネスドックで初めて人前で発表するということを体験した役員さん達でしたが、はじめはしどろもどろでしたね」と昔話でごまかそうと竹根がした。それを契機に二人はまた無言になり、昔を振り返った。

 

< 次回に続く お楽しみに >

 

■■ 脚注

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。

■■ これまでのあらすじ PC←クリック

■■ これまでのあらすじ mobile ←クリック

■■ ブログポリシー  ←クリック




同じカテゴリー(連載経営コンサルタント小説)の記事

※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。