2011年09月17日

■■経営理念の赤ペン添削 連載小説竹根好助の先見思考経営97

■■経営理念の赤ペン添削 連載小説 経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.97 昼休みのブログ

 

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。

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【本書の読み方】 脚注参照

 

■9 顧問契約 8 通算97回 経営理念の赤ペン添削    

 

 印刷会社であるラッキーの社長である幸と竹根は靖国神社境内を散策しながら、二人が再会した1980年代のことを思い出している。

 ラッキー取締役を対象とした取締役研修は、ビジネスドックという竹根が開発した思考ツールを使いながら進められる。荒れた研修も終わったものの個別課題は宿題となった。社長の幸も「経営理念」という課題が与えられた。

 研修後、初めて竹根がラッキーの社長室を訪問した。顧問契約書を交わすためである。契約書の内容を竹根が説明し始めた。その中に、幸は竹根という経営コンサルタントの人柄を感じ取り契約をすることになった。

 研修時の宿題である、経営理念の話になった。

 

【回想2 1980年代】 

 

 竹根は、胸ポケットから四色のボールペンを取り出した。高級な万年筆でも出てくるのかと思ったら、それほど高価そうには見えないボールペンである。

 

「先生はボールペン派ですか?」

 

「実は、これは私が小学校を卒業するときに、私が尊敬する方からいただいたものです」

 

「ということは、もう二十年以上もそのペンを使っているということですか?」

 

「そうなりますね。ドイツ製ですが、替え芯は今でも供給されています。日本製だと、改良されると消耗品まで変更になってしまい、いつまでも使い続けることができないことが多いですね。その点、ヨーロッパ、特にイギリスやドイツは良い物はいつまでも使うという考え方です」

 

「話を脱線させてしまって申し訳ありません」

 

 竹根は、赤のボールペンを選択すると、まるで赤ペン先生のように幸が書いた経営理念を添削し始めた。書いては、考え、考えては書き加えるということを繰り返した。添削には二十分ほどかかった。

 

 添削が終わった紙を見て、真っ赤なのに驚いた。それだけではなく、その添削記号は、印刷業で使う校正記号を使っている。これを見ただけで、この人は書籍をたくさん出しているのだなということを実感した。単に印刷業界に詳しいだけではなく、ここまで印刷業界に通じているのだということを再確認できた。

 

 幸は声を出してそれを読んだ。

 

『経営理念――有言実行で蓄積したノウハウを活用し、働きがいに満ちた社員が一丸となって、業務を通じて社会に貢献する』

 

「いかがですか、社長の考え方とニュアンス的に異なっているところはないですか?」

 

「先生、私は文学部の卒業ですし、印刷業界も長く、文章を書くことには慣れているつもりです。このように真っ赤に添削されるとは思ってもみませんでした」

 

「そのような人に、臆面もなく添削するなどと大変失礼をしました」

 

「いえいえ、先生、私が言いたいことを非常に簡潔にまとめてくれました」

 

「これが、ベストとは考えていませんが、社長が言いたいことを文章にすると、このようになってしまいました。今後、これをたたき台に、思いついたら変更をして行かれたらよいと思います。箇条書きにする方法もしばしば使われますので、表記方法についても検討してみてはどうでしょうか」

 

「先生、ありがとうございます」

 

 幸は、この人に何度深々と頭をこれまで下げてきただろうか。これからもこの人に頭を下げることはきっと多いだろうし、その都度自分は成長しているだろうと、ラッキーの未来の明るさを感じ取った。

 

< 次回に続く お楽しみに >

 

■■ 脚注

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。

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