2011年08月29日

■■カード式ブレインストーミング 連載小説 先見思考経営85

■■カード式ブレインストーミング 連載小説 経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.85 昼休みのブログ

 

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。

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【本書の読み方】 脚注参照

 

■8 初めての人前での発表 10 通算85回 カード式ブレインストーミング

 

 印刷会社であるラッキーの社長である幸と竹根は靖国神社境内を散策しながら、二人が再会した1980年代のことを思い出している。

 ラッキー取締役を対象とした取締役研修は、ビジネスドックという竹根が開発した思考ツールを使いながら進められる。

 ビジネスドックを使った社員研修で、刷増営業部長が発表者として登壇した。しどろもどろであったが、講師の一言で平常心を取り戻し、不充分ながらも発表を終えた。

 引き続いて、ビジネスドックの説明があり、「わが社の長所・強み」というテーマで再びブレインストーミングを行った。二度目ということもあり、要領が掴めてきた。

 研修方法にもバリエーションが出てきた。

 

 

【回想2 1980年代】 

 

 夕食は六時三十分からである。時計は六時十五分を少々回った。

 

「皆さんは、ブレインストーミングを二回体験しましたネ。これからはブレインストーミングを社内でも何かの折りに使ってほしいと思います。このブレインストーミングによく似た方法にカード型ブレインストーミングという方法があります。カード型ブレインストーミングは、ブレインストーミングの応用です。テーマは、こちらのボックスにある『わが社の短所・弱点』です」

 

 A4コピー用紙が四等分された紙を荻野が各自に8枚ずつとサインペンを配り、残りの紙はテーブルに置かれた。

 

「ただいまお配りした紙をカードと呼びます。先ほどブレインストーミングでは、自分の考えや意見を自由に発表してもらいましたが、今回は口で言う代わりに、カードに書き込んでください。一人最低8枚は必ず記入してください。ブレインストーミングの時にもお話しましたが、どんな些細なことでも結構です。一枚に一件だけ書き込んでください。余分なカードを用意したのは、一人で二十枚くらい書く人もいるからです。また、サインペンを用意したのは、カードが出尽くしたら、それを皆で分類をしますが、そのときに他の人が見やすいように大きな字で書いて欲しいからです。同じような内容のカードごとにグループ分けして、そのグループに名前をつけてください。バラバラになるといけませんので、グループごとに模造紙を分けて、それをあちらのテーブルに置いてあるセロテープで動かないように貼り付けてください」

 

 カード型ブレインストーミングとKJ法の説明が終わった。KJ法は、平成二一年に他界された川喜田二郎氏が提案した、収束思考支援の手法である。

 

 時計は六時二五分をまわっているのに、その作業を始めては準備された夕食を食べずに片付けられてしまうのではないかと幸は心配になった。

 

「このテーマの発表は明朝九時からです」

 

 食事の時間や明朝六時三十分からラジオ体操があることなど、これからのスケジュールが荻野から発表があった。本日の昼食時のことなどを勘案すると、参加者全員がその意図をつかめた。やり方次第では眠る時間もないかもしれないことも想像できた。特に不満の声を表に出す受講者もなかった。ようやくこれが世間並みの厳しさであることをうすうすと感じ始めてきたのである。それどころか、食堂で夕食を取りながらすでにどのように進めるかの話し合いが始まっていた。幸の想像を超えた状況である。

 

 夕食が済んだ。

 

 泊まる部屋は五人に一つの和室が当てがえられていた。夕食を終えた幸は気になって七時過ぎに部屋を訪れると、荻野を交えてカード型ブレインストーミングが始まっていた。はじめはぶつぶつと言いながら書き始めたが、なかなか書けない様子であった。畳の上に広げられた細長いテーブルを二つ合わせた真ん中には、先ほど配られた残りのカードやセロテープ、数本のサインペンが置かれている。部屋の隅には丸められた模造紙が壁に対して六〇度くらいの角度で立てかけられていて今にもずり落ちそうである。

 

 荻野のアドバイスが時々聞こえていたが、次第にそれも少なくなり、いつの間にかペンを走らせる音だけになった。時々ぶつぶつ言う声があがったり、天井を見上げたりする者、後ろにひっくり返って考えがまとまると起きて書き始めたりする者、五人五様である。

 

 立てかけられてあった模造紙がバタンと倒れた。ピクッとする者もいたが、さらさらと筆を運んでいた大松田が、やおら立ち上がり、それを立てかけ直した。

 

 九時を回った頃、荻野も幸も引き上げた。

 

< 次回に続く お楽しみに >

 

■■ 脚注

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。

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