2011年08月26日

■■被告席の金山常務 竹根好助の先見思考経営84

■■被告席の金山常務 連載小説 経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.84 昼休みのブログ

 

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。

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【本書の読み方】 脚注参照

 

■8 初めての人前での発表 9 通算84回 被告席の金山常務

 

 印刷会社であるラッキーの社長である幸と竹根は靖国神社境内を散策しながら、二人が再会した1980年代のことを思い出している。

 ラッキー取締役を対象とした取締役研修は、ビジネスドックという竹根が開発した思考ツールを使いながら進められる。

 ビジネスドックを使った社員研修で、刷増営業部長が発表者として登壇した。しどろもどろであったが、講師の一言で平常心を取り戻し、不充分ながらも発表を終えた。

 引き続いて、ビジネスドックの説明があり、「わが社の長所・強み」というテーマで再びブレインストーミングを行った。二度目ということもあり、要領が掴めてきた。

 

【回想2 1980年代】 

 

 しばらく会話が続き、十五分の休憩に入った。受講者は、休憩コーナーに行き、たばこを吸う者、自動販売機から缶ジュースやコーヒーを買って飲む者、手洗いに行く者などそれぞれであった。研修室で、竹根と荻野が打合せをしている。その日は土曜日であるから、ここに来ていない社員は仕事をしていることを思い、幸は公衆電話で会社と連絡を取っていた。

 

 あっという間に、十五分が経った。

 

 全員が揃うと大里が「起立」と号令をかけ、全員が「礼」という号令で「お願いします」と大きな声を発した。竹根たちも幸も、何の指示もしないで自主的にそのような変化が再び起こったこともまたうれしく思った。

 

「それでは、ここで趣向を変え『あなたの長所は』というゲームのようなことをやります。金山さん、こちらに出てきてくださいますか。このいすにお座りください」

 

 いつの間にか荻野が竹根の横にいすを一つ用意しておいた。

 

「なんだか、被告席に座らせられるようですね」

 

 やんやの喝采が起こった。

 

「他の皆さんは、席にお着きのままで結構です。それでは、これから被告、金山さんについて審議を始めます。これから金山さんのよいところを、何でも結構です、挙げてみてください。よいところであって、悪口はいけませんよ。人を褒めることは、はじめは気恥ずかしいような気持ちになる人もいると思いますが、遠慮なくどんどんと出してください」

 

 笑いがこぼれた。

 

 ざわめきがしばらく続いたが、やがてポツポツと金山工場長の長所が挙げられ始めた。交代で、全員が前に座り、それぞれの長所が挙げられた。

 

「では、順番に、今自分の長所をいろいろと聞かせてもらっての感想を述べてください。金山さんからお願いします」

 

 思案顔で、例によりのっそりと立ち上がった。

 

「褒められるというのは、こそばゆいものですね。あの人は、自分をこのように見てくれていたのかということがわかり、それを他の人にもしてやるようになれば、社内の人間関係はもっとよくなるのではないかと感じました」

 

 一人一人の発表を聞いていた幸は、たった一日足らずの研修でこのように人間が変わるとは思ってもみなかった。研修が単調にならないように、テーマごとに異なったやり方を織り込んで、気分転換をさせる竹根のやり方にも感心した。

 

 ブレインストーミングだけでは単調になりすぎる研修であるが、二度連続して体験しただけに、ブレインストーミングのやり方を体感できた。

 

< 次回に続く お楽しみに >

 

■■ 脚注

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。

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