2011年10月19日

■■いきなり茶室に連れ込まれた 竹根好助の先見思考経営117

■■いきなり茶室に連れ込まれた 連載小説 経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.117 昼休みのブログ

 

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。

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【本書の読み方】 脚注参照

 

■11 新しい企業作り 2 通算117回 いきなり茶室に連れ込まれた

 

 印刷会社であるラッキーの社長である幸と竹根は靖国神社境内を散策しながら、二人が再会した1980年代のことを思い出している。

 竹根と幸が初めて会ったのは、1970年代半ばである。場所はロスアンゼルスの空港で会った。幸が預け入れたスーツケースがなくなるという、20代後半の、海外経験のない二人にいきなりトラブルが襲ってきたのである。

 それから10年の年月を経て、竹根の講演会の席で偶然二人は再会するのである。社長になっていた幸は、それを機に、竹根に顧問就任を依頼する。社内の反対があったが、ようやく顧問契約が成立し、幹部を対象とした社内研修を体験する。

 竹根の提案した五カ年計画を審議する取締役会が始まった。幸が議案説明をすると、驚きの声が会議場に上がった。それもそのはず、「ノンファブリック」等という印刷業界では聞いたことのない提案であった。当然のことながら賛否両論で、意見は真っ二つに割れた。反対派の急先鋒は、やはり筆頭常務の金山工場長であった。

 しかし、竹根の論理的な説明に一同は納得し、ノンファブリック戦略の実子が決定された。

 第11話「新しい企業作り」は、現代の戻り、東京の靖国神社境内である。経営コンサルタントの竹根に誘われて、印刷会社ラッキーの幸社長が肩を並べて散策をしている。

 散策をしながら、幸は竹根のブログへの取り組み姿勢について質問をし、自社にも参考になると考えた。

 

【現代】 

 

 日本庭園ならどこにもあるような小さな石橋を渡ると深山を思わせる滝石組みが見える。靖国神社にこのような池があることは意外と知られていない。神池庭園である。池に注ぎ込む小さな滝が、この風景を作り出している。池の反対側には、鯉にえさをやりやすいように、池に板場をせり出させ、屋根を設けている。ここは、靖国神社でももっとも奥に位置する。竹根のもっとも好きな場所である。

 

 池を囲む靖泉亭、行雲亭と洗心亭がある。着物を着た数人の女性のあとを着くようにして、竹根に誘われてそのうちの一つである洗心亭に入った。敷石と飛び石に分かれていて、飛び石の方に歩を進めた。

 

 今日は、竹根が属している洗心会という仲間の集まりだと説明を受けた。

 

「先生、私は茶道の心得なんて全くないのですが・・・」

 

「心配されるな、私も何も知らないが、この会に入っています。お茶をいただくだけで、作法は何も知りません」

 

「本当に、私のような者がついてきてよいのですか?」

 

「社長のように雑念の多い人間は、ここで心を洗ってもらわなければなりません。ここは『洗心亭』、まさに社長にうってつけの場所です」

 

「洗心会に洗心亭ですか・・・」

 

 受付の女性が、竹根に親しく声をかけてきた。竹根がここの常連であることがわかる。幸は心細く竹根の後についていった。茶室というと狭いところをイメージしたが、かなり広い場所に車座になってグループごとに和やかに歓談し、茶を楽しんでいる。茶席という堅い雰囲気がない。

 

 そのうちの一つに近づくと、あとから来た参加者が黙礼をし、竹根の横に座った。竹根が皆に幸を紹介してから、お茶の飲み方を説明してくれた。竹根の仕草をまねながら緊張して出された和菓子を食べた。甘い物が苦手な幸であるが、初夏を思わせる若葉色をした菓子である。ほんのりとした甘さで幸の口にも抵抗なく受け入れられた。

 

 程なく茶が出され、あまり仰々しくなく飲めたからか、このような席で初めて飲むお茶はおいしいとは言えないまでも、何となく茶を楽しむ人たちの気持ちがわかるような気がした。気持ちが落ち着いてきた幸は、これまで体験したことのない茶席という雰囲気の中で、また竹根との再会の頃の世界に戻った。

 

< 次回に続く お楽しみに >

 

■■ 脚注

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。

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