2011年12月12日

■■顧客の立場で心理を読む【連載】竹根好助の先見経営 154

■■顧客の立場で顧客心理を読む 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.154

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。

【本書の読み方】 脚注参照

■13 初めてのイベント 10 通算154回 顧客の立場で顧客心理を読む

 小さな印刷会社ラッキーでは、荒れた取締役会であったが、五カ年計画が何とか可決された。

 プリダ軽オフセットを使ったプリントショップビジネスの新事業への取り組みが決まったものの、それを誰が担当するかが問題となった。なんと営業部長の息子であるまだ若い係長が抜擢されなど、人事面でも思いもよらない方向ではあるが、いよいよ五カ年計画がスタートした。

 幸は、荒れた役員会の思い出から、我に返ると、そこはまだ靖国神社の茶室であった。三代目になるであろう長男の育猛のことが気になって仕方のない幸である。

 竹根と話をしているうちに、幸は再び1980年代の竹根に顧問を依頼した頃に思考が戻った。

 五カ年計画のプリントショップビジネスの第一弾として、福田商事とラッキーの共催でセミナーを開催し、ビジネス紹介のでも現場も見られるようにした。これがヒットした。しかし新たな問題として、顧客のニーズにラッキーの体制が整わないことが予想された。

 その対策会議は遅々として進まない。サービス内容と料金面でも、問題がある。

 そんなところに竹根事務所から担当の、印刷業界のコンサルティング経験が豊な荻野が登場し、停滞していたミーティングにカツが入った。

 しかし、意見が大松田と刷増の間を激しく行き来した。

【回想2 1980年代】 

 大松田と刷増の二人がビンビンと反応してくる。それに荻野が応える。

「それも一案ですが、できれば値引きではなくて、お客様がそれと同様なメリット感を感じるような何かをつけられませんか」

 荻野がヒントを出すと大松田がそれに応える。

「お知らせサービスの場合には、翌日とか、場合によると何日か後になるわけで、お客にとっては、わざわざ出かけてくるのが煩わしいよね。納品をうちでやるか?」

「でも、それじゃ、かえって人件費というコストがかかることになりますね」

 また二人の掛け合いが始まった。

「できたらサービスもお客としてはまた出直すわけだから、いっそのこと納品はうちがすべてやってはどうかね。もし、お客が自分で取りに来るという場合に割引券をつけるってのはどうかね」

「割引は、パーセントではなくて、一律何百円とかにしたらどうでしょう。一層のこと、料金は全部同じにしてしまったらどうかな」

「それじゃ、不公平だろう」

「お待ちいただくお客には、時間というサービスを提供できます。できたらサービスの場合には、原則当日配達と言うことで、お待ちいただかなくてもその日のうちに配達されます。お知らせサービスの場合には、時間的余裕のあるお客なので、できたらサービスに比べるとうちにメリットが大きいので、その場合に限って割引券を出すようにしてはどうでしょうか」

「なるほど、お客をお知らせサービスに誘導するという方法だな。そしたら、いっそのこと、そっちは『お届け割引サービス』っていような名称にしちゃったらどうだろう」

「部長、それもいいですね」

「だけど、待てよ。それだとお待ちサービスを選ぶお客が増えすぎないかな?」

< 次回に続く お楽しみに >

■■ 脚注

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。

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