2011年10月13日

■■ゼロペース思考 連載小説 竹根好助の先見思考経営114

■■ゼロペース思考 連載小説 経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.114 昼休みのブログ

 

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。

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【本書の読み方】 脚注参照

 

■10 厳しい取締役会 12 通算114回 ゼロペース思考 

 

 印刷会社であるラッキーの社長である幸と竹根は靖国神社境内を散策しながら、二人が再会した1980年代のことを思い出している。

 ラッキー取締役を対象とした取締役研修、社長の幸の「経営理念」の構築、顧問契約と波乱はあったものの進展してきた。

 1980年代のラッキーの社長室である。電話で社長の幸が竹根の提案受け入れの話をし、後は取締役会での承認を待つだけとなった。それを前にして、竹根は幸会長に面会した。幸会長は竹根の提案に満足である。

 竹根と協議して決めた五カ年計画を審議する取締役会が始まった。幸が議案説明をすると、驚きの声が会議場に上がった。それもそのはず、「ノンファブリック」等という印刷業界では聞いたことのない提案であった。当然のことながら賛否両論で、意見は真っ二つに割れた。反対派の急先鋒は、やはり筆頭常務の金山工場長であった。

 そこで、オブザーバーとして出席している竹根の意見を聴くことになった。

 

【回想2 1980年代】 

 

「では、オブザーバーの竹根先生からご意見を賜りたいと思います」

 

 竹根はゆっくりと起立して、頭を下げた。

 

 荻野が関連資料を出席者に配布し終わると、竹根が皆を見回して説明を始めた。

 

「ありがとうございます。私は、オブザーバーですので、正式な発言としては認められませんし、議決権も持っていません。私は、皆さんと共にラッキーの発展を願う者で、その見地から提案をしたり、時には皆様の決定を前にご意見を申し上げて再考をお願いすることもあるかもしれません」

 

 全員がシーンと静まりかえり、竹根が何を言い出すのかを待つ眼差しは真剣である。竹根一流の間の取り方である。発言を待つ気持ちが高まってくる。

 

「皆さんのご意見から、大変本件についても真剣に取り組もうという姿勢はヒシヒシと伝わってきます」

 

 自分たちの議論を頭から否定されるのではないかという不安を持っていたので、その言葉で何となくホッとした。しかし、幸だけは違う、いや、違って欲しいと願うような気持ちである。なぜなら、現状の体制のままで、本当にやってゆけるのだろうかという心配を感じていたからである。

 

「ゼロベース思考という言葉をお聞きになったことがありますか?」

 

 竹根の意見を待っていたのに、急に質問を振られて、一同の緊張は一瞬にして戸惑いとも思われる雰囲気に変わってしまった。

 

「人間というのは、意外と保守的なところがあり、現状が変化することへの不安感を、大なり小なり誰しもが持つものです。そのために、現状の延長線上でものごとを考えがちです。現状を肯定するところには変化は起こりにくいのです。これがゼロベース思考の発端です」

 

 竹根は言葉を続ける。全員が研修の時の竹根を思い出し、まるで竹根マジックにかかってしまったように、竹根に集中している。

 

「残念ながら、わが社の売上は低迷し、業績も下降線をたどっています。ここに変化を起こすのが戦略です。今回は、ノンファブリックによるオフセット・ビジネスという新しい戦略を構築しようと立ち上がったところです。先ほど、社長から第二創業ということが言われました。創業ということは、新しく業を創り出すことです。新しくと言うことは、ゼロベース思考が要求されているということになります。その視点を忘れないで、本件を考えて欲しいのです」

 

 竹根の力強い発言に押されるかのように、誰も口を開くものがいない。幸だけは、微笑みを浮かべ、皆を見回した。

 

「先生、貴重なご意見をありがとうございます。ただいま、先生よりお話があったゼロベース思考によって本件を見直したいと考えています。なにをゼロにしたらよいのか、誰か意見はありませんか」

 

 あたかも幸が研修の講師になったような口調である。

 

< 次回に続く お楽しみに >

 

■■ 脚注

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。

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