2011年10月11日

■■真っ二つの取締役会 連載竹根好助の先見思考経営 112

■■真っ二つの取締役会 連載小説 経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.112 昼休みのブログ

 

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。

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【本書の読み方】 脚注参照

 

■10 厳しい取締役会 10 通算112回 真っ二つの取締役会 

 

 印刷会社であるラッキーの社長である幸と竹根は靖国神社境内を散策しながら、二人が再会した1980年代のことを思い出している。

 ラッキー取締役を対象とした取締役研修、社長の幸の「経営理念」の構築、顧問契約と波乱はあったものの進展してきた。

 1980年代のラッキーの社長室である。電話で社長の幸が竹根の提案受け入れの話をし、後は取締役会での承認を待つだけとなった。それを前にして、竹根は幸会長に面会した。幸会長は竹根の提案に満足である。

 竹根と協議して決めた五カ年計画を審議する取締役会が始まった。幸が議案説明をすると、驚きの声が会議場に上がった。それもそのはず、「ノンファブリック」等という印刷業界では聞いたことのない提案であった。

 

【回想2 1980年代】 

 

「印刷機を持たないのでは、印刷ブローカーとおなじではないか」

 

 金山が、不機嫌な声で発言をすると、大松田が説明を続けた。

 

「一見するとブローカーと同じようですが、ブローカーは利ざやを稼ぐことにウェイトを置いています。ノンファブリックは、そうではありません。われわれが受注を取ってきて、文選をし、ハンコを作って印刷をする、受注を取ってきたあと、自社工場に依頼するか、外部に発注するかの違いだけで、外部工場も自社工場と同じ位置づけに考えればよいのです。オフセットですから、文選ではなく、版下制作になります」

 

「どうもよくわからないな」

 

「要は、責任の持ち方の問題です。自社がすべての責任を持って、今まで通り作業をすればよいのです。活版については、自社工場でまかない、オフについては、提携した協力工場で印刷をしてもらうだけです。ブローカーのように、少しでも安く印刷してくれるところを探すのではありません。うちが求める品質や納期を保ってくれる協力工場を持てば実現できます」

 

 大松田は、自信を持って言い切った。刷増は頷きながら聞いていた。金山も茂手木もまだ納得できない風である。

 

「非常にわかりやすく説明してくださり、大松田部長、ありがとうございました。新しい工場経営の手法ですから、わからないこともあるかもしれません。これは、わが社にとっては過渡期の戦略で、技術やニーズの動向を見ながら、場合によってはオフセット印刷機を導入することも考えられます。すなわち、当面は大きな投資無しに活版とオフの両方に対応できることになります。ただし、信頼できるオフセット印刷機を持っている印刷会社を探さなければなりません」

 

 竹根は、金山の方を向いて話しかけるように言った。

 

「工場長、いかがですか?」

 

< 次回に続く お楽しみに >

 

■■ 脚注

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。

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