2012年07月03日

■■【元気な会社】自社の強みを追い求める 25

■■【元気な会社】自社の強みを追い求める [ドリームアンドモア] 25

クライアント探し難航

 一日平均30社。ドリームアンドモア(神戸市中央区)を設立して間もないころ、杉本悟社長がクライアント探しに足を運んだ企業の数だ。1カ月間で靴の裏がすり減り使い物にならなくなるほど、必死で駆け回った。「海のものとも山のものともつかない企業と、むげに扱われることも多かった」と、杉本社長は当時を思い返す。

 ドリームアンドモアは、ポストカードやコースター、リーフレットなどを媒体とした広告制作を目的に、1998年に設立した。広告入りのポストカードを収納した専用棚(ラック)を、カフェや雑貨店など若い人がよく利用する店舗に置き無料配布するビジネスモデルは、当時としては斬新なスタイルだった。ただ、バブル崩壊の余波が色濃く残る中での船出だったため、クライアントの獲得は難航した。

 険しい道のりにあって助け舟となったのが、杉本社長が以前籍を置いていた人材派遣大手のパソナだった。広告主として名乗りを上げてくれた。「実績がない企業にとって、大企業と取引したという事実が企業の信用につながる」(同)。その後は、地元の中小企業やラジオ局のほか、KDDIや三井不動産など大企業のクライアントも増やしていった。

デジタル商品に注力

 ただ、当時としては目新しかった同社のビジネスモデルも、現在では競業他社が多数存在する。競争が激しい広告業界の中で、生き残りを図るには他社にはない“強み”を持つことが必須だ。広告制作業では企画力は「不可欠の要素」(同)。

 そこでの差別化は難しい。同社が目を付けたのが、ラックを設置する店舗の新規開拓だ。「広告を制作しても、それを“さばく”場所が少なければ効果も限定される」(同)からだ。支店を開設せず、提携企業を各地に増やすことで「リスクヘッジすると同時に、支店開設の時間を省くことで、スピード感をもった展開が可能となる」(同)。今では、ポストカードなどを置く専用ラックの設置店舗数は「京阪神エリアに150店、全国では750店」(同)にまでなっている。

 ドリームアンドモアが現在、力を入れているのがデジタル商品だ。携帯電話の待ち受け画面やメニュー画面、メール送信画面などをアパレルメーカーとコラボレーションしてコンテンツ配信する。

 待ち受け画面などの“着せ替え”コンテンツは珍しくはないが、「ファッションブランドに特化したところに、ユニークさがある」(同)。昨年10月にスタートした同サービスは、月間300万円程度の売り上げがあるという。

 杉本社長の実家は食料品の卸売業を営む。親せきを見回しても、「サラリーマンはほとんどいない環境で育った」(同)ため、自然と「将来は起業したい」(同)という感情が芽生えていった。「ドリームアンドモアのビジネスモデルを(古巣の)パソナでやらないかと言われたこともあった。

 それでも、自分の力でやりたかったから」(同)と、飛び出したのが28歳。42歳になった今では、売上高2億円(1012月期)の企業の社長になり、夢を実現させた。

【コメント】社長の笑顔が活力源

 南部靖之パソナ社長を「経営の師匠」と仰ぐ。杉本悟ドリームアンドモア社長は、パソナ時代にアウトレット部門の関西地区責任者をしており、南部社長と接する機会も多かったという。08年秋に起こったリーマン・ショックは、ドリームアンドモアを直撃した。そんな時は「不況こそ友達」という南部パソナ社長の言葉を思い出した。

 自分の性格を「能天気」と分析する杉本社長。飄々(ひょうひょう)とした様子ながらも、新しいアイデアを次々と出し、不況期に離れていったクライアントを呼び戻すことに成功、今年度の売上高は前年度比20%増となった。磁石が砂鉄を吸い上げるように人を引き寄せる杉本社長の笑顔が同社の活力源になっている。

  資料出典: J-NET21




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