2011年12月14日

■■発散から収束へ【連載小説】竹根好助の先見思考経営 156

■■発散から収束へ 【連載小説】経営コンサルタント竹根好助の「先見思考経営」 No.156

 昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。

【本書の読み方】 脚注参照

■13 初めてのイベント 12 通算156回 発散から収束へ

 小さな印刷会社ラッキーでは、荒れた取締役会であったが、五カ年計画が何とか可決された。

 プリダ軽オフセットを使ったプリントショップビジネスの新事業への取り組みが決まったものの、それを誰が担当するかが問題となった。なんと営業部長の息子であるまだ若い係長が抜擢されなど、人事面でも思いもよらない方向ではあるが、いよいよ五カ年計画がスタートした。

 幸は、荒れた役員会の思い出から、我に返ると、そこはまだ靖国神社の茶室であった。三代目になるであろう長男の育猛のことが気になって仕方のない幸である。

 竹根と話をしているうちに、幸は再び1980年代の竹根に顧問を依頼した頃に思考が戻った。

 五カ年計画のプリントショップビジネスの第一弾として、福田商事とラッキーの共催でセミナーを開催し、ビジネス紹介のでも現場も見られるようにした。これがヒットした。しかし新たな問題として、顧客のニーズにラッキーの体制が整わないことが予想された。

 その対策会議は遅々として進まない。サービス内容と料金面でも、問題がある。

 そんなところに竹根事務所から担当の、印刷業界のコンサルティング経験が豊な荻野が登場し、停滞していたミーティングにカツが入った。

 しかし、意見が大松田と刷増の間を激しく行き来した。

【回想2 1980年代】 

「先生のおっしゃることは、ちょっとレベルの高い経営的な問題を含んでいるんだよ、刷増部長」と幸が割り込んできた。

「経営の原則の一つに、固定費の低減化ということがある。人件費というのは、固定費なので、人を増やして問題を解決するというのは、できるだけやらないで済ませたいのだ。そうなると、協力会社に仕事を出して、人件費を固定費から変動費への転換に繋がり、経営リスクを下げることになる。一方で、外部に依頼すると、先ほどの話のように納期に不確定要素が出てきてしまう」

「これでは、社長、堂々巡りですね」

「竹根先生の言葉を忘れたか?ゼロベース思考だよ」

「いきなりゼロベース思考といっても、そう簡単に知恵が出てきません」

「考えないで、あきらめるなんて、刷増部長らしくないね」

 二人とも考え込んでしまった。

 社長室の壁に掛けた時計の音が急に大きくなった。時が刻まれるうちに、刷増のブツブツが始まった。これが始まると何かアイディアが出てくることが多い。幸も荻野も辛抱強く待った。

「版下作りが問題なんだよな」と刷増のブツブツが独り言に変わった。刷増の顔が、一瞬ゆるんで、居住まいを正した。

「版下を作ることが問題なので、版下作成の時間を短縮すればいいと思います。それには、お客がフロッピー・ディスクにワープロデータを保存して持ってくる、これにより版下制作時間と費用は大幅に削減できます」

「だんだん、いい線に来たね。今一歩」

< 次回に続く お楽しみに >

■■ 脚注

 本書は、現代情景と階層部分を並行して話が展開する新しい試みをしています。読みづらい部分もあろうかと思いますので、現代情景部分については【現代】と、また過去の回想シーンについては【回想】と表記します。回想シーンも、回想1は1970年代前半にはじめて幸が竹根に会ったときと、回想2は、その十数年後、二度目にあったときの二つの時間帯があります。

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