2011年12月13日

■■顧客ニーズが何処にあるか【連載小説】先見思考経営 155

■■顧客ニーズが何処にあるか 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.155

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。

【本書の読み方】 脚注参照

■13 初めてのイベント 11 通算155回 顧客ニーズが何処にあるか

 小さな印刷会社ラッキーでは、荒れた取締役会であったが、五カ年計画が何とか可決された。

 プリダ軽オフセットを使ったプリントショップビジネスの新事業への取り組みが決まったものの、それを誰が担当するかが問題となった。なんと営業部長の息子であるまだ若い係長が抜擢されなど、人事面でも思いもよらない方向ではあるが、いよいよ五カ年計画がスタートした。

 幸は、荒れた役員会の思い出から、我に返ると、そこはまだ靖国神社の茶室であった。三代目になるであろう長男の育猛のことが気になって仕方のない幸である。

 竹根と話をしているうちに、幸は再び1980年代の竹根に顧問を依頼した頃に思考が戻った。

 五カ年計画のプリントショップビジネスの第一弾として、福田商事とラッキーの共催でセミナーを開催し、ビジネス紹介のでも現場も見られるようにした。これがヒットした。しかし新たな問題として、顧客のニーズにラッキーの体制が整わないことが予想された。

 その対策会議は遅々として進まない。サービス内容と料金面でも、問題がある。

 そんなところに竹根事務所から担当の、印刷業界のコンサルティング経験が豊な荻野が登場し、停滞していたミーティングにカツが入った。

 しかし、意見が大松田と刷増の間を激しく行き来した。

【回想2 1980年代】 

 料金設定とその名称の問題で意見が続いた。

「確かにそれもありますね。そのような場合には、こちらから印刷物ができたらお届けしますというように『できたらサービス』に切り替えてしまえばよいのではないでしょうか」

「でもナー、スリマッちゃんよ、完全版下を持ってくるお客がどれくらいいるかな。初めのうちは、たぶん少ないと思うよ。それなら、そんなにこのことを気にしなくてもいいのかもしれないよ」

「うん、そうかもね。様子を見て、また考えるか」

 二人のやりとりで、次第に形が整ってきた。荻野が乗り出してきた。大詰めに来たと幸が見計らって、口を開いた。

「非常におもしろくなってきた。最終的には担当の大松田部長が刷増新課長とまとめることにしよう」

「完全版下をお持ちのお客様のことは考えなくてもよいのでしょうか?」と荻野が口を挟んだ。

「先生、先ほども言いましたように完全版下を持ってくる顧客は初めのうちはあまり多くないと思います」

「と、いうことは、どうでしょう。それだけラッキーの負荷が増えますね。たとえ版下屋さんたちの協力を得たとしても、お客様は、版下制作を待たなくてはならないわけで、それでは他の印刷屋さんとあまり変わらなくなります」

「でも、版下作成の期間を短くすれば差別化になりませんか。先生」

「それを徹底することは重要です。中期的に見た時に、それだけでよいのでしょうかね」

「中期的に見ると、うちでも社員を入れたり、育てて対応できるので、短納期化はできるようになります」

「先生のおっしゃることは、ちょっとレベルの高い経営的な問題を含んでいるんだよ、刷増部長」と幸が割り込んできた。

< 次回に続く お楽しみに >

■■ 脚注

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。

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