2014年02月10日

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 <競争戦略>

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】 <競争戦略>

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■ 今日のおすすめ

 

 「ストーリーとしての競争戦略」(楠木 建著 東洋経済新報社)

 「模倣の経営学」(井上 達彦著 日経BP社)

      日本企業こそ「ストーリー競争戦略」が必要(はじめに)

 

 「ストーリーとしての競争戦略」は欧米企業組織と日本企業組織における人々のモチベーションの有り方の違いについて比較しています。著者は日本企業の組織を「価値分化」組織、欧米企業の組織を「機能分化」組織と分類し、日本企業の組織上の弱さを指摘しています。

 

 すなわち、日本企業では組織の提供する「価値」が人々のアイデンティティーとなる傾向がある。つまり、自分は組織全体の中でどんな機能を分担するべきかという思考、或いは果たした機能に自己実現を感じると言うモチベーションが希薄になる傾向を持っている。この結果、日本企業は、提供「価値」の深堀には強くても、長期に亘る持続的利益を確保すべき競争戦略の面では弱いと結論付けています。

 

 このことは、最近かつての優良企業が不振にあえいでいる現実となって表れているのではないでしょうか。

 

 そこで著者は、日本企業こそ「ストーリー競争戦略」と、それを「機能組織にブレイクダウン」していくことが必要だと主張します。

      「ストーリー競争戦略」とは

 

【「ストーリー競争戦略」の位置づけ】

 著者は、「優れた競争戦略」のゴールは、持続的・長期的利益であるとし、戦略の順序として、まず、「業界の競争構造」戦略(魅力的な業界〈競争の無い〉を求める。Where・When)、「ポジショニング」戦略(他社と違う所に自社を位置づける。What)、「組織能力」戦略(企業の内的な要因〈やり方〉に競争優位の源泉を求める。How)の3つの戦略を、利益を生む源泉として考える。しかし、これら3つの戦略では、いずれは競争相手に追いつかれ利益が出なくなる。この3つの戦略は持続・長期的利益を確保する「優れた競争戦略」にはなりえない。そこで第4の戦略として、「持続・長期利益」を確保でき、「違い」を作ることができ、「筋の良いシナリオ」により“打ち手”の因果論理が貫かれる「ストーリー競争戦略」が必要と位置づけます。

 

【「ストーリー競争戦略」を組立てる柱となる部品の5C】

 以下の3つのCから作り出されるストーリーのゴールで、持続・長期的利益を生む『競争優位』(Competitive Advantage)

 「他社との違い」と「人間の本性を捉える顧客への提供価値」を作り出す、多くの“打ち手”を、「因果論理」と「一貫性」で束ねる『コンセプト』(Concept)

 『コンセプト』を実現するための“打ち手”の集合であり、“打ち手”同士が強い「因果論理」と「一貫性」で結ばれている『構成要素』(Component)

 「構成要素」の「一貫性」の基盤となり、中核となる『クリティカル・コア』(Critical core)

 ストーリーの評価基準としての『一貫性』(Consistenncy)

 

【「ストーリー競争戦略」組立ての起承転結と評価・検証】

 『起』は「コンセプト」です。コンセプトを具体的な「構成要素」にブレイクダウンするのが『承』です。構成要素が相互に繋がることによって「競争優位」を確立し、持続長期的利益を生みます。これが『結』です。そして『転』は全ての「構成要素(パス)」を実現可能にする「(キラー・パス)クリティカル・コア」です。「コンセプト」と「クリティカル・コア」がストーリー戦略の良否を左右する重要なカギとなります。

 起承転結で筋の良いストーリーを作った後に、「なぜ全体の戦略が『一貫性』があると言えるか」という問いかけによる戦略全体の評価・検証が最後の重要なプロセスになります。

 

      実際に「優れたストーリー戦略」はどのようにして生まれるか(結び)

 

 「ストーリー競争戦略」で紹介されている多くの事例の一つにスターバックスの例が出ています。読者をうならせる競争戦略です。このような「優れたストーリー戦略」が最初から作れれば苦労はありません。著者の楠木氏も「後知恵」と書いているように実際は「怪我の功名」や「災い転じて福となす」等の結果「優れたストーリー戦略」が生まれているのです。

 ご紹介しているもう一つの今日のおすすめ「模倣の経営学」には、スターバックスの創業者ハワード・シュルツ氏が「第三の場所」という『コンセプト』にたどり着いた苦労話が書かれています。「ひらめき」「触発」からスタートしている箇所に触れると、うならせる戦略を身近なものに感じさせてくれます。

 トヨタの「JIT」や「ヤマト宅急便」等の生まれた過程も書かれています。私達でも「優れたストーリー戦略」を作れると思わせてくれる本です。

 「天才は99%の努力と1%のひらめき」とよく言われますが、私達凡人も、トイレにいても風呂に入っていても、WhyとHowを繰り返している事により出てくる、「ひらめき」「触発」を「ストーリーと競争戦略」の理論で広がりと纏りをつけていくことで「優れたストーリー戦略」を作れるのではないでしょうか。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

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