2012年07月10日

■■【元気な会社】 高付加価値品を直販 [横丁とうふ店] 26 

■■【元気な会社】 高付加価値品を直販 [横丁とうふ店] 26

だんごが売り上げの柱

 「生き残るために卸売りはやめました」-。山形県大石田町の横丁とうふ店2代目・五十嵐智志さんは商品の高付加価値化を追求するため、卸主体から製造直販への業態転換を決断した。小さな町の小さな店の取り組みは、2004年に山形県から経営革新計画として承認され、200512月には製造工程の見学ができるイートイン型店舗のオープンにこぎ着けた。

 年商は約5000万円。その7割を豆腐ではなく、自家製だんごが占めている。もともと、だんごは五十嵐さんの母が豆腐製造用の蒸気ボイラを利用し、盆や正月などの季節限定商品としてつくっていたものだ。近くの温泉施設向けに売り出したところ評判となり、土産物として定着したため、本格生産することになった。

 自家製だんごに火をつけたのは、2000年に山形市のデパートで開かれた「大石田フェア」だった。一日に1000本を売り切ったことに因んで、名称を「最上川千本だんご」にした。タレは地元産枝豆を100%材料にした「ずんだん」のほか、しょうゆ、ごま、あんこ、くるみがある。

食品本来のあり方とおいしさを提供

 キャッチフレーズは「明日には硬くなるだんご」。一見すると、ネガティブな表現に思えるが、人気の秘密はここにあった。日持ちがしないのは天然素材にこだわり、だんごにもタレにも余分な添加物を使っていないから。昔ながらの製法が、安全な食品を求める消費者の心をとらえた。

 一方、本来の主力製品である豆腐にかける情熱も衰えてはいない。山形県内陸部で生産される秘伝大豆という枝豆を材料に用い、伊豆大島の本にがりと井戸水で自然のうま味を引き出している。豆腐製造では一般的な消泡材(泡消し)を使っていないため通常の2倍の時間と手間がかかるが、これも他社製品との差別化を図るためだ。

 豆腐もだんごも賞味期限の関係で、通信販売には不向きだ。客に来店してもらうしかない。足を運んでもらうには、魅力ある商品の提供が絶対条件だ。また、商品の良さを知ってもらうには販売時の商品説明も欠かせない。大石田町には休日になると、名物の田舎そば目当ての観光客が多く訪れるが、その流れを呼び込むのも狙い目だろう。

 「生産者の都合で添加物を使うのは、食品の変質につながる」(五十嵐さん)と話す。この考えは、食の研究家である磯部晶策氏が提唱する理念に基づくものだ。五十嵐さんは、良い食品づくりを目指す「磯部理念」に共感している業者が組織する山形さらど事業協同組合に入会し、新製品の研究開発に向けて意見交換を続けている。

 新店舗は古くからの蔵屋敷を活用した。蔵の保存は地域社会の願いでもあった。蔵には10畳の座敷が2間ある。ここで豆腐を使った創作料理を提供するのが次の一手だ。

【コメント】地産地消を前面に

 一定の売り上げを見込める卸からの撤退。自ら退路を断つ決断は、商品に対する自信の表れでもある。輸入食品に対する消費者の警戒感が根強く、国会でも食育が議論される時代に、安全、安心を裏付けとするおいしさは必要かつ十分な付加価値といえよう。地産地消を前面に押し出す同店の試みには、不況にあえぐ地方の商店街復活のヒントがありそうだ。

  資料出典: J-NET21




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