2011年08月19日

■■しどろもどろ コンサルタント竹根好助の先見思考経営79

■■しどろもどろ 連載小説 経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.79 昼休みのブログ

 

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。

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【本書の読み方】 脚注参照

 

■8 初めての人前での発表 4 通算79回 しどろもどろ

 

 印刷会社であるラッキーの社長である幸と竹根は靖国神社境内を散策しながら、二人が再会した1980年代のことを思い出している。

 ラッキー取締役を対象とした取締役研修は、ビジネスドックという竹根が開発した思考ツールを使いながら進められる。まずは、戸惑いの中、ブレインストーミングから始まった。

 ブレインストーミングに馴れていない5人は、なかなかアイディアも意見も出てこない。取締役の高齢化も気になる。課題が課されるがそれに対してどのように取り組んでいったら良いのかで停滞してしまった。

 受講者の取締役はビジネスドックとの取り組み、幸社長に「経営理念構築」という宿題が出された。

 ビジネスドックには、共通認識という観点から、グループ討議をした結果を発表するという作業がつきものである。

 ビジネスドックの思い出から、シーンは現代に戻った。幸は、竹根のブログに関する考え方を聞いて、自社でも活かせる方法がないかどうかを模索している。午前10時のブログで、ものごとの両面性について幸は竹根から教えられた。

 

【回想2 1980年代】 

 

 靖国神社を散策する二人は、再び無言となり、昔を思い出していた。

 

「理想的な会社像」というテーマで討議した後の十五分の休憩時間が終わったときには、五人とも席に着いていた。竹根が演壇に立つと五人全員が起立をした。幸は何が起こったのかと一瞬慌てたが、竹根はニコニコしている。研修の途中で、受講者が自ら変化していくことを経験してきているからである。

 

 竹根がお辞儀をすると「お願いします」と唱和して座った。幸は、竹根が魔術でもかけたのかとまがうほどの大転換である。

 

「では、これから皆さんに討議結果を発表していただきます。発表者は決まっていますね?」

 

「はい、刷増が担当します」

 

 竹根に誘導されて刷増が立ち、演壇後ろに先ほど貼った模造紙に向かいながら説明を始めた。

 

「では、これから・・・すみません、あがってしまって、・・・これから、われわれの討議結果を・・・結果をですね・・・ハッ・・・発表させていただきます。よろしくお願いします」

 

 ハンカチを出して、汗をぬぐうが、次々と汗は吹き出してきて、ますます刷増を慌てさせた。深呼吸をしてから、つばをゴックンと飲む音が、前に座っている人たちに聞こえるかのようであった。残った四人の顔は真剣である。大松田は小声で「落ち着け、落ち着け」と言っているが、刷増の耳には届いていない。

 

 意を決したかのように、刷増が話し始めた。手に持ったメモが小刻みに揺れている。声を出そうにも出て来ないで、口がパクパクと動くだけである。

 

「模造紙に書いてある、皆さんのまとめをまず読んでいただけますか」

 

 竹根の声に救われた刷増は、ようやく声が出てきた。つっかえつっかえであるが、三十数文字の文章を読み上げることができた。平素顧客の前で話し慣れていることもあり、次第に落ち着いてきたようである。

 

< 次回に続く お楽しみに >

 

■■ 脚注

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。

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